くすりの勉強 -薬剤師のブログ-

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記事

クリームと軟膏はどう使い分ける?

塗り薬の使い分け

塗り薬には、クリームや軟膏、ローションやジェルと色々あります。

どのように使い分けるのでしょうか?

基剤の選択

患部の状態に合わせて適切な基剤を選択することが重要です。

滲出液が出てジュクジュクしていたり、びらんがあるとき、乾燥が強い場合はワセリンを用いた油脂性基剤の軟膏が適しています。

クリームは使用感はいいですが、乳化剤や防腐剤が配合されているため、皮膚への刺激がある場合があります。

毛髪のある部位はローション剤を選択します。

①軟膏:刺激性が少なく、患部を保護する作用があります。乾燥(カサカサ)した患部、びらん・潰瘍など湿潤した患部の両方に使用できます。べたつき感があります。

②クリーム:使用感がよく、主に乾燥した患部に適しています。若干の刺激性があります。

③ローション:軟膏やクリームが塗りにくい頭髪部などへの使用に適しています。若干の刺激性があります。

④スプレー:軟膏やクリームが塗りにくい頭髪部などへの使用に適しています。手を汚さずに広範囲に使用できますが、使用量がわかりにくいし、正常な皮膚にも散布する危険性があります。

⑤ジェル:炎症部位がかさついている場合や脂漏性皮膚炎に適しています。湿潤した患部には適しません。若干の刺激性があります。

水溶性基剤

水分を吸収する基剤であることから、主に湿潤面へ適応する基剤であり、水疱、膿疱、びらんおよび潰瘍面には最適ですが、乾燥しすぎることがあるので注意が必要です。

この基剤は水分を吸収すると溶けるため、病巣からの水分は基剤であるマクロゴールを通してガーゼに吸着されます。

そのため、ガーゼの交換および量には注意しなくてはなりません。

水溶性基剤の欠点として皮膚刺激があります。

この皮膚刺激は長時間持続するので十分な観察を行うことが大切です。

軟膏とクリーム

軟膏とクリームは明確には区別されておらず、クリームはすべて軟膏に含まれています。

しかし一般的には、基剤が油脂性(アブラ)なら軟膏、乳剤性(水とアブラ)ならクリームと呼びます。

しかし、乳剤性の基剤でも、薬品名は○○軟膏という名前がつけられているものもあります。

ザーネ軟膏、ユベラ軟膏、ケラチナミン軟膏、パスタロンソフト軟膏、ヒルドイドソフト軟膏、オクソラレン軟膏、ソルコセリル軟膏などは本当はクリームという名称のほうが正しいかも。

最近は名前が変ってきているものもあります。

オイラックス軟膏→オイラックスクリーム、レスタミンコーワ軟膏→レスタミンコーワクリームなど。

名前に騙されないように。

我が国ではクリームは局方の製剤総則の「軟膏剤」に含まれるため、「~軟膏」でも乳剤性基剤の場合があります。

一般に乳剤性基剤は油脂性基剤に比べ透過性が優れていますが、添加物が多く、刺激や接触皮膚炎に注意を要します。

水が外相で中に油を含む水中油型(O/W型)と逆の油中水型(W/O型)に分類されます。

市販外用薬では使用感が良く、水で簡単に洗い流せるO/W型が大部分を占めています。

その特徴は塗擦すると簡単に白さが消えるため、「vanish=消える」から「バニシングクリーム」と呼ばれます。

吸水軟膏などW/O型は冷却作用があることから「コールドクリーム」と呼ばれますが、実際には基剤中の水分が気化する時に気化熱を奪うため、いずれの乳剤性基剤も冷却作用があります。

参考書籍:日経DI2008.3

軟膏とクリームの違い

まずクリームはサラっとしていて、軟膏はベタつくので、夏場はクリームが好まれます。
軟膏は顔に塗るとテカテカするのでイヤですね。クリームが好まれます。

水で洗い流すときも軟膏よりもクリームのほうがいいですね。
クリームは界面活性剤や防腐剤が入っていて、傷口などに塗るとしみます。

ジュクジュクした部位には軟膏のほうがいいです。
クリームのほうが使用感がいいので、患者に任せるとクリームの希望のほうが多そうです。

しかし、水分の入っているクリームは水分を吸収してしまうので、乾燥している肌に使うと、さらに乾燥してしまいます。
保湿効果を求めるなら軟膏のほうが適しています。

軟膏よりクリームのほうが効く?

一般に軟膏に比べクリームは皮膚透過性に優れている。
この一因として、クリームは乳化をしていること、および基剤中に主薬がより高い濃度で溶けていることが考えられる。

一方、臨床効果では軟膏とクリームは大きな差はなく、軟膏の方がクリームよりも効果が高いと評価されている製剤もある。
この透過量と効果の乖離の原因は明らかではないが、クリームは軟膏に比べ衣服で取れ易いとの意見もある。
また、クリームやローションは添加物が多いことから接触皮膚炎を起こし易く、水疱、びらん、および潰瘍には適していない。

湿潤面にクリームはダメ?

従来はクリームに代表される乳剤性基剤は滲出液がある湿潤面に使用すると、一度クリームに吸収された滲出液が再度皮膚から吸収されることにより、症状が悪化することから使用しない方がよいと考えられてきました。

また、乳剤性基剤の乳化剤である界面活性剤による刺激も問題となっていました。

しかし、最近では刺激性も随分と軽減され、乳剤性基剤を湿潤面に使用してもいいという意見もあります。

ただし、あまり滲出液が多い場合では乳剤性基剤は水をあまり吸収しないために適応しづらい場合もあります。

一般的には滲出液が多い場合には水溶性基剤を使用します。

クリームと軟膏の吸収

一般に、基剤からの薬物の吸収は

クリーム剤>FAPGゲル>軟膏剤・ヒドロゲル>液剤

の順である。


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