2014年3月20日09時48分
別れた腹いせに、以前の恋人や配偶者の裸や性行為の写真をネット上にさらす「リベンジポルノ」が、IT大国・米国で深刻化している。日本では自民党が法規制の議論を始めたところだが、米国では取り締まりの動きがカリフォルニア州などで広がっている。ただ、悪用して収入を稼ぐサイトも後を絶たず、規制はなかなか追いつかない。
プロフィル写真が自分のあられもない姿になってる――。フロリダ州マイアミのホーリー・ジェイコブズさん(30)は2009年1月、友人からの電話で自身のフェイスブックを開き、がくぜんとした。
ポルノサイトにも裸の写真が何枚も載っていることがわかった。しかも自分のフルネームつきで。
写真は約1カ月前に別れた年下の男性しか持っていないはずだった。男性とは05年に交際を始め、博士号取得のために引っ越した約1年後から遠距離恋愛に。その間、写真や動画を撮り合い、共有してきた。
「取り締まってほしい」。三つの警察署を回ったが、「該当する法規制がない」と言われるばかり。弁護士を通じて09年8月、削除するよう男性に伝えた。男性は「やっていない」と否定はしたが、写真や動画はいったんサイトなどから消えた。だが11年11月、新たな恋人との写真をフェイスブックに投稿すると、写真や動画が今度は200以上のサイトにあふれかえった。氏名だけでなく職場まで書かれた。
再び弁護士に相談すると、「全部に対処すると何十万ドルもの弁護士費用がかかりますよ」。そんなお金はない。米連邦捜査局(FBI)や地元の議員に駆け込んだがだめだった。ついには上司や同僚にまで写真が送られるようになった。
「サイバー上の性的暴力だ。こんなに気持ちが弱っていくことはなかった」。転職し、12年6月には法的に氏名も変えた。写真や動画の削除依頼も地道に続けたが、ネット上からすべてを消すのは難しい。「昔の名前をネットで見ないようにするしかない」
被害者は泣き寝入りするばかり――。ジェイコブズさんは12年8月、法規制を政治家らに求め、被害者が苦しみを分かち合うためのサイト「リベンジポルノを根絶せよ」を立ち上げた。日本からも含む3千人以上の被害者がサイトに集まり、経験を共有する。
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!