特定秘密保護法:映画監督・周防さん「内容に気持ち悪さ」

毎日新聞 2014年03月19日 21時27分(最終更新 03月19日 22時21分)

インタビューに答える映画監督の周防正行さん=東京都渋谷区で、丸山博撮影
インタビューに答える映画監督の周防正行さん=東京都渋谷区で、丸山博撮影

 ◇「反対する映画人の会」に賛同

 昨年12月に成立した「特定秘密保護法」は、国の安全保障にかかわる情報を漏らした公務員らに厳罰を科す。年内にも施行される同法に関する映画監督、周防正行さん(57)へのインタビューの要旨は次の通り。

−−昨年末、「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」に賛同した。政治的なメッセージを出すのをいやがる人もいる中で、なぜ賛同したのか?

 「娯楽映画」の作家だから政治的発言を控えようと思ったことはない。もともと社会的問題に関心がある人間だ。だから映画、演劇を見てきたし、それを見て青春時代に「どう生きるか」と考えてきた。司法制度改革につなげたいと、(刑事裁判の問題点を描いた)「それでもボクはやってない」(2007年)を撮ったし、(法相の諮問機関である)法制審議会の特別部会で委員になって発言している。

−−この法律を知ったのはいつか?

 昨年秋ぐらいにマスコミがにわかに取り上げるようになってからだ。内容を知って気持ち悪さを感じた。

−−「気持ち悪さ」とは?

 いま、法務当局が通信傍受法の対象になる犯罪の範囲を広げることを検討しているし、街を歩けば住民が自己防衛のために監視カメラを設置している。市民の情報は丸裸にされているのに、(この法律によって)国家権力はよろいで秘密を固め、自分たちに都合の悪いものは隠せるようになる。権力は道を誤ることがあるのに、権力の及ぶ範囲が肥大しようとしている。ぼくらは民主主義を手放す道を歩んでいるのではないか。怖い。怖いと感じない(人がいる)なら、(その人は)民主主義、個人の権利が肌身で分かっていないのではないか。

−−法律の問題として、他に感じるところは。

 秘密にされた情報が60年とか、場合によっては永遠に隠される恐れがあること。その時の権力者の行いを後の世代が検証できないのはよくない。国家の主権は一人一人の市民にあるのだから。(秘密を扱う人たちの身辺を調査する)適性評価も問題がある。

−−法制審の部会で感じたことは?

最新写真特集