広島、長崎で被爆したのに原爆症の認定申請を却下したのは違法だとして、関西在住の被爆者が国に処分取り消しや国家賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。田中健治裁判長は、認定を求めた4人全員の請求を認め、処分を取り消した。現行の認定基準が事実上否定された形だ。一方、違法な却下処分で精神的苦痛を受けたなどとした国家賠償請求は棄却した。

 原爆症をめぐっては、8人の未認定患者を救済した昨年8月の大阪地裁判決後、安倍晋三首相が認定基準の見直しを急ぐよう促して同年12月に認定基準が改訂された。今回の判決は、改訂後の初の司法判断で、国の対応が注目される。

 訴えたのは69~85歳の男女7人。放射能の影響によりがんや心筋梗塞(こうそく)を患ったとして、2008~11年に認定を申請したが、却下されたため提訴した。うち3人は、改訂後の新基準に基づき原爆症と認められたため、判決は残る4人について判断した。