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第五十四話
大型人型霊具は、思いの外問い合わせがなかった。
なにしろ、あの機体運用にどれだけの精霊石が必要かって試算をザンス王国が発表したところ、分間12個の精霊石が必要という結果になったためだ。
もちろん、そんなもの使ってないけど、文珠がなければその計算もあうとカオスの話。
ということで、大型人型建設機のほうの話は結構進んでいて、国内メーカーや海外メーカーと交渉を始めている。
今のところ、あの動きを「現行技術」で再現することはできないけど、そのうち技術革新があって再現されるだろうし。
というか、兵器として人型は無意味だ。
多脚戦車の方が需要が高かろう。
それはさておき・・・・
先日の秩父結界破壊は、某国工作員によるものであるという結果が発表された。
絶対、リチャードのせいだろうけど。
そんな話を美神さんと事務所でしてたら、元国際指名手配犯が現れた。
「いやーどーも〜」
本当は通報したい。
が、これでも芦田のエージェント。
こいつが逮捕されると後々面倒くさい。
「・・・何の用?」
「これは冷たい空気。いかがしました?」
張り付いた笑顔。
絶対に空気を柔らかくしようとか考えている訳じゃないよな、こいつ。
まぁ、本題は進めざる得ないので流すけど。
「・・・で、もとリチャード、今内海さんはどのようなご用件ですか? 依頼っすか?」
「いえいえ、GSの依頼でしたら、もっと経済的なところにお願いしますよ、ええ」
美神さんの額に血管が浮いた。
それでも押さえてるのが奇跡的だ。
「・・・で、では、どのような、ご用件で?」
ばっさりと懐から出したのは図面の束。
俺の目の前に出すってことは・・・・
「・・・うわぁ・・・伊豆縁さん、無茶すんなぁ・・・」
どうやら人型霊具に触発されて、パピやらルシオラと図面を引いたらしい。
その名も「グリフ○ン」。
・・・アシュ○システムというOSも面倒だ
もとより工業製品ではないので一点物。
稼働用動力にも霊力反応組織にも霊子が使われていて、恐ろしいコストになる。
こりゃ高いぞ?
唯一、パピたち本人の魔力を使うので、精霊石の大量使用という流れはないんだけど。
「うっわー、趣味に走ったわねぇ?」
「ええ、ええ。横島さんにご紹介いただいた精密部品製作工場が恐ろしい精度でして。望んだ性能の三倍の精度だと大喜びです」
ま、その分高いけどな。
「で、これの校正でもしろと?」
「いやぁ、芦田さんから、コストダウンの指南を受けてこいと・・・」
・・・やっぱ高けーわな。
黒いの一台で、うちの大型霊具三台分だもん。
それも保守部品なしで。
「・・・本気、横島君」
「一般消耗交換部品を入れたら五倍っす」
「今すぐやめさせた方がいいんじゃない?」
さすがに本気で心配している美神さん。
内海も冷や汗が止まらない。
どうやら消耗部品やら保守部品まで考えていなかったらしい。
この手の機械は関節部分やら衝撃吸収部品の消耗が激しい。
これは一度出動したら間接と衝撃吸収部品全取っ替えが基本だ。
加えて霊力負荷部品だの伝達部品も交換しないといけないし。
そうなると、下手な使い方では出動一回で三分の一の部品を新品に交換する事になる。
基本、ふつうの大型人型建設具はそこまでの消耗はないけど、年一での関節部分オーバーホールは必須。
というわけで、現在、うちの一号機も二号機もオーバーホール中。
出動がかかっても動かせない状態だ。
「い、いやぁ・・・本気で予算内におさまら無そうなんだぁ」
さすがに今まで戦車だの戦闘機なんかを扱っていたことのある経験から見積もりしていたらしいんだけど、そんな既存の兵器なんか目じゃない精度だし。
部品点数なんて項目で上げるのもイヤになるほどだぜ?
「まぁ、あんたの見積もりがまずかったという事で、話を流すほか無いんじゃないのか?」
「・・・しかし、お嬢様方がのりきでねぇ・・・」
「その説得まで任されてるんだろ?」
ぐぅ、と笑顔をゆがめる内海氏。
とりあえず、見積もりが不味かったことだけでもわかったとして本日は撤退することになった笑う仮面。
インコムは、爆発的に広まりつつある。
ファンネルの自由使用性に加えて、霊具としてのインコムは大変評判の良いものだった。
ファンネルは今まで通り、「自動衛星」としての使用用途でヒットし続けているが、インコムはいわば間接霊具としての人気が高い。
そう、霊具の「罠」として。
様々な手法について手ほどきを受けている六道女学院や日本オカルトGメンは多くの研修者を受け入れつつ、独自のカリキュラムが進んでいた。
霊的な資質が高めの六道女学院では、自らの霊能の補助としての使い方。
攻防のレベルが低い日本オカルトGメンは、主戦力としての使い方。
どちらも今をトキメく新霊具の最前線といえる。
私も、開発当初から使わせてもらっているけど、この利便性と万能性には言葉もない。
逆に、この霊具になれてしまったら、配給を受けられなくなったときにどんな除霊をしていいのかすらおもいつかないほど依存している気もする。
まぁ、配給がなくなること事態無いとは思うけど。
そんな横島君が、カオスも目をむくほどの勢いで開発を続けていた体制を一度ゆるめると宣言した。
「えーっと、理由聞いて良い?」
「いやー、そろそろちゃんとGSしないといけないなぁ、とか」
「いまさらね」
えー、と不満そうな横島君だけど、今までの開発物のバージョンを色々作るだけで、国も買えるほど儲かるわよ?
たとえば、ファンネル。
「ええ」
これの中核を「聖遺物」にする。
「・・・ええ」
で、キリス○教圏専用のファンネルとして売り出せば、ローマ聖教だろうとイギリス聖教だろうとロシア聖教だろうとどこだって買ってくれるわよ? それも爆発的な数と価格で。
「うわぁ・・・予想できるなぁ・・・」
現在、オカルトGメンや民間GSの普及が広がっているファンネルやインコムだけど、純粋な宗教系組織には入り込めていない。
キリス○教系が主だったところになる。
逆にイスラ○系は、某国王族の後ろ盾もあってか広まっていて、オカルト自動防御衛星として人気が高い。
機能に弊害がない程度にデコレーションするファンネル、デコネルなんてものまでファッション紙に掲載するぐらいだから相当入れ込んでいるともいえる。
Gシリーズも、外見を改良してSW系ばかりじゃなくて各地方の神話をなぞったものにするとか・・・
「あー、すでに問い合わせが来てるっすよ、それ」
「あら、やっぱり?」
で、色々と聞いてみたんだけど・・・
「・・・それ、ネタじゃない」
「そんなのばっかりです」
ギリシャ神話系とか言っていたから何かと思えば、聖衣(クロス)って・・・。
でも、現実に制作可能ってところが質の悪い話よね。
久しぶりの出動です!!
最近はGSというよりも正義の味方みたいな仕事が多かったんですが、やっぱり私たちはGSなんだって、そんな風に思います。
「おキヌちゃん、ネクロマンサーの笛は最後の手段よ?」
「はい!」
美神さん、横島さん、シロちゃんはそれぞれファンネルを浮かせます。
「さぁ、タマモちゃん、がんばろうね」
「うん!」
私とタマモちゃんもファンネルを浮かせます。
正義の味方みたいな仕事が多くなってからは、タマモちゃんも事務所員として働いてくれています。
横島さんはそんなことしなくても、とごねましたけど、みんなと一緒がいいということで押し切られてました。
「今日は霊団寸前の吹き溜まりの処理をするわ」
高速道路の増設で地場が変わってしまって、霊道がゆがんでしまったそうです。
無念や残念が渦巻いているのが霊能が無くてもわかるほどです。
「各員、ファンネルチェック」
「「「良好!」」」
「各員、装備確認」
「「「良好!」」」
指さし確認で装備を確認します。
なんだか格好良いですよね。
「横島君とシロは先行して散らしてちょうだい」
「「はい」」
「私とタマモとおキヌちゃんは、散らされて広がった雑霊を散らします」
「「はい!」」
気合いを入れて返事をすると、うれしそうに美神さんはほほえみました。
「じゃ、作戦開始!!」
「「「「了解!!」」」」
んー、やっぱり、正義の味方仕事の影響か、美神さん、かっこういいですよね〜。
「だ、だめだ、おキヌちゃん。それを口に出したらあかん・・・」
なぜか美神さん、倒れました。
あれぇ〜〜?
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2012/04/06 OTR移転版+小修正
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