世界の中の日本

共通点が多い偽ベートーベンとSTAP細胞研究者若いときにちやほやされ、嘘が当たり前になった哀れな人生

2014.03.19(水)  伊東 乾

 はっきり書いてしまえば「偽博士」ということになります。この場合、本当に早稲田大学に請求して学位記を取っていますから、「偽ベートーベン事件」で言えば作曲の方ではなく「偽聴覚障害」で手帳を請求し、本物の聴覚障害2級を持っていた事態と、私の目には重なって映ります。

 「代作交響曲」問題はさておき、

 偽ベートーベンは、改めて正式の聴覚検査で障害を認められず、障害者手帳を返納しました。

 NATUREに発表した「STAP細胞論文」問題はさておき、

 若手研究者は、改めて細かくチェックされ盗用その他が明らかになった博士論文の撤回を早稲田大学に求め、博士ではなくただの人に戻ろうとしています。

 障碍者を語っての模造クラシック音楽詐欺と、一節まるごと盗用などして博士号を得、通常では考えられないような好待遇でバイオサイエンスの一線に立ってしまった若者。

 もちろん、具体的には多くの詳細にずれがありますが、

 「初期にイージーな嘘をついて、それが通ってしまい、味をしめて人間として腐った」

 という部分については、共通する部分があるような気がする・・・科学畑でも育った一音楽家として思うのです。

 こういうのは一度、早い時期にガツーンとやられればよかったんですよ、ガツーンと。ネットバブルの頃も、こういう腐った若者をたくさん見たのを思い出しました。

 本当のドン底に落ちる経験がなかった、恵まれたことが仇になった、そんなことなのかもしれません。まこと「可愛い子には旅をさせよ」とは、昔の人はうまいことを言ったものです。

 次回はこれに続けて、高等学術研究、特に学際融合の落とし穴についてお話ししたいと思います。

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