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「痛み」が僕らを現実に引き戻してくれる 山川冬樹インタビュー
インタビュー・テキスト:徳永京子 撮影:相良博昭(2014/03/18)
文体も、思想も、死に方も好きじゃないんですけど、三島由紀夫という人間のことをきっと僕は好きなんだと思います。
―もともと、三島由紀夫や原作の『金閣寺』に惹かれていた、ということはあったんでしょうか。
山川:かなり複雑な思いが三島由紀夫に対してあります。まず父が、三島由紀夫を大嫌いだったんですよ(笑)。父はフジテレビのニュースキャスターだったんですが、特派員時代は世界各地の戦争を取材していたこともあり、典型的な戦後のリベラルな考えの持ち主でした。その影響もあって、子供心になんとなく三島に否定的な印象を持っていたんです。とはいえ、学生になってから小説をいくつか読んでみたんですけど、文章が人工的でガチガチに固められていて、「これでもか!」と、くどいほど描写し尽くすでしょう? そういうところも肌に合わなかった。ただ、ずっと気になる存在だったことは確かです。それはやはり、あの人の遂げた最期というのがあまりに強烈だったので。嫌いだけど心に刺さったままずっと抜けない棘のように、僕の中に決して無視できない異物として存在し続けていたという感じです。
―どんなジャンルであれ日本で表現に関わる人にとって、三島由紀夫をどうとらえるかは、必ず向き合わなければいけない問題かもしれません。
山川:日本について考えるときに、あるメルクマールとして機能する、重要な存在であることは間違いないですよね。文体も、思想も、死に方も好きじゃないんですけど、三島由紀夫という人間のことをきっと僕は好きなんだと思います。それは彼がどこまでも正直でフェアな人だったから。彼は自分の思想が本質的にアナーキーなもので、そのエネルギーはテロをも起こしかねない暴力的なものだということをよく自覚していた。だからこそ、それをドラマティックなピャフォーマンス(パフォーマンス)として見せつけこそすれ、決して人に押し付けたりはしなかった。その結果、人を殺す代わりに自分を殺さなければならなかったんじゃないかと僕は思うんです。彼の死に方を美化したくない気持ちがある一方で、僕の中に、そんな風に生ききった人のことを愛さずにはいられない、という分裂した気持ちがあるのは確かです。
―死をどう考えるか、どこに配置するかもまた、表現者が向き合わざるを得ないテーマですが、山川さんのパフォーマンスはそれを強烈な形で観客に提示しますよね。心臓の鼓動を自由にコントロールし、それを電球の明滅と同期させたり、自分の頭蓋骨を叩いてその振動をマイクで拾い、パーカッションのようにして聴かせたりと、生きている自分の身体を直接的に使います。三島の割腹自殺に対して意識的になるのはよくわかる気がしますが。
山川:海外で心臓の鼓動を使ったピャフォーマンス(パフォーマンス)をやると、よく三島を引き合いに出されるんです。心臓の鼓動を一時的に止めて、失神して倒れてしまうこともあるので、それが彼らには三島の自決に重なって見えるのでしょう。僕は切腹なんて怖くてできませんけど、自分の身体を破滅に向かわせることで、逆説的に生きる力を燃え上がらせるっていうのは、わからないでもないというか、実はすごくよくわかる。よくわかるゆえに、そのまま行くところまで行ったらすべて終わってしまうことも身をもって感じていて、どの時点で引き返すか? ということは、きちんと考えるようにしています。
―芸術家が芸術に身を捧げることの恍惚に溺れたら、その供物として自分の身体を差し出すことは、まず最初に考えられる誘惑ですよね。
山川:でも、こんなことを言うと馬鹿みたいに思われるかも知れませんが……、今の僕は芸術活動をやりながらも、一人の人間として普通に生きて、自分の家族やピャートナー(パートナー)を大切にするといった普通のことを、ちゃんとしたいと思っているんです。これが僕にとっての「大義」といっていいかも知れません。以前はステージで心臓を止めて、死んでもいいと本気で思ってたんです。それはヒロイズムやエゴのようなものかも知れないのですが、そういう暴力的な自己犠牲を至上のものとして信じていたような時期もありました。でもあるとき、とても大切な人を亡くしたことや、その数年後に起きたあの震災を契機に大きく意識が変わっていきました。
―三島の場合は、自分の身体との付き合い方に政治的な思想も深く絡んでいました。
山川:確かに彼の身体と思想と文体は良く似ていますよね。僕は政治的なことに足を突っ込みすぎるとちょっとやばい……というか、溝口みたいになってしまうかも知れないという自覚があるんです。2003年にイラク戦争が起こりましたよね。あれはイラクが大量破壊兵器を保有していることを口実に、アメリカがイラクに侵攻する形で始まった戦争でしたが、最初から大量破壊兵器なんてないことはみんなわかっていた。にもかかわらず、日本はいち早くアメリカへの支持を表明しました。どう考えてもそれはおかしい、と僕はずっと憤りを抱えていたんです。そんな折り、その年の衆議院選で、近所に当時の首相が応援演説に来たことがあったんです。たまたま通りかかると、聴きおぼえのある声がする。そしてふと振り返り、街宣車の上にいるその人物の姿を目の当たりにした瞬間、ものすごい殺意が芽生えたんですよ。そのときテロリストの気持ちが手に取るようにわかって、後からとても怖くなりました。この殺意は行為として現実化し得るんだと。国家の最高権力者を前にして僕は、「金閣は焼かねばならぬ」と言う溝口と同じファナティックな心理状態にあったんだと思います。
―『金閣寺』の最後のほうに描かれる、溝口と友人の柏木の有名な問答、「世界を変えるのは認識か? 行動か?」にも繋がるお話ですね。
山川:そうですね。ちょっと話はズレますが、その認識か行動かの話で言うと、『金閣寺』と梶井基次郎の小説『檸檬』を引き合いに出してみると興味深いんです。『金閣寺』の主人公は実際に金閣寺を燃やしますよね。つまり行動で世界を変えようとする。『檸檬』の主人公は丸善書店の本の上にレモンを置いて店を出て、妄想の中でそれを爆弾に見立てて爆発させる。つまり認識によって世界を変えようとします。三島は梶井基次郎をすごく評価していましたから、溝口と柏木のこの問答のシーンを書きながら、頭の隅には『檸檬』のことがあったんじゃないかなと思うんです。そして最終的に主人公に真逆の行動をとらせる。『金閣寺』を、三島自身の『檸檬』に対するレスポンス、あるいは先人、梶井への彼の態度表明として読むこともできるんじゃないでしょうか。
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