白浜に新たな見どころ、「白浜アール・ヌーヴォー美術館」
エミール・ガレのガラス工芸品など100点を展示
暮れの12月22日、白浜に凄い美術館がオープンした。その名も「白浜アール・ヌーヴォー美術館」。場所は白浜町2303-1 コーポみずほ1F。湯崎温泉へのトンネル手前、「高砂屋」隣だ。
19世紀末に突如現れ、世界中を席巻したアール・ヌーヴォーの旗手、エミール・ガレの作品を中心に、コレクター垂涎の作品群がずらり並ぶ。しかもこの美術館、目下、仮オープン的で、近い将来、ディズニー映画の原画や陶器等も加えた本格的美術館を目指すという。観光白浜に、なんともでっかい「美の殿堂」ができる訳だ。
1895年12月、美術商、サミュエル・ビングがパリの一角に美術店を開いたとき、「アール・ヌーヴォー」(新しい芸術)と言う名が選ばれた。1878年パリ万博に日本の版画や陶器を出展して注目を浴びた彼の活動を引き金に、「新しい芸術」の波は、全世界に広がっていく。それは、絵画、彫刻、建築、工芸品、インテリア等々多岐に及ぶが、ガラス工芸もエミール・ガレの活躍によって独特の発展を遂げていく。
時代を超えて息づくガレの世界
ガレは、色ガラスを何層にも重ねて、その柔らかな肌合いの上に、花柄をエッチングする。あるいは彫刻を施したガラスの上に別のガラスを被せ、その表面に彫刻をして奥行きある装飾効果を得る等々、斬新な手法を次々と創造。
優れた産業デザイナーとしては、大勢の職人による量産システムを構築、質の高い工房作品も生み出した。
一方、昆虫をリアルにレリーフした作品や身近な風景を立体的、奥行きのある作品に表現、親しまれたのがドーム兄弟。白浜には、これらの作品がしっかりと収納されている。
ここにしかない宝物
経営は東京のロイヤルアートジャパン、和田秀之社長。館内には、淡い明かりの中、六角形の重厚なショーケースが並び、その一つひとつに展示された見事な作品が、時を超えて静かに語りかけてくる。
「社長は個人的にガレ作品を500点蒐集。うち白浜には100点を展示。当地の皆様に是非、アール・ヌーヴォーの素晴らしさをご鑑賞頂きたいですね」と西村沙織館長。ガレの薔薇紋ランプは笠と本体が完璧な姿で揃っている稀有なもの。世界に5体しかないドームのペンギン紋花瓶は、和田氏が3体を所有、その1体が白浜に展示されているのだ。
ここでは鑑賞が主で、購入希望者には別途、作品も用意されている。
若い西村館長、白浜は増田哲朗副館長に任せ、それこそ世界を又に駆け回っている。開館は9時~21時。年中無休、正月3ケ日のみ10時~17時。入館料は大人500円(小中学生200円)。TEL0739-43-2565まで。
西村館長(右)と増田副館長
薔薇紋ランプ
あじさい紋の花瓶