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東芝の最先端技術が、韓国の半導体大手SKハイニックスに流出した疑いが強…
東芝の最先端技術が、韓国の半導体大手SKハイニックスに流出した疑いが強まり、警視庁が強制捜査に入った。
対象となったのは、スマートフォンなどに多用されるデータ記録用の半導体「フラッシュメモリー」の研究データだ。東芝の提携先である米サンディスク日本法人の元技術者が在職中に東芝のサーバーからコピーし、転職先のSK社に提供したとして、不正競争防止法違反の疑いで逮捕された。
並行して、東芝は容疑者とSK社を相手取り、民事訴訟も起こした。損害額は1千億円規模とみられる。
容疑者は犯行を認めているという。有罪になれば、民事訴訟でも強力な追い風になる。
大事なのは、事実の解明と不当利得の回収である。秘密を盗むことも、盗まれた秘密を買うことも、損得勘定で割に合わない。「やり得」は通じない――という教訓を残さなければならない。
不正競争防止法は、利益を得るために盗まれた技術を使っていたなら、外国企業でも処罰の対象になる。不正を顧みず、カネにあかせて技術を買い集める風土があるなら、日本の官民が連携して是正を求めていく必要もあろう。
ましてやSK社は、次世代メモリーの開発では東芝と提携しており、パートナーの関係でもある。容疑者を厚遇で迎え、「訳あり」データを利用した経緯について、きちんと説明責任を果たすべきだ。
産業競争力を支える独自開発の技術が、退職者や転職者を介して韓国や中国に流出していることは、日本メーカーの地盤沈下の一因とされてきた。
そこに犯罪捜査のメスが入るのは極めてまれで、今回の事件も氷山の一角に過ぎない。
技術流出をとめるには、不正競争防止法の要件の緩和や厳罰化だけでは限界がある。
なにより、企業側が社内態勢を見直していかなければならない。技術者が目先の誘惑に流されないよう、やりがいを持ってもらう工夫とともに、不正の「やり得」を許さない自衛策の徹底が不可欠だ。
社員やOBと守秘義務契約を結んで情報の管理を厳重にし、コンピューターの操作履歴など証拠の保存も図る。そうした基本的な対策すら手が回らない企業がまだ多い。問題が起きても会社の世評を気にして泣き寝入りする例も少なくない。
ちぐはぐで及び腰な姿勢が不正を助長する。そんな認識を持ち、流れの根を断ち切る時だ。
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