先人が切り開いたソニー・スピリットの復活を心から祈る――ソニーの病巣の深さを改めて考えた現代ビジネスブレイブ リーダーシップマガジン 辻野晃一郎「人生多毛作で行こう」より

2014年02月26日(水)
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すると、そのとたんに態度が急変、謝罪して来たり、実名を許可なく晒すのはtwitterの規約違反だから削除して欲しい、などと懇願して来た。そして、こちらがそれに応じないでいると、挙句の果てには自分のアカウントを非公開にしてしまった。それこそ、完全な「逃げ」である。

このプチ炎上を観察していた高広伯彦氏(株スケダチ、株マーケティングエンジン)は、このありさまを、「匿名の間は強気の姿勢で相手をギブアップさせたかのようなこと言ってて、実名バレして以降は本人がギブアップの姿勢を見せてるって。。。情けないね」と書き込んでいる。

実は、私が突き止めたこのグループの人たちは、現役のソニー在籍者であったり、ソニーで働いた経験のある人たちであった。私の真意としては、ソニー関係者だということがわかったので急に仲間意識が芽生えて、そういう後ろ向きなことに時間を使うのはやめて、ソニー・スピリットの原点に立ち返って未来や前を向いて進んだらどうか?と激励したいとの思いであえて実名で語りかけたまでだった。

しかし、その思いはまったく通じずに、ツイッターがあたかも匿名を保証しているコミュニケーション手段とでも勘違いしているのか、実名を晒された、ということでパニック状態になっているようであった。

陰口好きは日本の企業文化?

本来、直接向かい合って、「自分ならこうする」とか、「こうしたはずだ」という中身のある批判をするのであれば、それがどういうものであれ、まず受け入れて進むことができるのであろうが、残念ながら、世の中、そういう批判者はほとんどいない。自分はその立場にないとか、身分がちがうとか、オレの問題ではない、という具合で、厄介な人との対話は持ちにくい。向かい合う方法がないから、こちらには何とも「嫌な」気持ちだけが残る。

過去の経験からも、日本人は、陰で、あるいは当人のいないところで、相手を誹謗中傷するのが本当に好きな人種だと思う。これはもう、日本の企業文化といってもよい位ではないだろうか。直接は言わない、言うことは聞かない、守らない。でも、やたら、理屈っぽく、陰では持論や自身の正当性を主張する。

こういう態度はとても残念だが、そんな人が多いのは事実だと思う。しかしながら、こういう人たちとも、直接会って一対一で対面して話をすると、それなりに話ができる人も少なくない。今回の攻防においても、感じたのは、「あなたはエライ人、有名人、こっちは無名、立場が違う」、というルサンチマン的正当性である。しかし、そういうルサンチマンは、実は、自分はこれだけやっているのに、認められていないとか、そういう不満に根差している場合も多いのではないだろうか。

そうだとすれば、そこで私が想像するのは、やはり今のソニーの上層部や過去のソニーの上層部全般に対するやり場のない不満、鬱憤、怒りなどが、ソニーの現場のいたるところに渦巻いていて、そういうものが、こういう形で出てきてしまっているのではないだろうか、ということである。組織が健全であれば、こういう人たちに対して、「あなたなら、どうするか」「もし、あなたが、現場の責任者ならば、こうすればいいのではないか」というふうに大所高所から導いてあげる人がもっと内部にいないといけない。しかし、現状はそうはなっていないのであろう。

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