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第五十七話(OTR版) (再演

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 というわけで、少なくなったGS仕事の傍らに農業を始めた。
 美神事務所にも他のところにも色々と入ってくるんだけど、おキヌちゃんの実地研修やら何やらにまわすと、俺が出来ることがなくなっしまう程度になっているのが現状だ。
 で、収入事態は減っていないんだけど、何かしていないとすまない性格になりつつあるせいか、唐巣神父を見習って菜園を始めることにした。
 普通に食べられるものを家庭菜園していただけなのに、いつの間にやら奇怪な魔法生物の宝庫になっていた。
 たまたま見に来ていた魔鈴さんが高値で買い付けて行ったのをみて、農家のおっちゃんらに作り付け指導を求められんだけど、あれよあれという間に魔法薬の原材料生産拠点になっていて、最後にゃ政府管理農園になってしまった。
 おっちゃんらは生活が安定したって喜んでるけど、俺の家庭菜園は・・・。


「ま、あれよ、お兄ちゃん。まじめにGSしなさいって話だと思うわよ?」


 がっくり肩を落として俺は趣味の家庭菜園だった土地を離れることにした。

 

 

 

 

 魔界町とまで言われるようになった東京の一角。
 実は結構栄えていた。
 魔界の住人の影響か、多くの魔法薬に使われる薬草がバンバン育ち、ガンガン売れていた。
 さすがに一般農家が扱える内容ではないので、近所のGS、というか横島が直接指導して生育やら刈り取りをしていた。
 で、この出荷に関して大きな問題が発生した。


 どこが受け持つか、だった。


 基本、農作物なのでJAだと叫ぶ農協。
 魔法薬なのだからオカルト流通であるとGS協会。
 で、「横島君は六道のおともだちよね~?」と六道冥那。


 所属としてはGS協会だろうけど、国法としてはJAが有利。
 しかし、横島忠夫監修となると「六道」も間違いなく絡む。
 明らかにめんどくさそうな話だったが、ここで救いの手が入った。
 国会議員のアシモト氏であった。
 ドブ板選挙で培った寝技で、寺社とオカルト関連部署の統合によって出来た新設官庁である神霊庁の管轄となり、非常識一歩手前の価格で引き取られることになった。
 この引取り後は、外交特産物に使われたり、国内流通監視用に使われたりするという。


 この権益の移動がどういう風に世間で見られたかというと、国政的には「抜け駆け」と後ろ指を差されたが、強力な財源を確保したということで総理への道が開けた。
 で、海外メディアで言えば、自由競争の阻害を行ったファシストという位置づけを意図的にしているメディアが多い。
 これは横島が搾取されている的な扱いなのだが、実際は流通適正価格であり、大きな問題になるものではなかった。
 ここでお零れにあずかろうと動く奴らも多かったが、神魔住まう土地の名は伊達ではなく、悪意による接触や功名心による接触を試みるもの立ちの殆どがオカルトGメンに引き渡されていった。
 利益誘導を狙う国もあったが、逆に外交特産物として引き受ける国も少なかった。
 いかんせん、魔法薬の原材料とはいえ、それを加工する技術がある国自体が少なかったわけだ。
 とはいえ、少ないながら熱狂する国もあるため、神霊庁の得ている権益は、非常に大きなものでもあった。

 

 


 神魔混生の地、というのが横島君のマンション周辺の見解だ。
 既に異界化してるのは間違いない、とカオスが喜んで研究している。


 というか、次々と各地の隠れ里が接続されてきており、区民登録だ国民登録だと大騒ぎになっている。
 最初は戸惑った役所だったが、某少年GSに「到達不能孤立村が合併で認められた前例もある」とささやいたり「新しい票田」だと囁いてまわり、いいかんじで認めさせてしまったのは驚きよりも諦観を感じるものがあった。
 彼に背後には、六道や議員の影がちらちらとしており、反応が難しかったからだ。
 加えて言えば、外国人参政権よりもはるかに敷居が低いものだと理解されたのが大きいだろう。
 篭絡が安易である票田の発生に、各政党は沸いたのだった。


 役所で認められてしまえば、そこは行政区内。
 インフラは整備されるわ、衛生管理で飛び回るわで、一気に整備がされそうなものだったが、住民たちは電話と電気と下水だけ何とかしてくれればいいというものだった。
 電話は携帯電話による簡易整備の後、光回線の敷設が計画されており、一年以内に整備が完了する予定となった。
 下水も半年以内の工事が決定されており、ありえない速さが示されたのも新工事によるものだった。


 汎用人型重機。


 クレーンの代わりにもバケットの代わりにも、アームの代わりにも、ショベルカーの代わりにも何にでもなる汎用人型重機が導入されたことで、工事期間ははるかに短縮されていた。
 そのマンパワー、狭いところでも細いところでも自由自在の運用性能、そして精密な結果。
 軍事用以外には目を向けられていなかった成果が、そこに示されることになったのだった。


 が、一番活躍したのは14m級ではなく、2m級のものだった。
 パワーアシストタイプのそれは、パワーリフトでリアカーで工具で機動車で安全装置だったためだ。
 防寒、防熱、居眠り誤操作に強く、運用時間は連続十時間以上。
 陸上・海上の場所を選ばぬバランス性能。
 海渡を組み込むことで高速移動、空中作業も可能という「それ」は、建設業界に本格的な転換期を呼び込む事になる。
 少なくとも、山間部の工事において、初期設備設置工事は人型汎用重機の独壇場といえる。
 そのような現場の多い隠れ里でも活躍し、その光景が建設業界に震撼を呼んだ。
 加えるならば建材リース会社にも衝撃を与え、大いに盛り上がったわけだが、詳細は避ける。


 各種の多雑な運用試験ができるということで、パピリオ製人型除霊具もその運用実証試験にやってきていたのだが、運用内容に大きな問題が発生していた。
 何しろ、格闘専用に調整した機体だ。
 それでカモフラージュのためとはいえ建設工事に加えるというのがどうにも上手くない負荷が加わる事になる。
 もちろん、理想動作しか許容できない機体であるよりも良いわけだが、それでも想定外の負荷とその対応にパピリオとルシオラは追われることになった。


「・・・うぅー、応力計算はあってるはずなのにぃ・・・」
「・・・ヨコチマに相談するしかないでちゅかねぇ?」
「それは、ちょっと悔しいかも」
「そうでちゅね、どうにかそうだんなしでやりたいでちゅね」
「でも、むずかしぃぃぃ」


 横島には、玩具とはいえ「ミニ四」開発調整時のベースが合ったが、彼女たちにはそれが無い。
 規模が違えど、トライアンドエラーに費やした時間は、無駄にはならないのだ。


 彼女たちにも血肉となった知識と経験が身につくだろう。
 しかしそれは近いながらも未来の話であった。



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