仕事のため、みずほ銀行の個人の口座を作る必要があったのだが、その銀行口座を解説する手続きで、対応にあたった行員が、極めて信じられないほどに契約というものを軽視していた。
みずほ銀行に口座を開く手続きのために、書類に必要な事項を記載し、署名捺印となった。行員は捺印の二箇所を私に指示した。一箇所は単に捺印するだけであったが(法的にも、印鑑は署名の代わりに補助的に用いることができるだけの極東の奇妙な風習である)、もう一箇所には、「私は規約に同意しました」的な文面があった。
はて、これはなんだろう。
私「すみません、これはなんですか」
行員「そこに押してください」
私「いえ、この規約ですが、これはどこにあるのですか」
行員「それでしたら裏にあります」
なるほど、裏にかかれていた。その規約を確認すると、みずほ銀行は私の個人情報を、市場調査などの統計解析のために使うことができるし、ダイレクトメールを送りつけるためにも使うことができると書かれていた。
私「市場調査のための統計解析に私の個人情報を使うのですか?」
行員「はい。それは市場調査のために使う可能性があるということです」
私「ダイレクトメールを送るために私の個人情報を使うのですか?」
行員「いえ、それは、クレジットカード会社が宣伝のためにダイレクトメールを送る可能性があるということです」
私「しかし、この文面によれば、クレジットカード会社に限るようには読めませんが」
行員「えーと、ちょっとすみません」
(行員、規約の文面を確認する)
行員「そのようですね」
何だこの素人ぶりは? 可能性? なぜ人に契約するよう指示する文面について理解していないのだ。
さらに確認すると、その他の規約については、別のもの(文書名を失念)を参照している。なるほど、するとその参照されている[文書名]の規約にも同意したことになるわけだ。
私「この[文書名]はどこで閲覧できますか?」
行員「それは契約後に自宅に送る資料に含まれています」
私「今確認できないのですか?」
行員「あとで自宅に送ります」
私「あなたは、今ここで私が確認できない契約への同意を私に求めているのですか?」
行員「あとで手元に資料が届いて、確認した後に解約できます」
いったい何なんだ。この契約の軽さは。みずほ銀行というのはこんなにも契約を軽んじている銀行なのか。
私「そもそも、あなたははんこを押すことを私に指示する前に、この規約を私に読ませるべきだったのではないですか」
行員「そうでした。すみません」
行員は何の感情も示さずに、慌てず騒がず、プロフェッショナルに謝罪した。まるで機械のような即答ぶりだった。不思議だ。ここは本来、大慌てするべきところではないのか。この行員は、契約締結にあたって、私に契約内容を一切説明しなかったのだ。そのような契約の有効性は疑わしいものだ。
仕事で必要なので、私は仕方なくみずほ銀行の口座を作った。しかし、みずほ銀行のこの契約に対する軽さはなんなのだろう。みずほ銀行員は契約の文面を契約予定者に確認させずに、契約予定者に署名捺印を指示した。これは単に行員個人の問題ではなく、みずほ銀行全体の問題のように思われる。
そういうわけで、今や私の個人情報は、みずほ銀行が市場調査などの統計解析のために使うことができるし、私の自宅にダイレクトメールを送るためにも使えることになったわけだ。私が住所を公開しているからといって、SPAM(SPAM缶ならば歓迎だが)を送りつけていいことにはならない。しかし、みずほ銀行は契約により、私にSPAMを送り放題ということだ。
22 comments:
直接みずほに言ってみてはどうでしょうか?
要するに、口座開設してあげるんだから、ありがたく思えということでしょう。
口座開設してあげるんだからありがたく思えということではなくて、契約に含まれていることを確認させもせずに契約を強いるとは何事だってことでしょ…?すごくわかりやすくタイトルにも書いてあるのに…。
銀行の窓口でストレス発散ですか?低俗だねえ。
みずほ総合規定集はインターネットで全世界に公開されてますよ?
口座開設と言う契約をする目的がハッキリしてたのに規約の内容も事前に確認しないで行ったの?
それとも混雑する窓口で100ページ以上もある規約を全部読むつもりだったの?
頭大丈夫?
だりい客の部類
あー、みずほはこんな感じですね。
私も以前「○○しかできません」と言われたので関連書類を黙々と書きました。
書き終えた後、提出の際にふと思い出して「そういや別の銀行は××もできるらしいけど?」と聞いたら「はい、うちでは○○しかできませんが、他であれば××もできるかと思います」
とにっこり返されました。
書類は破棄させました。
ところで、不動産契約は「口頭で規約を説明する」のが法律的義務ですよね。
アパート借りる時とか、しこたま説明されます。
銀行は違うんですかね?
少なくとも、規約をインターネットで事前確認してから来いなんていうアホな仕組みではないはずとは思うのですが…
頭の悪い客のために簡易説明による店員の省力化・契約締結の短縮化を極限まで突き詰めた結果の今なんじゃないですかね。
だから店員の教育を軽視していい理由にはならないけど、詰め込み教育しすぎるとあっさり退職したり自殺してしまう一般社員側に求めすぎるのも逆の問題になるだろうしWin-Winは難しいですね。
規約なんてまともに読ませないようなものは他にも沢山あるので、ある程度ヒューリスティックに峻別していくのが常識的な対応というものだろう。
むしろこういう理屈で文句を言う厄介な客に対し、冷静に謝罪も含めて対処する行員はかなり訓練されている印象を受ける。訓練されていないと動揺してしまうだろう。理屈っぽい相手に感情に訴えて謝罪しても効果は薄いので、この行員の対応はある意味合理的で適切であると言えよう。
別の人間に替わるように言うか、日を改めるべきでしたね。
銀行との契約は、商店で物を買うのとは違います。どんなに態度悪い店員だろうが、出てくる商品が同じなら良いじゃないか、とはいきません。
行員は預金者の個人情報のかなり深い部分を取り扱います。記載漏れ、伝達不備、情報漏洩など、少しのミスで預金者に被害を与えることができるのです。
だからこそ、信頼出来ない人間とは契約を結ぶべきではない。信頼できる人間が出てくるまで待つべきでした。
みずほは近くに無いから知らんけど、三菱東京UFJも似たような感じだったよ。
態度や仕事ぶりに個人攻撃する気は無いけど、
これなら振り込め詐欺の口座やマネロンのための口座も気軽に作れるね、と思いました(こなみかん)
そうしろって言うわけじゃないのですけど、
いったんそこは契約を中止にして、
本社に苦情を出すとかしないと変わらないのでしょうね。
私の場合、業務の効率の悪さにぶちきれる。
あいつらは頭が悪すぎる。
>それとも混雑する窓口で100ページ以上もある規約を全部読むつもりだったの?
>頭大丈夫?
いや、規約読まずに契約する方が「頭大丈夫?」でしょう。江添さん的には。
オンラインで口座開設するならともかく、窓口で契約するものを「規約をネットで確認してこなければならない」なんてのは、上でも指摘されているとおり道理に合わない。
とはいえAnonymousさんの言うように「だりい客」であることは事実ですが。
私はそもそも銀行員ごときにそんなパラノイアックなメンタリティは期待していないので、頭の悪い人とは言い争わずに粛々と書類を書きますが。
それにしても江添さんの
>「そもそも、あなたははんこを押すことを私に指示する前に、この規約を私に読ませるべきだったのではないですか」
は正論すぎて吹いたw そりゃそうだw
では、なぜ「この文とこの文とココとココ・・・これらは同意しかねますので、この分だけ削除した書面作りなおしてもらえますかね」と要請しなかったのだ。
それを妥協してハンコ突いたということは、こんな記事を書いておきながら、結局は「自分も契約を軽視してます」と言ってるようにしか見えないのだが。
中途半端に引き合いに出されてボロッカス言われてる窓口のねーちゃん可哀想。
>では、なぜ「この文とこの文とココとココ・・・これらは同意しかねますので、この分だけ削除した書面作りなおしてもらえますかね」と要請しなかったのだ。
それ、不可能でしょう。
>仕事のため、みずほ銀行の個人の口座を作る必要があったのだが、
それがなければ、みずほ銀行は避けただろう。
■みずほ銀にもビットコイン訴訟の矛先、米加で相次ぎ賠償請求
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2F00T20140316?rpc=131
>いや、規約読まずに契約する方が「頭大丈夫?」でしょう。江添さん的には。
いやいや、これはこういうエントリーを書くほど契約リテラシー()の高い江添さんが「今ここで私が確認できない」&「同意できない」契約にも関わらず自分の意思でハンコをついて契約してきたという、社会人として信じられない契約軽視姿勢を自らさらけ出したと言うおもしろストーリーでしょう。自分の「頭大丈夫?」という認識は本人には無いと思われる。
>みずほ総合規定集はインターネットで全世界に公開されてますよ?
すべての人がインターネットを使える前提で物事を考えてるあんたこそ頭大丈夫?
コメントに集まる奴隷客どもの恥ずかしいこと。何を勘違いして企業目線(笑)に立って同じ一般客を馬鹿にしてるんだか。企業様に文句を言うやつは全員クレーマー、と洗脳されている便利なお客ちゃまだよなぁ。
久々に江添さんらしい記事だと思ったら軽く炎上してて面白い。
>みずほ総合規定集はインターネットで全世界に公開されてますよ?
こんな斜め上の批判が出てくるのも江添さんのブログならではだと思う。
銀行口座を開設しようとするときに合理的に解釈される当事者意思の範囲内で普通契約約款がつくられてきたから、
「ここにハンコ押してください」という処理が許されてきた。
しかしながら、近ごろはかくのごとく、
抱き合わせでなし崩し的に、
どこぞに個人情報を流したり、
どこかわからん業者が宣伝を送りつけたりすることを
承諾させる事業者が増えているのである。
この点では、最近あったSuicaの履歴を販売すると言い出したことにまつわる騒動とも共通している。
つまり、
公共性が高く、利用しないと暮らせない性質のものであるにもかかわらず、
意図している本来必要な債権債務の範囲外の債務を
半強制的、なし崩し的に抱き合わせることがいけないのである。
合理的意思解釈の範囲外のことに関しては、
締結前に契約内容を説明するのが当然である。
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