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売却総額4769億円、節税429億円/(C)日刊ゲンダイ

総額429億円!駆け込み売りで課税逃れたオーナー15人- 日刊ゲンダイ(2014年3月19日10時26分)

 アベノミクスで儲けたのは結局、富裕層だけだった――。

 日本共産党の大門実紀史参院議員が先週14日の予算委で、大金持ちの“課税逃れ”の実態を明らかにしている。

 株の売却益や配当にかかる税金を10%に抑えていた「証券投資優遇税制」が、今年から本則の20%に戻った。このことを踏まえ、大門議員は昨年に100億円を超える株を売った株主15人を調べた。すると、売却額の総額は4769億円に上り、利益から推計した「節税額」はナント、429億円になったというのである。

■資産管理会社も駆使して節税

 税率が上がる前の「駆け込み売買」は明らかで、大門議員は「庶民の暮らしが厳しい時にお金持ちは節税に走ろうとしている。合法的な課税逃れ」と予算委で怒りをあらわにしていた。

「課税逃れ」の手口も実にイヤらしい。本人名義の株式保有が3%を超えると総合課税になり、40%以上の税率が適用されることから、3%超分を資産管理会社などに移し、税率の安い分離課税を受けていた。

「大株主や証券会社は、株売却の課税率を上げると『資産が海外に逃げる』と反対していましたが、本則に戻った今も、ドイツ(26%)やイギリス(28%)に比べてはるかに安い。海外に逃げるどころか、日本は今でも金持ちに優しい国なのです」(経済誌記者)

 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。

「小泉・竹中内閣の時、会社は経営者と従業員のものから、株主のものへと認識が変わった。つまり、従業員の給与などは二の次で、ひたすら株主のものと判断されるようになったのです。儲かっても従業員に還元されず、株主だけが儲かる。株を持つ一部の富裕層と株を持たない庶民との格差は広がるばかりです。アベノミクスの株高とは結局、貧富の格差を広げるものです」

 たった15人で4769億円もの売却代金を手に入れているのだから庶民には信じられない話だ。“課税逃れ”していた楽天の三木谷浩史社長は、政府の産業競争力会議の民間議員として、大衆薬のインターネット販売の解禁を訴えていた。エラソーなことを言う前にバーンと税金を払ったらどうなのか。

【“課税逃れ”と指摘される主な個人オーナー株主企業】

◆企業名/株主/売却額/節税額

◇ソフトバンク/S氏/2313/231

◇ニトリHD/N氏/453/39

◇楽天/M氏/296/28

◇光通信/S氏/188/14

◇セガサミーHD/S氏/178/18

◇東建コーポレーション/S氏/152/13

◇コロプラ/B氏/150/15

◇エービーシー・マート/M氏/144/3

◇エービーシー・マート/M氏の妻/144/14

◇サンマルクHD/K氏/140/14

◇小林製薬/I氏/139/6

◇ドウシシャ/N氏/136/9

◇バンダイナムコHD/N氏/119/6

◇ドン・キホーテ/Y氏/109/8

◇メッセージ/H氏/108/11

◇計/―/4769/429

大門事務所試算。単位は億円

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