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第五十三話

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第五十三話

 


 大型霊具を撤収して、横島さん曰く「秘密基地」に回収してから事務所に帰ってきたんですが、美神さんも横島さんもぐったりとしています。


 よほど疲れるんですね、あれ。


「横島君、解放キー、なんとかして」
「パピ特製の機構なのでむりっす」
「・・・・」


 なんだか煤けた空気ですね。


「・・・あの、精神干渉して熱血する機構は?」
「あれがなきゃ、解放キーなんて叫べませんって」
「・・・判断に苦しい機構よね」


 どうやら、現場で叫んでるのが疲れるみたいです。


「でも、美神さんも横島さんも格好よかったですよ? まるで特撮ヒーローみたいで」


 あれ、なんで二人とも床に倒れてるんですか?
 あんなに格好よかったのに。

 

 

 

 

 

 横島君のマンション衆からの報告で、とうとう攻めてきた大陸系の方々を集めて封印したという施設に来たところ、実に頭の痛いことばかりだった。


 戦中に行われた虐待の保証を求めてきただけだとか、抗議デモに来ただけなのに軟禁されたとか、本気で言っているのだろうかと苦笑いだ。
 集められた彼らは全員工作員であることが知られているので、その情報を全部テレサたちが流した。
 もちろん、人員紹介するために、本人すら覚えていない経歴を直接読みとって、こんな人間が日本に入国記録もなく入り込んでいるんですが、誰か知りませんか、と。
 もちろん彼らには偽装された経歴と入国記録はあるけれど、本来の入国記録はないので不明者ということになる。


 本来の来歴やら初恋の相手やら母親が作ってくれる料理でなにが好きかなどを一人一人読み上げて、黒歴史の一つでも読み上げたところ大半の工作員はギブアップした。
 で、ギブアップした工作員は入国管理局に回し、外相のネタにしてもらうことにしたのだが、残った三人が手強い。
 何しろ、いわゆる「神仙」と呼ばれる存在だったからだ。


 本来だったら日本固有の妖怪や神などでは対抗出来なさそうなのだが、密かに配備したファンネルやインコムで取り押さえることが出来たそうで、実に奇跡的な話だった。


「あなた方は下界の雑事に関わらないと思っていましたが?」


 私のその台詞に、苦々しそうな顔をしたあと視線を逸らした。


 大陸でいえば神魔の「神族」に相当する存在であろうに、バカバカしいほどに人間くさい。
 伝説に聞くところの「バオベイ」を試すために定期的な戦争をしているという話は本当なのかもしれない。


「・・・このまま黙秘されますと、我々の伝のある神族に連絡することになりますよ?」


 その瞬間、初めて困惑の表情が浮かべられた。
 たぶん、下等なる仙骨も持たない人間になぜそのような、という上から目線なんだろうねぇ。


 ああ、反吐がでる。


 まぁ、その辺は先日からの某宗教との交渉で十分感じているので、早速無視しよう。


「もうすでに向かっている方もいますので、御覚悟召されよ」


 横島君から分けてもらった高位神霊用の結界符を張りなおして、私はその場から去った。

 

 

 

 

 

 婿殿の活躍をその目で見させてもらったが、実に良い出来だった。
 少なくともパピリオは釘付けで、自分の機体を汲み上げることを決意したほどだった。
 ルシオラもかなり熱心で、先ほどまで引いていた設計図を引きなおしたぐらいだった。
 あのベスパですら興味深そうだった。


 うむ、やはり建造しなければなるまい。


 その辺を婿殿に相談したところ、逆に相談されてしまった。
 大陸系の神仙がこの前の騒動に紛れ込んでいた、と。
 またメンドクサいことだ。
 なにが目的か、と聞いてみると、婿殿もわからないらしく、今度直接聞きにいくそうだ。
 ふむ。


 だったら、うちの子飼いを連れて行きたまえ。


 なんだい、そのいやそうな顔は?
 彼のように笑顔であふれ、空気を柔らかにする存在はいないのだよ?


 いやいやいや、嘘でも仮面でも、笑顔は大切だ、うん。
 なに? また通信封鎖する? 待て待て待て、そんなことをされたら娘たちになにをいわれるか・・・


 ・・・わかった、彼はやめよう。


 しかし、立ち会わせる人間はつけるぞ?
 私も不安だからな?

 

 

 

 

 


 さて、芦田が寄越した人間は、実にふつう、っぽかった。
 なぜ過去形かというと、実に1時間ほどしゃべりっぱなしだからだ。


 人型大型霊具のことを。


 建造コストやら制御方法、装備やら強度やら部品点数に至るまで細かい質問からおおざっぱな者までしゃべりまくりであった。
 カオスですら引いたほど。
 伊豆縁(いずぶち)さんという方で、三度の飯より「ロボ」が好きという方。
 自分でも作っているけど、あんなに人間みたいに動けるロボはみたことがない、是非とも分解したいと泣きついてきたほど。


 とはいえさ、


「人の行き着いたゴールをみて、パクりたい、と?」
「・・・!!!!」


 大いに反省した伊豆縁さんは、それ以降一切「人型大型除霊具」の話はしなかった。


「あれいいですよねー、G3!!」


 男の夢の幅は大きい、そんな人です。

 

 

 

 

 

 まさか、ね。


「いまなら、三食昼寝付き!」
「いやいや、年三回昇給、侍女もつくし!」
「開発予算に上限なし!!」


 まさか、神仙が洞に勧誘に来ていたとは・・・


「いや、うちにきてよ、ね、ね?」
「うちのほうがいいって、ほんと!!」


 さすがに横島君もあきれてるみたいだ。


「一応、俺、斉天大聖の弟子っすよ?」
「「「うっ・・・」」」


 そう、かなり有名で、そのうえで仏に下っているとはいえ、かの老師も「神仙」。


「あんたらなぁ! 目新しい技術があるから見せてもらって奪うんじゃ、意味ないだろ、それでも仙人かぁ!」


 伊豆縁さんの言葉を聞いて、目覚めたかのような顔つきの神仙たち。


「過去の偉業にすがるな、他人の業績をうらやむな、自ら成す、それが物作りの心だろうがぁ!」


 まぁ、さっき、車での話を聞いてなければ感動できる話なんだけどね。
 なんか、神仙って俗っぽいんだなぁ。


「ま、神族っていっても、焼き肉取り合うようななかですしね」


 それは勘弁してくれないかな、横島君。


 とりあえず、スカウトはあきらめた神仙たちだったが、高位神霊用結界符はお土産で持って帰ったのはちゃっかりしすぎだとおもうだがね。

 

 

 

 

 

 シミュレーターで合格点がでるようになったので、パピに一号機を操作させたら、本気で滑るような動作をしていた。
 さすが芦田家に派遣されているテレサを使っている関係上、コミュニケーションやら応答反応はばっちりで、「あれ・それ・これ」で通じるレベルだというのがスゴい。
 とはいえ、実際の除霊に使うわけではなく、自分で作る人型大型機械の感覚の参考にするためだとか。


「ヨコシマ、これ、よすぎでちゅ!」
「これを超える物を作らないといけないのね。ハードル高いわ」


 まぁ、ふつうの販売店じゃこれを超える精度は出んな。


「どうすればいいでちゅか?」
「ん? ちょっと高いけど、いいところしょうかいするぜ?」

 

 

 

 

 


 きたで、きたで、よこっち系注文。
 ほとんどワンオフの注文のくせに、無茶苦茶作業精度を求められる系統や。


 よこっち、小学生の頃に転校してったあこがれの君から連絡があったのは、半年以上前のことやった。
 銀ちゃんから聞いたらしく、むちゃくちゃな精度の部品を作ってほしいっていってきたんや。
 試作品だけでも、ちゅうんで、相場の三倍ふっかけたら五倍払ってきた。
 これをみたお父ちゃん、無茶苦茶やる気になって、指定精度の倍はだしよった。
 これに気をよくしたよこっちは、これ以降、大阪の救世主と呼ばれるほどの大量発注を始めたんや。


 そう、あの改造型神通棍だのファンネルの基礎部品は、うちらが作ってるんや。


 物が消耗品やから単体強度が少なくてもええんで、フレーム材料は少なくてもええし、供給される材料の精度は高いし、正直、職人の魂をがっちりや。
 そんなわけで、いま、この大阪の工場周辺でよこっちの注文を受けられるのは一種のステータスやという話になってる。


 逆に、返品でもあったら大事や!


 よこっちの信頼を裏切るちゅうことは、今までの実績をすべて失うっちゅうことや。
 それだけはあかん。


「おとん、きたで!」
「おう、まかしとき!!」


 やる気が出て、本気になれて、金になる。
 大阪人の心意気をよくわかっとる話や!
 よこっち、愛しとるで!!

 

 

 

 

 

 さて、これで開発は一区切り、かな?
 ため息ひとつ、だ。

 

 

 

 

 人型大型建設機の普及は後でいい。


 ファンネルとインコムの普及は急務だろう。
 とっとと広がってくれればくれるほど、大霊症の被害が極小になるはずだ。


 主に局地的な結界機能が高い新霊具があれば、瞬間的な防衛能力や局部的な攻撃能力が高まるはずだ。
 さらにいえば、魔族陣営の攻撃が直接霊力に偏っているので、正々堂々と攻撃してくることになる。
 あとは、励起される悪霊の対処さえ間違わなければ、GSと名のある人間が無力な人間を「簡単」に守ることができるはずだ。


 前の「時」、人類の敵とまでいわれた俺はまだいいが、霊能力者というだけであの大霊症に役立たなかったと後々まで攻められた人々が、GSが相当数いたのだ。
 人々を守れないGSに資格はいらないとか騒ぎを起こして、社会現象化すら起こさせた無茶な「被害者」たちの存在が、俺の記憶に残っていた。
 あの、無惨で無情で無慈悲な「一般人」という加害者を俺は忘れない。
 そして、被害者でありながら、無茶な理論で加害者に仕立てられた彼らの無念も忘れない。


 そう、いつだって俺の敵は「自称」被害者だったと思う。
 GSが守って「くれなかった」。
 力あるものの不注意で「不利益を受けた」。
 利益を受けるはずだったのに「損をさせられた」。


 どんなにうまく立ち回ったと思っていても、信じられない角度から「被害者」が現れて文句を騒ぎ立てた。
 そいつらは、何の努力もなしに得られるはずだった利益を計算し、よこせと騒ぐのだ。


 当時、彼らの計算を公表したところ、その計算を引用して多くの団体が同じような請求をしてきたのは大いに笑った。
 その現象を世界に広め、世界中から請求がきたところで、基礎の計算の間違いを指摘してみた。


 この計算の請求を合算すると、人類って2000億人ぐらいいることになるんですが?


 瞬間、請求を送ってきた団体同士が紛糾し、自分たちの割り当てについて協議しあい、最後にゃテロまで始めやがった。
 つうか、なんで金が本当にもらえる前提で話を進めているんだ? と首を傾げたものだけど。


 まぁ、少なくとも、某オカルト軽視の国の意識は改革しつつあるし、無茶振り国も負い目を持たせたし、前回戦力にならなかった団体からのアプローチもあった。
 加えて、GSの底上げもできたし、無茶な被害者も減ったはずだ。
 これでも自称被害者はでてくるだろうけど、今度は対応を間違えなければいいだけだ。
 金を無制限に握らせるなんて無茶だ。
 どんなに泣いても叫んでも、得られるものは一緒なんだということを理解してもらわんと、な。


 つうか、さ。


 無道な自然現象の被害者なのはわかったから、無理矢理金の引っ張りどころを見つけるなよ、な?


 ファンネルとインコムで、突発的な、衝撃的な侵攻に対応して、底上げされたオカルトGメンが対応する。
 これで被害が小さくならなかったら、自分たちの責任ってことで理解してくれ。


 あーーー、あとは待つだけだな、大霊症。


 芦田、こっちの準備はそろそろ完了だぜ。

 

 


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というわけで、なぜ、発明チートに走ったか、が透けて見えた話でした。


一時戦力だけではなく、オカルト事件後を見据えたものでした。
とはいえ、その両手から零れ落ちるものは多いので、満足いく変革になるかは不明です。


パピの音声入力システムは、システムコアに組み込まれているので外せません。
あと、戦意高揚は「ドッ○イダー」系の何かですw

 

2012/04/06 OTR移転版+小修正

 

文字数は4,758文字