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2014/03/19 Vol.3 【意外と知らない都政】練馬区長選について – 資産圧縮と民営化

 

こんにちは。今回は、練馬区長選特集の第三弾です。

 

【意外と知らない都政】練馬区長選について – お金編

【意外と知らない都政】練馬区長選について – お金編②


これまでは練馬区のお金の流れ(フロー)、どのようにお金を使っているのか、どこからお金が入ってくるのかについて見てきました。今回は練馬区がこれまで溜め込んできた資産(ストック)について眺めていきたいと思います。

 

 

■「桁違いに」非金融資産の方が多い練馬区

 

公表情報の都合上平成24年末のデータになりますが、練馬区には2兆円を超える資産があります。内訳を見ますと

○金融資産:983.4億円
 ー資金:120.8億
 ー債券:110.3億円
 ー有価証券:9.4億円
 ー投資742.9億円

○非金融資産;2.1兆円 
 ー事業用資産(学校、図書館など):7567億円
 ーインフラ資産(道路、公園など):1兆3583億円

http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/zaisei/zaimusyorui/h24/24balancesheet.html

ということで文字通り「桁違いに」非金融資産の方が多い状況です。ということで金融資産に関してはこの際議論の対象に含めずに、非金融資産の在り方について今回は考えていきたいと思います。まず2.1兆円の資産の内訳ですが

○事業用資産:7567億円
 ー土地:5709.8億円
 ー建物:1493.8億円
 ー工作物:48.5億円
 ー物品 :33億円
 ーその他有形固定資産:54.6億円
 ーソフトウェア:12.9億円
 ーその他:214.0億円

○インフラ資産:1兆3583.7億円
 ー公共用財産用地:1兆3028億円
 ー公共用財産施設:500.5億円
 ー仮勘定(建設中のもの):55.3億円

http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/zaisei/zaimusyorui/h24/24zaimu.files/24zaimusyorui.pdf

といった具合になっています。事業用資産を見ると圧倒的に土地と建物が占める率が高いことがわかります。学校や図書館を土地も含めて自前で保持しているためにこのような結果になるのは納得いくところです。他方でインフラ資産ならば公共用財産用地が1.3兆円と圧倒的なわけで、これは道路や公園や橋というわけです。

資産が多いということは良いことなのですが、ここまで資産が大きくなってしまうと「インフラの更新」という大きな問題を抱えることになります。練馬区の資産はドンドン老朽化が進んでいて、現在60.2%は減価償却を既に終えている状況です。近年の老朽化率の動向を見ると

○平成22年度末:58.2%
○平成23年度末:59.3%
○平成24年度末:60.2%

とだいたい毎年1%ずつ償却の比率が上がっている状態ですので、これは言い換えれば修繕を怠ることで毎年(2.1兆円×1%=210億円)ずつ先の世代にツケを回している状況です。よろしくないですね。

 

 

■事業の半分程度は民間投資で行われる必要がある

 

第一回に述べた通り、練馬区が一年間に公共投資に充てている金額は255億円に過ぎません。現在の資産規模を維持したまま将来にツケを回したくないならば本来毎年

 (255億円+210億円=465億円)

ほど公共事業に充てなければいけない計算になるのですが、この時代に公共事業を倍増するというのは時代錯誤も甚だしいでしょう。従って将来に責任を持つ行政を行うとしたら、逆に255億円でメンテナンスできる規模に資産圧縮しなければならないことになります。単純に考えれば

 (2.1兆円×(255億円/465億円)≒1.15兆円)

ということで、練馬区の資産規模を1兆円程度圧縮して1.15兆円規模に圧縮しなければいけない計算になります。コレを実行するとしたら凄まじい規模の資産や事業の民営化を練馬区を実施しなければいけないことになるのですが、そうでなければ私たちの子供の世代が老朽化した道路や橋の建設・更新費用に苦しむことになるでしょう。もちろん計算が大ざっぱなので本来はより精緻な試算を必要とするところですが、財政に余裕がある今のうちに将来に向けた改革は始めるべきであることはまちがいありません。

具体的には、インフラの規模の縮小や、公共施設の更新を民間投資を活用するPFIを大々的に導入していくことが不可欠になります。近年ですと図書館の更新にTSUTAYAの力を活用した武雄市の事例などが有名ですが、東京でも千代田区などが新庁舎建設を国土交通省と協力してPFIの手法を導入した事例があるようです。

http://www8.cao.go.jp/pfi/100_ikkatsu.pdf

将来的に今練馬区で行われている事業の半分程度は民間投資で行われる必要がある、という認識を今後の区政に携わる方にはを期待したいと思います。

 

文責;うさみのりや