名古屋グランパスのMF中村直志(35)が試合を勝利で締めくくる“クローザー”となる。大宮戦、柏戦と、リーグ戦で2試合続けて試合終盤に投入され、1点リードを保って逃げ切りに貢献。西野監督が「直志の投入はメッセージ。守備全体をコントロールしてほしい」と指名し、中村も新たな役割に意欲を見せた。
後半40分の男が、連勝の陰の立役者だった。中村は8日の大宮戦では後半41分にピッチへ。さらに15日の柏戦でも後半40分に投入された。いずれも1点リードの場面。その意図を西野監督はこう説明した。「(終盤に逆転を許した)1試合目の教訓がある。緊迫した状況のなかで直志を入れることはメッセージ。直志には守備全体をコントロールしてほしい。全体を見られる余裕があるし、感覚的なものも与えてほしい」
このまま1点リードを保って勝ちきれ−。中村の投入はチームの意識を「守」に統一するためのメッセージだった。そしてJ1通算326試合出場を誇る中村自身に託した役割は、若いチームに安心感を与えてバタバタしがちな終盤の展開を落ち着かせ、試合を確実にものにすること。野球で言えば、経験豊富な抑えの守護神、クローザーだ。
もちろん、プロならば誰でも先発で出たいと思うもの。わずか10分弱の出場時間に満足する選手はいない。しかし中村は「どちらも同じだと思っている。今は自分に任された役割を100パーセントやることが一番大事」とキッパリ。チームが積極的な若返りを図るなかで、新たな使命を前向きに受け止めた。
一昨年6月に手術を受けた左膝の不安はつきまとうが、「練習のボリュームもあるし、負荷もコントロールしてくれている。状態は非常にいい」と笑顔を見せた中村。プロ14年目のシーズンは、新境地で健在を示す。
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