とかく、世の中にはうそがあふれている
とかく、世の中にはうそがあふれている。振り込め詐欺はなくならないし、最近では、商品先物取引や二酸化炭素(CO2)排出権をめぐる詐欺事件もあった。佐村河内(さむらごうち)守氏のゴーストライター騒動しかり。社会的な問題でなくとも、あなたの周りに平気でうそをつく人はいませんか?
「うそつきは泥棒の始まり」「うそをつけば閻魔(えんま)様に舌を抜かれる」。昔はそんな言葉で、うそに対する罪悪感を子供心にしっかりと植え付けてきた。周囲の大人も、言い逃れや責任転嫁のためにうそをつかず、ぐっと言葉をのみ込んでいたように思う。それが大人の威厳につながっていたのかもしれない。
ただ、ちょっと待て。うそをつかない、という制約があれば、お世辞などが言えなくなり、職場や飲み屋で同僚同士のトラブル、自宅で夫婦げんかなどが起きるかもしれない。少々のうそは、社会の潤滑油なのか-。とかく、世の中は難しい。 (稲田二郎)
=2014/03/21付 西日本新聞朝刊=