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【大リーグ】

チャプマン顔面に177キロライナー直撃 異例の試合中止 投手保護策議論へ

2014年3月21日 紙面から

◇オープン戦 ロイヤルズ6−3レッズ(レッズ投手の負傷により6回途中で終了)

 またも弾丸ライナーが投手の悲劇を生んだ。レッズの“人類最速左腕”アロルディス・チャプマン(26)は19日、アリゾナ州サプライズでのロイヤルズ戦で、6回にサルバドール・ペレス捕手(23)が放った打球直撃を顔面に受け、左目の上と鼻骨を骨折した。審判団と両軍の指揮官が協議した結果、試合は異例のコールドゲームが宣告され、その時点で打ち切られた。近年の大リーグは、投手が頭部への打球直撃により長期離脱するアクシデントが頻発しており、今後はさらに投手の保護を求める動きが高まるのは必至だ。

 その瞬間、球場全体が完全な静寂に包まれた。チャプマンが投じた99マイル(約159キロ)の剛速球をペレスが打ち返すと、110マイル(約177キロ)の弾丸ライナーがチャプマンの顔面を直撃した。左腕はうつぶせに倒れるとグラブで顔面を覆い、両足をけいれんさせる。跳ね返ったボールが、三塁ベンチ前まで転がるほど完全な直撃だった。両軍のトレーナーがマウンドへ駆け寄って診察する中、ペレスはその横でひざまずき、むせび泣く。チャプマンがカートの担架で運び去られると、両軍の指揮官と審判団が協議し、約12分間の中断を経て異例のコールドゲームが成立。大リーグ公式サイトによれば、グッチオーネ球審は「選手の安全と心情を考慮し、チャプマンへの対応に専念するためにもコールドゲームが妥当だと判断した」と説明した。

 レ軍によれば、病院での検査結果は左目の上と鼻骨の骨折。同日に別の病院に搬送され、さらに精密検査を受ける。同僚のフレージャーは「人生であんなのを見たことはない。まだショックだ」とツイートし、同僚のブルースも「これまで経験した中で最も恐ろしい出来事だ」と話した。

 近年のメジャー投手は受難続きだ。2012年9月5日、アスレチックス(現Dバックス)のブランドン・マッカーシーは側頭部に打球直撃を受け、頭蓋骨骨折と脳挫傷などで緊急手術を受けた。翌13年に復帰したが、脳振とうによりレストランで昏倒(こんとう)するなど後遺症に苦しめられた。それ以外にも投手の打球直撃事故が相次いだため、大リーグは今年1月に緩衝材を詰めた投手の保護用帽子の着用を許可。だがあまりにも巨大で重いため、マッカーシーさえも「現状のままでは着用しない」と敬遠している。「次のステップは明白かつ必須だ。球界はこれまで以上に投手を守り、“国民の娯楽”が最悪の悲劇の目撃者とならないための方策を見いださねばならない」と米放送局FOXスポーツ(電子版)。かつて最速106マイル(約171キロ)をマークし、“人類最速”と呼ばれた左腕を襲った悲劇。保護用帽子の改良以外にも、球界全体で有効な手段を徹底的に模索することが求められる。

 

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