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第五十六話

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一緒に曹伝を書いていたら、見事にこんがらがりましたw

分離に苦労しましたw





 出兵に同行したシャオは、帰ってきて変わった。

 今までの奔放さはなりを潜め、淑女たる身のこなしを前面に押し出す「姫」となって帰ってきた。
 余りの変化に驚いて蓮華に問いただしたところ、一応、女の扉は開けていない、とのことだった。
 ただ、蓮華の初陣を遠くから見ていたときに賊の別隊に襲われ、それを横島に救われてから思うところがあったらしいと聞いている。
 常時監視をしている明命からも体の接触があったとは聞いていない。
 となると、本当にシャオ自身の何かが変わったのだと解る。

 なにやら悪霊がとりついたのかとも思ったけど、結果としては孫家と横島の距離を縮めているのだから歓迎すべき事だろう。
 私の勘も問題なしと感じていた。

 罰として与えられた課題にも積極的にあたり、実に伸び伸びとした結果を残していた。
 今までの逃避型から積極的な回答に変わっているのだが、まぁ、成果が出ているとは言い難い成績ではある。
 ともあれ、姿勢が変わったのは帰ってきてからなので、今後に期待だと穏も言っていた。

「雪蓮様~、ほんとうに熱心なんですよ~」

 ほんにゃら嬉しそうに身をクネらせる穏。
 やはり教える方も教わる方が熱心なら嬉しいのだろう。

「昨日も~、書き写し間違いを書かれている内容から疑問に思い、指摘してくれたんです~!」

 思わず感心してしまった。
 誤字脱字、読み換えは、まぁ、仕方のないこととされている。
 しかし、読み替えと解っていない人間からすると、意味すら変わってしまうことも多い。
 故に、その指摘は大切だし、その意識は必須だ。

「まて、穏。その指摘は正しいのか?」

 指摘された教材をのぞき込んだ冥琳が深く読み下しながら考えている。

「・・・正直に言いますと、古典的な読み方では間違った理解ですが~、実践的に見ますと、指摘の方が正しいと私は考えます~」

 その意見を聞いて、冥琳も納得したかのようにうなずいた。

「なるほど、つまり教材を既に予習し、深く考えてから勉学に臨んでいる、そういうことか?」
「私はそう感じました~」

 ・・・なんだろう、こう、背中がかゆい。
 本当にシャオってば何があったのかしら?

「穏、次の学習の時、私も立ち会うぞ」
「はい~、冥琳様にもよく見ていただきたいです~」

 なるほど、つまり、その時間は冥琳の監視は薄い、と。
 これは祭と綿密に打ち合わせなくちゃ♪

 

 


 なんというか、周囲の視線が変わった気がする。
 真桜と一緒に、どうも所在なさげな気分にさせられていた。
 いや、疎外感があるとか排斥されているとかそう言うことではなくて、もの凄く大切にされている感があるのだ。
 まるで命の恩人とか、そう言う感じの。

 孫権、蓮華の視線は解る。
 先日の出兵でいろいろと得るものがあったのだろうし、同行した孫呉兵も仲間意識があるのだろうと思う。
 甘寧、思春も蓮華がガードを下げたので、彼女も余裕ができているように感じる。
 が、常にまとわりつくように、それでいて気遣い距離をとるシャオちゃんは、あの出兵を前後して変わった。

 今までは、自分の幼さを武器に切り込んできて、近接したところで女であることを武器にしようとして失敗していたのだけど、今は全く別で、自分の幼さに見合った「女」を全面に出すことで距離感を保ち、視界の中に常にいるようにすることによってイメージを高めようとしているようだ。
 前までの戦略を犬的とするなら、今はネコ的。
 それも懐きたいけど懐けないツンデレネコ風。

「・・・ねぇ、ヨコシマ。ご飯食べにいかないの?」

 こんな風に、執務室の扉の向こうから声をかけてきたり、その姿を見て警備兵が和んだり。
 真桜は「既にデレとるって」と言ってるけど、正直、素直すぎる距離感より好ましいのは実感だ。
 これに比べると、祭さんや雪蓮のやりくちは直接的すぎて少し引く。
 もちろん、あのきらびやかなオッパイに引かれるので差し引きゼロだけど。

 で、そんなときに感じる。
 生暖かい視線を武官に限らず文官やら女官さんやら。
 普通だったら「軽蔑してます」って視線のはずなのに、「ああ、なかがいいですね~」って感じの視線。
 なんか将達の衣装のように、いろいろと緩いんだろうか、と心配になってしまう。

「・・・隊長、尚香様がお待ちやで?」

 あー、まぁ、一応確証をとるためにも・・・。

「ちょっと、シャオ。あなたまた横島を連れ出すつもり?」
「いいじゃない、お姉ちゃん。お姉ちゃんもそのつもりなんでしょ? 一緒に食べにいこ?」

 あー、とっとといかないと、蓮華が切れるな、うん。

「あー、今仕事のきりがついたから、一緒に昼飯悔いに行こーぜ。な?」

 シャオちゃんと蓮華を抱き寄せるようにして、不意に気づく。
 あれだ、あれ。
 蓮華って犬的だよなーと。
 同じく思春も犬的。
 で、雪蓮とシャオはネコ的。
 祭さんは・・・やめておこう、この分類は危険かも知れない。
 俺を挟んで仲良く言い合う姉妹の頭をなでつつ、そういえば、美神事務所でもこんな感じだったもんだと苦笑いを浮かべてしまった俺だった。

 

 


 一日、シャオ様の学習につき合って驚いた。
 彼女は今まで学習したことも、これから学習することもかなり復習していることが解ったからだ。
 施政に関する出題も、よくよく考え込まれた回答を示しているし、その思考自体に重みがあるものだった。
 思いつきや勘という孫家特有の衝動ではなく、むしろ軍師としての才覚を感じるような、そんな回答だった。

「シャオ様、もしや分家となって孫家を支えるおつもりですか?」

 直接聞いてみたところ、ほんにゃらした笑顔で否定された。

「ちがうよ~、冥琳。私はいずれ孫家から嫁に出される立場じゃない? だったらその家を嫁として妻として母として守らないといけないと思うの。だから、文武取得の最高環境にいるうちに、最高に学ばないともったいないじゃない?」

 驚いた。
 そして感心し、感動した。
 先日の出奔騒ぎには怒りを覚えたが、これほどまでに開眼したのあれば認めざる得ないだろう。

「ふふふ、だって、ヨコシマの嫁になるんだったら、負けないぐらい頑張らないと、ね?」
「なるほど、横島をものにしていただける、と?」
「ものにできるかは解らないけど、下手な豪族の嫁に出されるぐらいなら、ヨコシマの女になった方が孫呉のためだと思うんだけど、どうかな、冥琳」
「うむ、良い決心だと思いますよ?」
「ありがと、冥琳」

 にっこりほほえむ恋する乙女。
 しかし、その決意は王の決断と同等の重さを感じた。
 これだから孫家の血は侮れない。
 蓮華様は、いままで小娘感が抜けなかったが、先日の出兵で生まれ変わったかのような鮮烈さを感じるようになったし、シャオ様は人が変わったかのように王家の自覚を背負う存在となった。
 孫家を支える立場からすれば、実に有り難くも嬉しい変化だ。
 こうなると、その辺かをもたらせたあの男に何らかの報酬が必要だと感じる。

 聞けば無類の女好きだとか。

 ならば、この身を一時的に捧げるのもありかも知れない。
 考えても見れば、食事における毒味役のようなものだ。
 海のものとも山のものとも知れぬ男が安全かどうかを部下が調べる、実に必要な行為に思える。
 うむ、よかろう、私と穏で精密に、正確に、強力に調べ上げることにしよう。
 なになに、これで横島の子種が手に入れば、それはそれで陸家も周家も万々歳だ。

「うむ。その決意支持しますよ、シャオ様」
「うん、頑張る、冥琳」

 故に私も頑張りましょう。
 ふふふ、私と穏に挟まれて、真っ赤になる横島の顔が思い浮かぶ。
 その顔色を考えて、私の胸の内が妙に暖かくなるのを感じていた。

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