特定秘密保護法:映画監督・周防さん「内容に気持ち悪さ」
毎日新聞 2014年03月19日 21時27分(最終更新 03月19日 22時21分)
「新しい司法制度改革」を話し合っているが、現在の刑事訴訟法だってそんなに悪いものではない。だが、いろんな解釈があって、たとえば被疑者(容疑者)が取り調べを受ける義務があるかどうかについても、学者によって意見が異なる。法律は解釈の仕方で運用が違ってくる。にもかかわらず、秘密保護法では解釈の仕方によってどうなるのか、あまりにも議論がされていない。作った側に悪意がなくても、一度できた法律は解釈、読み方によってどうにでも運用される。可能性を(事前に)きちんと検証しておかないといけないのに、なされていない。国会の議論だけではなく、学者による議論がもっと必要だ。
−−(12月とされる)施行までに市民のやるべきことは何だと思うか。
反対のネットワークを作ることだ。すごく勇気がいることだと思う。日本は声を上げると排除されることがある国だ。内部告発者にも冷たい。公的な利益のために告発した人がかえって「身内を裏切った」として排除される。その結果、危ないことに近づかないでおこうとする。抑圧の強い社会、監視社会になるのが怖い。
−−「映画人の会」に加わった時に、情報公開について言及した。
情報公開が日本ではきちんとできあがっていない。裁判員裁判で市民が死刑判決にまで携わるが、死刑囚は拘置所でどのように過ごしているのかも隠されている。オウム真理教の裁判では、拘置所から死刑囚を出廷させることに(検察側は)当初否定的だった。もし拒否するなら、彼らがどう過ごしているかを明らかにしたうえで、「だから出廷させるとこんな不都合が起きるのだ」と説明すべきだ。
「お上(かみ)」(政府・行政)が「悪いようにしない」と言ってやっている。でも歴史を振り返ると、お上だって悪いことをすることがある。だからチェック機構をきちんと(整備)しなければならない。その第一歩が情報公開。その情報公開に真っ向から対峙(たいじ)する秘密保護法はよくないと思っている。廃止を求めます。