B組の名古屋グランパスは甲府に0−1で敗れ、初戦を飾れなかった。昨季覇者の柏が浦和に2−1で逆転勝ちし、2連覇に向けて好発進。新潟は徳島に勝った。A組では今季J1に復帰したG大阪が神戸に快勝。清水は仙台に大勝し、FC東京は鹿島を破った。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に出場している広島、横浜M、川崎、C大阪を除く14チームが2組に分かれて1次リーグが行われ、各組2位までが準々決勝に進む。
◆甲府1−0名古屋
若きタレント集団が紡ぎ出したコンビネーションに明るい未来が見えた。前半16分、中央でボールを持ったMF望月がFW矢野、DF森を経由して再びボールを受けると、FW永井へ針の穴を通すようなスルーパス。永井が落としたボールを最後はMF松田がダイレクトでシュートした。
延べ6人がワンタッチ、ツータッチで守備網をくぐり抜け、流れるようにパスをつないでのフィニッシュシーン。シュートは惜しくも枠をそれたものの、観客のため息を誘うには十分のインパクトがあった。ベテランGK楢崎は「狭いスペースでボールを受けてつなぐ、技術の高さを見せていた」と感心した。
西野監督は過密日程を考慮し、Jリーグで起用し続けている不動のメンバーからスタメンを9人も変えた。甲府戦で先発した11人のうち2年目の望月、新人の森、MF矢田の3人が一気に公式戦初スタメンを飾った。
対する甲府はベストメンバー。試合前から苦戦が予想されたが、平均年齢23歳のヤング・グランパスは逆にボールを支配した。野洲高時代から将来を嘱望されている望月は常にキラーパスを狙った。終盤は途中出場した小屋松、青木、杉森の10代トリオを中心に甲府を圧倒した。
望月は「守備面で課題も感じましたが、ボールを取られないという自分の良さは出せた」。練習では決して得られない手応えを感じ取った。
結果的には完封負け。ホームでの敗戦は予選リーグ突破に向けて手痛い1敗には違いない。主力を大量に休ませた西野流の選手起用法にも賛否両論あるだろう。一方で楢崎は「若い選手は試合の感覚を得られた。ポジティブにとらえられる面もある」。この夜に若手が放った輝きは、確かに将来へとつながっていく。 (木村尚公)
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