現役トップ選手23名をレースから締め出さないで! 日本競輪選手会からの脱退騒動に揺れる「競輪」の未来について考える文: 齋藤宏章(競輪を応援する学生の会代表)

2014年03月12日(水)
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現役選手23名の選手会脱退表明

実は今、ある事件を巡って、競輪選手会が揺れています。昨年12月に23名の競輪選手がオリンピックに向けた自転車競技の強化や、競輪界を盛り上げていくため、「日本競輪選手会を脱退し、新選手会を発足させる」と表明したのです。

「未来志向の強い決断だ」とメディアでは評価されましたが、その後、1月20日に23名が退会届を撤回したことが発表されました。退会を表明した選手らに対し、選手会では長期間の出場自粛などの処分が検討されているそうです。

このような書き方をすると今の選手会が競輪界を盛り上げていく活動をしていないように思われるかもしれませんが、選手会もこれまでに様々な取り組みを行なっています。

各都道府県の支部ごとに、競輪場で実際にトラックを走ってもらうなどしてファンとの交流を深めるイベントを開催したり、愛好家や小学生に対して自転車教室を開いたり、自治体の祭りやパレードに参加するなど、競輪の魅力をより身近に感じてもらおうと、それぞれの選手が競輪の未来を考えて地道な活動を続けています。

私自身も競輪とは接点があります。私は大学で剣道部に在籍していましたが、4年生の時から現在処分対象になっている長塚智広選手にトレーニングの指導を受けていました。人伝てに知り合う機会があり、「是非、プロのトレーニングを教えて欲しい」とお願いすると、長塚選手は快諾して下さいました。

プロのアスリートなど全くご縁が無かった私たちに、長塚選手を中心に競輪選手の方々がトレーニングのノウハウ、プロがスポーツをどのように考えているのか教えて下さいました。特に興味深かったのはバランスボールを用いた体幹トレーニングの重要性です。

「使う筋肉を連動させるには体幹を鍛えて上下を繋げないといけない」
「どこの筋肉を使っているのか意識しながらやらなくちゃダメだ」

このように指摘され、足を挙げお腹まわりの筋肉をプルプルさせながらトレーニングしたのはいい思い出です。長塚選手は「もっと科学的に考えて、トレーニングに取り組めば必ず良い選手になれるよ」と私たちの背中を押してくれました。

競輪選手と知り合ったことをきっかけに、競輪という競技そのものに興味をもった私は、実際に競輪場にも足を運びました。動画で見ると分かりにくいのですが、実はレース場にはかなりの傾斜があり、「こんな坂道を倒れずに走るにはかなりのスピードがいるな」と驚きます。

私が初めて見に行ったレースで衝撃的だったのはゴール直前で落車した選手がいたことでした。最もヒートアップし、最もスピードが出ている状況から突如落車し地面に叩きつけられる様は、初めて競輪を直接見る観客にとってかなりショッキングな光景でした。ただ、それだけギリギリのせめぎあいの中で選手が勝利を掴み取ろうと競うからこそ、観客は声援をあげ、選手にお金を賭けるのだと思います。そうした必死さも競輪の魅力の一つです。

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