豊川の住宅火災夫妻死傷/解雇に恨み?容疑認める/香川県で身柄確保
2014/03/20
今月5日に豊川市三蔵子町の会社員、新井義介さん(61)宅が全焼して焼け跡から新井さんの遺体が見つかり、妻(59)がケガを負った事件で、県警は18日、妻の胸を刺したとして本籍豊川市住所不定無職の久保知暁(ともあき)容疑者(42)を殺人未遂の容疑で逮捕した。久保容疑者は「私がやったことに間違いありません」と容疑を認めている。新井さんの殺害と放火についても認める供述をしている。
逮捕容疑は、5日未明に殺意を持って刃物のような物で妻の左胸を刺したとされる。県警捜査本部によると、久保容疑者と新井さんは、職場の元上司と部下の関係。久保容疑者は昨年6月に同僚とのトラブルにより職場を解雇されており、解雇を告げた新井さんに恨みを持っていたという。
火災は5日午前3時50分ごろに発生した。住宅が全焼し、遺体で見つかった新井さんの死因は、アゴ下の切り傷による出血性ショック死であると判明。胸を刺されていた妻は「4日昼ごろに自宅へ侵入してきた男に刺された」と話していた。
捜査本部は、侵入した男が妻に「仕事の関係で新井さんを恨んでいた」などと話したことから、新井さんの勤務先の退職者などを調査。トラブルで退社した久保容疑者の犯行と特定して行方を追い、香川県高松市のスーパー銭湯で職務質問し、同市の警察署で18日午後9時40分ごろに逮捕した。
妻が捜査員に話した内容によると、久保容疑者は4日午後1時30分ごろに宅配を装って新井さん宅へ侵入。妻の手足を縛り上げて2階に連れていったという。久保容疑者は午後5時30分ごろに退社した新井さんを帰宅後に殺害。胸を刺された妻は、5日未明の出火後に2階の窓から飛び降りて隣家の庭に逃げ込んでいた。
新井さんの殺害や放火した時刻の前後関係、遺体近くに落ちていた包丁が凶器であるのかは捜査中。久保容疑者は、妻とは面識がないが殺意を認めており、殺人未遂容疑で逮捕した。縛り上げた物は久保容疑者がほどいたとみられる。
捜査本部は、新井さんの自宅場所を知っていた経緯や犯行動機などについて調べを続け、殺人や放火の容疑でも逮捕する方針。
妻が逃げ込んだ隣家の男性(65)は「許せない。同情の余地はない」と犯行に憤慨した様子で語る。男性は5日午前4時ごろに火災に気付き妻、息子と消火活動を実施。新井さんの妻が庭でうずくまっていたため、毛布を差し出したという。
新井さんと男性は同じ職場に勤務。部署が異なるため、顔を合わせることは少なかったが「リーダーシップを持った優秀な人だった」と振り返る。火災の1週間ほど前には、住宅近くで顔を合わせて会話を交わしており、夫婦仲は良い印象だったという。
火災が事件として発覚後、不眠状態が続いたという男性は犯人逮捕の一報に「胸のつかえが下りた。奥さんは気の毒だった」と気遣った。
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