4月13日(水)告示、20日(日)投開票で実施される、練馬区長選。インターネッ党としてもどのようにコミットしていくのかを考えた時に、練馬区政についてリサーチすることからはじまります。
前回は同区における歳出構造(お金の使い方)のお話(http://internetparty.jp/ml/vol1/)でした。今回は、歳入構造(お金の稼ぎ方)について見ていきたいと思います。
まずは復習からですが、練馬区の平成26年度の予算規模は総額3735億円でそのうち一般会計が2391億円、特別会計1344億円となっています。一般会計というのは使用用途に限定が無いお金で、特別会計というのは健康保険や介護保険など行政が長期間運用する特定の事業を実施するために分離して区分されているお金のことですね。練馬区の場合は特別会計のお金は国の社会保障事業を代行して、やっているようなものなので今回は分析の対象から外し、一般会計の2391億円のお金がどこから来たものか、ということについて見ていきたいと思います。
さて練馬区の一般会計2391億円の税収は以下のような構造になっています。(自主財源と依存財源の振り分けは勝手に私が振り分けたもので、細かくやればもうちょっと数値が変わるかもしれませんが、大きくは変わらないと思います。)
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【自主財源:1787.3億円(74.7%)】
○特別区財政調整交付金 763.4億円(31.9%)
○特別区税 620.2億円(25.9%)
○特別区債 75.2億円(3.1%)
○繰入金 73.3億円(3.1%)
○諸収入 51.3億円(2.1%)
○その他 203.9億円(8.6%)
【依存財源:604.0億円(25.3%)】
○国庫支出金 452.0億円(18.9%)
➡国からもらう補助金
○都支出金 152.0 億円(6.4%)
➡東京都からもらう補助金
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/zaisei/yosan/h26/h26tosho/index.html
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こう見ると練馬区は自前でコントロールできる収入が75%に上っており、財政的にかなり健全な地方自治体ということが分かります。収入の柱となってる3つの項目について説明しますと以下のような感じです。
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○特別区財政調整交付金・・・東京都が【固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税の3税】を徴収し、そのうちの55%を区にルールに基づいて再配分して交付するお金のこと。東京都が練馬区に変わって徴収して後から配る、と考えると分かりやすい。
http://www.tokyo23city-kuchokai.jp/seido/gaiyo_2.html
○特別区税・・・練馬区自体が徴収する税金です。特別区民税(個人の住民税の一部。なお法人う住民税は都税)、特別区たばこ税、軽自動車税、入湯税があります。
・特別区民税:一人当たり3000円+所得×6%
(平成23年度実績だと556.7億円)
・特別区たばこ税:たばこの価格の25.6%
(平成23年度実績だと36.4億円の税収)
・軽自動車税:自家用の乗用車で年間7200円
(平成23年度実績だと2.4億円の税収)
・入湯税 :1200円を超える温泉施設に一人当たり150円
(平成23年度実績だと2300万円の税収)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/zei/kuzeitushin.files/kuzeitusin-04.pdf
○特別区債・・・練馬区の借金です。現在練馬区の区債の発行残高は、学校や道路や老人ホームなどの建設物を立てるために発行した566.3億円となっています。毎年の自主財源の30%程度なので健全な範囲でしょう
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/zaisei/jokyo/24simohannki.html
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こうして見て来たように練馬区の財政というのは極めて健全で地方自治体としては非の打ち所がほぼありません。ただこれは練馬区の努力というよりも、東京都自体が人口が増え続けており、かつ平均所得595万と他府県に比べて飛び抜けて高いことによるもののように思えます。
http://president.jp/articles/-/1509
しばらくは東京はまだ人口が増え続けるわけですが、2025年ごろから人口は減少傾向に入りますし、高齢化が進んで所得が無い人が増えていくことを考えると、今の練馬区のような個人の所得税に依存した歳入構造というものがいつまで続けられるのか考えるべき時期にそろそろ来ているように思えます。高齢化社会が地方自治体財政に与える影響は破壊的なものになりそうです。
そういう意味では練馬区では民間での長期経営計画にあたるようなものが、現状は見て取れないのので長期的な歳入の在り方を考えて行かなければならないような気がします。そうした点について練馬区長選で議論が深まることを期待したいです。
「今儲かっているからよし」ではなく、子供の世代を見据えた将来的に持続的な行政経営というものを考えていかなければいけない時期が来ているのはないでしょうか。
文責;うさみのりや