高島市安曇川町の鴨川河川敷に放射性セシウムに汚染された木材チップが放置されていた問題で、滋賀県は同所に持ち込まれたものと同じ排出元から出たチップが山梨県にも放置されていることを把握しながらも、山梨県側に情報を伝えていなかったことが、関係者への取材で分かった。
関係者によると、滋賀県は運搬業者や排出元などへの聞き取りを重ね、チップの搬送経路を調査。その過程で昨年十一月、高島市の放置に関与したとされる神奈川県の男性が東京都の運搬業者に高島市だけでなく山梨県富士河口湖町にも搬入を依頼した電子メールの写しを入手した。
滋賀県は今年一月末、メールに記載されていた民有地を調査したところ、木材チップの入った約四十の大型土のう袋を確認したが、山梨県へは情報提供せず、放置されたままになった。
山梨県は本紙の取材で状況を把握し、三月十二日に現地調査をしたところ、大型土のう袋三十六個を確認。チップからは最高で一キロあたり三四〇〇ベクレルの放射性セシウムを検出した。現在はブルーシートで土のう袋を覆って敷地内を立ち入り禁止にし、排出業者の特定に向け調査をしている。こうした経緯に滋賀県は「調査内容に関わることは一切答えられない」としている。
この問題をめぐっては、昨年三月ごろから鴨川河川敷に木材チップが無断で放置され、滋賀県の測定で最大で一キロ当たり三九〇〇ベクレルの放射性セシウムを検出。県と市民団体が廃棄物処理法違反と河川法違反の疑いで業者三人を相次いで県警に告発し、県警は六〜七日、滋賀県内外の関係先数十カ所を家宅捜索をしている。
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