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「痛み」が僕らを現実に引き戻してくれる 山川冬樹インタビュー
インタビュー・テキスト:徳永京子 撮影:相良博昭(2014/03/18)
絶対にわかり得ないんですけど、死に直面した身体が感じた苦痛そのものを、自分の身体で想像しようとしてしまうんです。
―山川さんは一貫して身体性……というか「性」も超えた「身体」で行動を起こして表現を立ち上げていますが、時代はどんどん身体を失っていますよね。かといって認識の許容量も大きくなってはいない。そういう中で虚しさを感じることはありませんか。
山川:うーん、世の中にはぜんぜん楽観的にはなれませんが、たぶんこの先も自分は自分のやることを淡々と続けるしかないと思っていて。でも……、虚しさというより怖いかな。さっきも言いましたけど、僕は普通に生きていきたい気持ちがあるんですが、果たしてそれができるのだろうかと。自分にとっての「普通に生きること」と、世の中にとっての「普通に生きること」が、これからどんどんズレていくような気がして。それでも何とか生きていかなければなりません。
―今、質問として虚しさという言葉を使ってしまったんですが、山川さんのパフォーマンスのダイレクトさには、虚しさという脆弱な感覚も吹き飛ぶと言いますか、自分の身体を一瞬で鮮烈に意識させられます。
山川:父はジャーナリストとして戦場にも特派員としてよく行ってたんです。だから戦争のこと、特に中東の戦争は子供の頃から身近で、戦争を概念的なものでなく、そこで現実に殺される人がいるということを父を介して肌で感じながら育ちました。父が危険な目に遭った話もよく聞かされていましたし、当たり前のように人間の身体が破壊され、血が流され、命がなくなっていくということを教えられた。だから戦争報道を見ても、可哀相だという感情よりも、まず殺された人の身体が感じた苦痛そのものを、自分の身体で想像しようとしてしまう。それは絶対にわかり得ないんですけど、感情移入じゃなくて身体移入しようとしてしまうんですよ。だから三島の自決にも同じような想像をどうしてもしてしまいます。
―山川さんの場合、感情じゃなく身体で移入してしまうんですね……。
山川:はい。ホーメイを習得できたのも、身体的に移入する勘に長けていたからかも知れません。「痛み」というものを特権化してしまうと、おかしなことになりがちなんですが、身体を忘れて概念だけが一人歩きしようとするときに、「痛み」が僕らを実体を持った「私」へと強制的に引き戻してくれるのは確かです。その直接性、即物性ゆえに「痛み」は、あらゆる概念化に抵抗するというか。普段から身体に注意深く耳を傾けていれば、わざわざ痛い思いをする必要もないのですが、僕は自らの身体をメディアとして扱って表現する者として、やはり「痛み」の感覚は、とても根本的なものだと考えています。
―もともと『金閣寺』は小説だったので、舞台『金閣寺』は小説を戯曲化しているわけですが、そのために選んだ手法はストーリーを順に追ってリアルに再構築するのではなく、最初からリアリティーを手放したものでした。つまり抽象的な概念を表現して1つの世界観を提示していますが、その概念を象徴するのが鳳凰という役で、それを山川さんが何の扮装もせずに演じたことで作品を身体化できたし、一段深く概念化できたという感じがします。
山川:そうかもしれません。『金閣寺』はやはり三島自身の自画像であり、時代を超えて僕らに問いを投げかけ続ける作品ですよね。自決する前の年、三島は東京大学に単身で乗り込んで、全共闘の学生たちと公開討論をしたことがあるんです。思想が対立する学生たちに、真っ向からフェアに向き合っていて、その姿勢には感動させられるんだけど、学生たちの舌鋒もかなり鋭くて、微妙にやりこめられそうになったりもしてるんですよね。
左から:水橋研ニ、柳楽優弥、水田航生
―そうなんですね。
山川:討論の終盤、「なぜ、天皇にそこまでこだわるのか?」と問いに、彼は「揚げ足を取られるからこんなこと言いたくないんだけど」と前置きしながら、学習院高等科の卒業式を振り返ってこう言うんです。「そのとき、天皇陛下から時計を貰ったという個人的な恩顧がある。人間には個人的な歴史というものがあり、そういうものはどうしても否定できないんだ」と。「えっ、そこかよ!」みたいな(笑)。でも、それはすごく良くわかる。やはり僕には僕の否定しがたい個人史があって、僕の認識も行為もそこに根ざしています。では、それはいかほどのものなのか、と三島は常に問いかけてくるんです。僕が重要だと感じるのは、三島の思想の内容やイデオロギーではなく、彼の問いを投げかけるエネルギーそのものなんですね。そのエネルギーは今の日本を生きる僕たちにも、ずっと作用し続けていると思うんです。
柳楽さんは顔合わせでお会いした時点で、すでに溝口のオーラが出ていて驚きました。
―その『金閣寺』の4月に行なわれる再演では、メインの役どころの俳優がガラッと変わりますが、新しいキャストによって山川さんの演技も変化しそうですか?
山川:再演の顔合わせで稽古場に行ったときに感じたのは、「あ、またここに戻ってきてしまった」みたいな、同じ時間と空間にタイムスリップしたような感覚です。同じ夢を何度も見ることってあるじゃないですか。あれに近い感覚でしたね。2011年1月のKAAT神奈川芸術劇場での初演から、日本は歴史的な激動を経験し続けているのに、『金閣寺』の中の世界は変わらない。そのピャラレル(パラレル)ワールド感が凄くて、狐につままれたようでした。作品とは、それが受容される時代との対比において、さまざまな意味を持ちうるものですが、とりわけ『金閣寺』は僕にとって、時代を定点観測的に見るレンズのような役割を果たし始めているように思います。
―山川さんにとって、東日本大震災前までの日本と、2014年の現在とでは、どのような変化を感じられていますか?
山川:例えば2009年、前年に更迭された元航空幕僚長の田母神敏雄さんの退官を祝うピャーティー(パーティー)のスピーチで、現総理の安倍さんは、三島の自決にふれて「あのとき、三島さんの演説を田母神さんが聞いていたらどうなっていただろう」と語っているんですが、その田母神さんが、先の東京都知事選では61万票を獲得し、三島が市ヶ谷駐屯地のバルコニーから飛ばした檄の通りに、今や憲法改正の動きは現実味を帯び、自衛隊は国軍化されようとしている。三島はまるで演劇のようにドラマティックに、自身の人生を生きた人ですが、時代がまさに彼の描いたドラマの通りになってきているのを感じずにはいられません。しかし、三島の生きていた時代と決定的に違うのは、先ほど言われたように、今がとても身体性が希薄な時代だという点です。「痛み」ですら概念化されている。ですから今、生身の身体をもって『金閣寺』が再演されるということは、とても意味のあることだと思います。そう考えると『金閣寺』という作品の本質は不変でも、やはり金閣に対峙する溝口役が柳楽優弥さんに変わったことは大きいですよね。柳楽さんは顔合わせでお会いした時点で、すでに溝口のオーラが出ていて驚きました。それに呼応して僕がどう変化していくのか、自分でも楽しみです。
イベント情報
『金閣寺-The Temple of the Golden Pavilion-』
2014年4月5日(土)~4月19日(土)
会場:東京都 赤坂ACTシアター
料金:S席8,500円 A席6,000円(全席指定) U-25チケット4,500円(25歳以下、チケットぴあにて前売りのみのお取扱い)、高校生以下2,500円(4月5日(土)18:30、6日(日)13:30公演のみ対象、チケットぴあにて前売りのみのお取扱い)
原作:三島由紀夫
演出:宮本亜門
出演:
柳楽優弥
水橋研ニ
水田航生
市川由衣
高橋長英
大西多摩恵
花王おさむ
山川冬樹
磯部勉
大駱駝艦(村松卓矢、湯山大一郎、若羽幸平、橋本まつり、小林優太、宮本正也)
岡田あがさ
天正彩
アフタートーク
4月6日(日)13:30公演終了後 宮本亜門×柳楽優弥
4月10日(木)13:30公演終了後 柳楽優弥×水橋研ニ×水田航生
4月12日(土)13:30公演終了後 宮本亜門×水田航生
4月17日(木)13:30公演終了後 水橋研ニ×藤原道山(ゲスト)テーマ「柏木が尺八を奏でるということ」
※公演終了後、約5分の休憩をはさんでアフタートーク開催。観覧には該当公演のチケットが必要。
金閣寺特設サイト
金閣寺 | PARCO STAGE
「金閣寺-The Temple of the Golden Pavilion-」|TBSテレビ:赤坂ACTシアター
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