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2014年3月20日
新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」は本当に存在するのか。理化学研究所の小保方晴子さんらが発表した論文の信頼性が大きく揺らいだ今、この疑問に答えを出すには第三者による再現実験を待つしかない。いったいどうすれば「再現された」と言えるのか。
小保方さんらは1月末に英科学誌ネイチャーに発表した論文で、体のふつうの細胞を酸に浸すと新型の万能細胞「STAP細胞」ができると報告した。生物学の常識を覆す内容だけに、本当に万能細胞と言えるのか、厳しい立証が求められた。論文では「3段重ねの証明」が示された。
まずはじめに、体のふつうの細胞では働かないが、iPS細胞やES細胞などの万能細胞では働く特徴的な遺伝子が働いているかを確かめた(ステップ1)。小保方さんらは、この遺伝子が働くと緑色に光る細胞を使い、酸に浸してつくった細胞が緑に光る動画や写真を証拠として示した。
ただ、万能細胞でない細胞でも条件によっては一時的に緑に光ることがある。そこで、細胞が実際に体のいろいろな組織になれることを実験で確かめようとした(ステップ2)。細胞をシャーレや試験管で培養し、体の組織になりやすい成分を含む試薬などを加えて組織に変われるかを調べたり、マウスの皮膚の下に移植し、いろいろな組織からなる腫瘍(しゅよう)の一種ができるかを観察したりする。
小保方さんらは論文で、細胞が筋肉や腸の組織に変わったとする写真12枚を証拠として示した。
決定的なのが、細胞をマウスの胚(はい)に移植し、体のあちこちがSTAP細胞由来の細胞からできたマウス(キメラマウス)をつくってみせることだ(ステップ3)。STAP細胞が体のいろいろな組織になって機能できることの何よりの証明になる。
小保方さんらはこの技術の第一人者、若山照彦・山梨大教授に細胞を提供してキメラマウスを作製してもらった。これでSTAP細胞の万能性は申し分なく証明された、はずだった。
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