経済の死角

現役トップ選手23名をレースから締め出さないで! 日本競輪選手会からの脱退騒動に揺れる「競輪」の未来について考える

文: 齋藤宏章(競輪を応援する学生の会代表)

2014年03月12日(水)
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ロンドン五輪のケイリン競技に出場した渡辺一成選手 〔PHOTO〕gettyimages

競輪の存続基盤が揺らいでいる

昨年は2020年東京オリンピックが決定し、日本中が沸きました。どのようなオリンピックに仕上げていくのか、様々な声が上がっています。大きなビジネスチャンスと捉えている人も多いでしょう。開催国になるにあたって、スポーツ選手をどのように養成するのか、東日本大震災から9年後をどのようにするのか---日本の未来がまさに描かれています。

日本発のオリンピック競技と言えば「柔道」を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は「ケイリン」も日本発のオリンピック正式種目です。夏季オリンピックの自転車競技は大きくロードレース/トラックレース/マウンテンバイク/BMXに分かれます。そしてトラックレースの競技にはスプリント、団体追い抜き、オムニアムなどと並び「ケイリン」という種目があるのです。

名前の通り、これは日本の公営競技である「競輪」を元に作られた種目です。使用する自転車の種類、細かいルールなどに多少の違いはありますが、日本の競輪を雛形に、2000年のシドニーオリンピックから正式種目として採用されました。2008年の北京オリンピックでは永井清史選手が銅メダルを獲得しています。

では日本での競輪事業はどうなっているのでしょうか。1991年には1兆9,553億円の売上があったものの、その後は右肩下がりで推移し、2012年には6,091億となっています。他の公営競技と同様に、急速に売上が減っています。

競輪事業を主催する地方公共団体の収支を見ても厳しい現状が分かります。平成21年には48の競輪施行者数中、12の施行者が赤字となっています(競輪事業のあり方検討小委員会)。これに消費税率アップが加わるのですから、競輪の存続基盤が揺らいでいると言っても過言ではありません。

学生の視点から見ると、普段の生活の中で競輪の面白さや魅力に触れる機会はあまり多いとはいえません。より多くの人に競輪の魅力を伝えていく事が今後の課題となるでしょう。

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