最近、読んだ本より。業務プロセスの粒度の決め方は議論が抽象的になりやすく、なんともモヤっとした標準化ガイドが作られがちです。今回ご紹介するものも、取り立ててスッキリする記述ではないのですが、ある程度の目安になるかと。

ビジネスでもコンピュータでもいいのですが、システムを記述しているところだとします。あなたはシステムを使う誰かのことを考えています。その人はこのシステムから今、何かを得ようとしています。それを得たあと、その人は続けてほかのことを実行できます。その人が今このシステムに望んでいることは何でしょうか?

上記はユースケース実践ガイドに記述されているユースケースのレベルのうち、もっとも重要なユーザー目的(user's goal)レベルを定義する言葉です※。英語版では下記のように書かれています。

You are describing a system, whether a business or a computer. You care about someone using the system. That person wants something from your system NOW. After getting it, they can go on and do something else. What is it they want from your system, now?

本書では、ユーザー目的はビジネスプロセスモデリングの世界で基本ビジネスプロセス(elementary business process)と呼ばれると紹介しています。また、これについて「システムの機能を非常に簡単にまとめたものが、システムがサポートするユーザー目的のリストです。これを基礎として、優先度付けや納品、チーム分け、見積もり、開発を行います」とも言っています。便利そうですね。

業務プロセスを記述する際の粒度の概念として、参考になるかもしれません。


※ 正確にはユースケースにおけるアクターの目的のレベル(抽象度)。全部で5レベルを定義。
1. 非常に粗く要約した(Very summary (very white))/雲のシンボル
2. 要約(Summary)/凧のシンボル
3. ユーザー目的(User-goal)/波のシンボル
4. サブ機能(Subfunction)/魚のシンボル
5. 記述してはいけない一部のサブ機能(Some subfunctions (black) should never be written)/貝のシンボル