(cache) 『お笑い創価学会　信じる者は救われない　池田大作ってそんなにエライ？』佐高信、テリー伊藤

（光文社）2000-07-30初版発行

　テリー伊藤の「お笑いシリーズ」に位置する作品。

　当たり前の話ではあるが、金を払って買ったわけではない。図書館から借りてきた。本を開いて驚いたが、裏表紙から中身のあちこちに「2ちゃんねる」並みの悪口が書き込まれていた。内容は「気違い」「馬鹿」のオンパレード。

　著者の二人は共に学生運動に身を投じていた人物。佐高信に至っては現在も尚、共産党シンパである。

　興味は全くなかったのだが、本書を手にしたのは、現在の学会批判がどの程度のレベルで、どこに向けられているのかを知りたかったからである。

　予想以上に酷い内容で無視するに越したことはないとも思ったが、それなりに出回っているようなんで反論を書いておこう。

　全体を通して学会への非難・中傷に専念している。つまり、ただの悪口が延々と語られている。

「佐高氏の支離滅裂な悪文を嗤（わら）う」でも指摘されているように、学会員への直接取材は全くなく、学会員の声すら取り上げられていない。

　三つの「テキスト」が挿入されているが、いずれも雑誌に掲載された学会批判記事で、内容はこれまた噴飯物。一方的な悪口と悪質な印象付けを企図した文章に過ぎない。

　本書を著した目的を佐高信は「学会員から投票依頼をされて、公明党に投票しようとする人々を阻止すること（趣意）」としている。だが、これは依頼された人々に判断力が欠如しているという前提で語られており、見ようによっては、公明党にさえ投票しなければいいのだ、という単なるケチに堕してしまっている。こうした極めて政治的な狙いは、学会を口汚く罵ることによって、共産党へのおこぼれを目指しているようにしか見えない。

　この手の本では常に見られる手法だが、

　真偽はともかく（テリー伊藤／15ページ）

　池田大作もかなりメチャクチャなことをいっているんじゃないかと思っている。（テリー伊藤／17ページ）

　宗教というのは人生の方向指示器。どっちに行っていいか分からない人が欲しがるものなんだ。（佐高信／30ページ）

　この他にも、福永法源の例を挙げて宗教一般を論じている箇所もあり、全てがこんな調子で、勝手な思い込みや憶測、宗教への決めつけを冗長なまでにまくしたてている。

　井田真木子さんのレポートは数ある池田大作批判の中で出色だね。説得力がある。これを読めば池田大作とは何者か、彼がなぜこんなに長い間、創価学会に君臨することができたかがよく分かる（30ページ）

　と佐高信が絶賛する記事を見てみよう。「池田大作　欲望と被虐の中で」と題したこのレポートは、ノンフィクション作家である井田真木子のペンになるもので、月刊誌『諸君』（文藝春秋）の1996年4月号に掲載されたもの。井田は2001年3月14日に自宅で倒れ、救急車にて搬送されるが死亡。44歳の生涯を閉じた。死因は明らかにされていない。

　実に本書の1割以上の31ページにわたって転載された文章は、全くの的外れで予断をもって書かれた憎悪以外の何物でもない。この手のライターにかかっては、白を黒と書くのも朝飯前だろう。学会への悪意にのみ共感する佐高信のような人物でなければ信憑性の一かけらも感じないはずだ。

　書いてあることは、学会が欲望を肯定することによって、社会の低い階級を巧みに取り込んだ。池田は戸田から組織運営の手腕を学び、金儲けに狂奔してきた。後半では退転者からの取材を盛り込んで、宗教が家族をどのように分断させ、破壊するか――これが全てである。池田の著作は全てがゴーストライターの手によるもの、と書かれているが、根拠は一つも示してない。また、退転し反逆した幹部を「内部告発者」と正当化しているが、彼等の言い分が正しいかどうかという検証も全くされていない。後半に至っては、一つの家族だけの事実を示して、学会全体を判じようというのだから空いた口が塞がらない。

　どんなに美しい風景や人物であったとしても、画家によってはいくらでも醜悪に描けることだろう。その典型が井田の文章である。

　こう書きながらも、どうも徒労感がつきまとう。この本全体がまともに反論することすら、はばかられる内容なのだ。