豊川火災死傷:事件直前、住居解約…逃亡を事前計画か

毎日新聞 2014年03月19日 15時00分

 愛知県豊川市で民家が全焼し、焼け跡から会社員の新井義介さん(61)の遺体が見つかった事件で、義介さんの妻の胸を刺したとして殺人未遂容疑で逮捕された、義介さんの元部下の久保知暁(ともあき)容疑者(42)が、事件直前に市内のアパートの賃貸契約を解約していたことが、捜査関係者の話で分かった。

 県警豊川署捜査本部は、義介さんを殺害して逃亡することを事前に計画していたとみて、久保容疑者を追及する方針。

 捜査本部によると、久保容疑者は鉄道車両メーカー大手「日本車輛製造」の関連会社である南組(本社・名古屋市南区)豊川営業所に勤務し、豊川市内のアパートに住んでいた。久保容疑者は昨年6月に同社を解雇されたが、その後も移転していなかった。だが、今月初めに突然、アパートを引き払ったという。

 久保容疑者は4日夜〜5日未明、会社の上司だった義介さんを殺害して家に火を付けた後、自分の車で逃亡したとみられる。県警は18日、高松市のスーパー銭湯で久保容疑者を発見し、新井さん宅で妻博子さん(59)の左胸を刃物で刺したとして逮捕した。

 久保容疑者は博子さんに対する殺人未遂容疑だけでなく、義介さん殺害と放火についても認め、動機については「職場でトラブルがあり、解雇された。解雇を言い渡した義介さんを恨んでいた」などと話しているという。【岡大介、三上剛輝、清藤天】

 ◇職場でトラブル多く配置換えも

 新井義介さんが勤務していた南組の喜多秀和社長は19日、豊川市内で記者団の取材に応じ、久保容疑者について「普段はおとなしいがカッとなる面があり、職場でのトラブルは多かった。同僚とけんかになったため、昨年4月に配置換えをしたが、異動先でもトラブルがあり、解雇した」などと話した。

 久保容疑者は解雇を言い渡されると「どうして私なのか」と抵抗し、納得していない様子だったという。

 義介さんは同社豊川営業所長を務め、リーダーシップがあり、思ったことをはっきり言う性格だったという。喜多社長は「(義介さんを)頼りにしていたので残念。遺族には申し訳ない」と話した。【稲垣衆史】

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