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第五十二話

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えー、これは、いわば、悪乗りですが、悪乗りではありません。

理由は次話を見てほしいわけで・・・


********************************************


第五十二話

 

 二回目の中等部授業をしているとき、腕のGショックが振動した。


 これは緊急連絡があるときのサイン。


 その場にいたシロとタマモも一緒にその場を解散させて、急いで控え室に置きっぱなしにしていた携帯電話を復活させると、即時に電話がかかってくる。


 出た瞬間、六道学院中に響きわたる警報。


 何事か、と思ったけど電話に出ることにした。


「横島さん! 緊急事態です!!」
「どうしたんですか?」


 関東西北部、秩父連山に封印されていた悪神の封印が破壊され、周囲の雑霊を巻き込んで都心部へ向けて侵攻中、A級以上のGSへの緊急召集と連携防衛指令。


 随分とオリジナルの事態に頭が痛くなったけど、了解を回答。


「湯上さんたちもうちの事務所関係者って事で非常召集がかかると思いますので、準備しといてください」
「はい。ではファンネルとインコムの準備をしておきます」
「あと、カオスにキャリアを二台準備と連絡しておいてください」
「・・・わかりました。では六道婦人にも一報入れときます」
「助かります」

 

 

 

 

 


 事務所の箒ハンガーから横島君の箒が消えた。
 どうやら連絡が行ったらしい。
 タマモとシロの箒も消えた所をみると、全員箒で一度こちらに来るのだろう。
 あ、おキヌちゃんのも消えた。
 あの子、一テンポ遅いのよね。


 ・・・きたわね。


「遅くなりました、美神さん!」
「「「おそくなりました!」」」


 いいえ、最速よ。


「事情は聞いてる?」
「はい、湯上さん経由で」
「じゃ、裏の情報。これは首都陥落をねらったんじゃなくて、即時対応能力と速度、そして横島君の最大戦力を計るための各国合同の陰謀よ」


 あら、思わず膝から落ちたわね。


「リチャード、やりすぎじゃねぇか?」
「まぁ、黒幕まで知ってたの?」
「最近、建機じゃなくて、戦闘ロボを作ろうって誘ってくる悪い人っす」


 あらら、あの「火付け屋」王が、横島君には悪い人、程度なのね。


「で、どこまで出すの?」
「二台出す予定なんで、美神さん、協力してください」
「高いわよ?」
「10億までなら出すっす」


 即答、ね。
 つまり、手配はすでにすんでいる、と。


「わかったわ。で、私が乗るのは一号、二号?」
「二号でお願いするっす。一号は今、実験装備満載なんで」
「りょーかい」


 というかこの前乗ったときだってびっくり箱みたいだったのに、この上なにを乗せたって言うのかしら?


「拙者はなにをすればいいでござるか?」
「シロとタマモは、箒たちを呼んでくれ。まじで緊急事態だし」
「じゃ、伝令ね?」
「ああ、絶対現場じゃ妨害されてるから」


 まぁ、黒幕がいる時点でそうよね。


「じゃ、私は?」
「ネクロマンサーの笛、一択」


 よし、方針も決まったし、いっちょ西条さんの所にでも顔を出しますか!


ーぴりりりりりり


 って、今頃協力要請?
 遅い遅い。


「はい、美神礼子除霊事務所です。・・・って、西条さん? ええ、わかってるわ。うちの事務所はいつでもOKよ。ええ、最大戦力まで出せるわ。え? それは秘密。私たちの持ち場まで隠し通すわよ?」


 ふふふ、どうせシブチンのオカルトGメンに出せるような運用費用じゃない。
 バンバン使ってバンバン宣伝しちゃうんだから。


 さて、点F−15で換算よ?

 

 

 

 

 


 秩父奥地から発生した霊団は、東を目指して直進し、このままなら関越自動車道沿いを南下するという。
 なんつうか、明らかに誰かが誘導してるよな、うん。
 リチャード=王の名前をみなくても、絶対陰謀だし。


『(主、出さなくても良かったんじゃないか?)』
「(これで出さなかったら、絶対ほかの封印がいじられるぜ? 出し時だろ、今)」


 ふぅ、とイメージでため息の心眼。


 まぁわかんねえでもない。


 ここまでの大騒ぎをしても出さないのならばそれだけの覚悟があるか未完成か、という判断になるだろうから。
 とはいえ、出すことを決めたんだ、覚悟を決めるさ。


「ご主人様、呪文詠唱(スペルキャスト)完了です」


 コパイスペースのテレサが機動報告。


「おっしゃ、じゃぁ、男の夢一号、起動させるか」


「メインコントロール電源接続、良好。視覚同調、完了。霊子同調、完了。BDType-0一号機、起動します」


 真っ暗だった視界が明るくなる。
 視線の先、3kmほど向こうに霊団の影が見えた。


「カオス、起こしてくれ!」「わかった。マリア、キャリア起床じゃ!」「了解」


 徐々に起きあがるそれ、見た目はかなり大きなダンプカーの荷台だが、そこには見慣れぬ物がいた。
 人の体長を何倍にもした、そんな鋼鉄の騎士のような存在。


「ロック、解除、確認」「忠夫、準備完了じゃ!!」


 その声にあわせて、思いの外軽い一歩が踏み出された。
 まるで、着ぐるみを着た人間の歩調のような、まるで大きさを感じさせない軽い調子に、その動きを始めたみた人々は歓声を上げた。


「きたーーーー! MSきたーーー!!」
「MSにゃ、ちと小さいだろうが!」
「いいや、ビクトリーならあれぐらいだ!!」
「すげーな、あの横島GSの除霊具なんだろ?」
「信じられねえよ、SWのライトセイバーにメーベ、あいつはどれだけ俺たちを萌え殺すつもりだ!?」


 どうも質のよくない歓声だったりする。
 美女の声援は、ない。
 ちょっとテンション落ちたかも。


「ご主人様、あと一分ほどで接触です」
「・・おう、泣いてへんからな!!」


 装備の確認をして早足だったその動きを止める。


「右腕、呪文詠唱(スペルキャスト)」
「右腕、呪文詠唱(スペルキャスト)、了解」


 ぐっと持って行かれた霊力が、形作られる。


「右腕、呪文完了(スペルホールド)。解放キーをどうぞ」
「・・・喰らえ、『ファントムブレイカー』ーーーー!!」


 まるで、パンチングマシーンに全力のパンチを繰り出すかのような姿勢で腕を振り抜く一号機。
 あわせ、鈍い轟音が周囲に響き、まるで鋼鉄の壁へ重い物がぶつかったかのような、そんなイメージを与えた。


「ファントムブレイカー射出良好。・・・命中。正面霊団の勢いが落ちました。効果あり、です」


 呪文詠唱を人工霊に代行させ、その効果をファンネルに乗せて打ち出す攻撃は、まるでロケットパンチのようだ、とパピは大喜びで、この解放キーの設定もパピによるものだった。
 この解放キーをいわないと打ち出せないのが、なんとも・・・。


「ご主人様、霊団が分離。速度優先で攻撃を仕掛けてきます」
「左腕、呪文詠唱(スペルキャスト)」
「了解、左腕、呪文詠唱(スペルキャスト)開始」


 右腕を攻撃、ファンネル腕とするならば、左腕は・・・


「呪文詠唱(スペルキャスト)完了。あと二十秒後に接触します。解放キーどうぞ」
「無垢なる迷路に迷い込め、『クラウイン曼陀羅シールド』!」


 左腕に仕込まれたファンネルが放射状に広がり、光の盾を形成、怒濤の勢いで飛び込んできた悪霊たちを何の抵抗もなく飲み込んでいった。


「仮想空間充填率、10、15、20、22、29・・・吸収完了しました」
「チャンバーに圧縮、排出」
「了解」


 左腕肘から「オカルトハザード」印のカプセルが射出されて地面に落ちる。


「ご主人様、タマモ様から『美神も交戦開始』との連絡です」


 ふむ、とうなずいた彼は、ニヤリと笑う。


「Mストーン機関全力運転!」
「Mストーン機関全力運転、了解」


 ぐっとその存在感を増す一号機。
 まるでそれは神話の一部かのようだった。


「右腕、全呪文詠唱(オールスペルキャスト)開始!」
「右腕、オールスペルキャスト、了解」


 大量に流入する霊力に気絶しそうだったが、耐えた。
 信じられないほどの脱力感だったが、耐えられた。


「ご主人様、全呪文詠唱(オールスペルキャスト)完了です」


 視線を凝らさずみても霊団は見えた。
 ならばその視線の先を打ち抜けばいい。


「ご主人様、呪文圏(スペルバインド)が形成されました。持続時間は30秒です」
「よっし、じゃ、とどめを刺すか!」


 きゅっと彼の目が閉じられると、代わりに心眼が開かれた。


『それは、至りゆく未来。それは未だこぬ最善。それは形作られた未来!』
「眼前に立ちふさがるすべての不条理を、俺は、俺たちは打ち抜く!!」
『「ファイナル・ファントムブレイカー」ーーーーー!!!』


 打ち出しのフォルムは一緒であったが、瞬間、一号機全体が光に包まれ、光の矢となって霊団に襲いかかった。


 いや、光の矢となって、霊団を覆うほどの光が通り抜けたのだ。
 音を言葉にするのは難しいが、それをみていた観測者はつぶやいた。


「スーパー系だ」と。


 それを聞いた人々は、大いに納得したのだった。

 

 

 

 

 

 

 関越道を表の戦いとするならば、秘匿性の高い霊団が南下している県道72号線は「裏」の戦いだろう。
 とはいえ、この戦いを企画した存在もいるのだから、観察されているのは当然だった。

 

 

 

 

 

「美神所長、二号機機動完了です」
「了解、テレサ」


 横島君の一号機を砲撃型とするなら、二号機は近接型だ。
 量子展開型神通棍とインコム霊子を応用した除霊ネット、そして破魔札バルカン。
 私の普段の戦いをそのままにしたような仕様だった。


「美神所長、ファンネルシールド、準備完了です」
「了解。背面にファンネルシールド展開」
「ファンネルシールド展開」


 背中のファンネルボックスから、増幅された霊力受けて数百のファンネルが浮かび上がる。


「おキヌちゃん、霊波共鳴準備」
「はい、美神さん!」


 ネクロマンサーの笛とファンネルシールドによる壁効果で、音響と霊波を援護として、私は切りかかる。


「じゃ、行くわよ」


 すっと息を吸うと、胸に暑い何かが満ちる。


「量子展開神通棍、呪文詠唱(スペルキャスト)開始!」
「量子展開神通棍、呪文詠唱(スペルキャスト)、了解」


 ぶーんという霊子水晶が共鳴する独特の音が響きわたり、神通棍が光輝く。


「美神所長、量子展開神通棍、準備完了です」
「美神さん、笛、準備よろしです!」


 ふふふ、なんか結構燃えるわね、こういうの。


「美神除霊事務所、所長、美神礼子が、極楽にいかせてあげるわ!!」
「機動コード確認。二号機、全力運転開始」

 

 

 

 

 白刃を構え切り裂きつつ、巨人を守るように大量のファンネルが付き従う。
 けり上げ、切り裂き、殴りつけ。
 一度離れても悪霊が追いすがる。
 しかし、巨人の腕がそれを消し去る。


 輝く拳と輝く足。
 白刃と呪弾。


 まるで人のような早さで動くそれは、全くスケールを無視したトンデモ速度でありながら、観察者たちの視線を奪っていた。


「妬み嫉み、下から見上げることしか知らぬ者たちよ。光に向かって進め! 再びこの世で会いまみえようぞ!」


 女性の声が響きわたった瞬間、巨人がひときわ輝く。


「「ハウリングインパクト!!」」


 衝撃ともいえる音が周囲に広がった瞬間、悪霊は消え去っていた。

 

 

 

 

 

 カメラでみると、おキヌちゃんが霊力切れで気絶して目を回していた。
 シロが心配してなめてるから無事みたいね。


 おキヌちゃんのネクロマンサーの笛の音を、霊力的に集約して圧縮する「ハウリングインパクト」は、かなり実験的な技だったけど、結構うまくいったみたいだった。


「西条さん、あとの雑魚をよろしく〜」
「あ、ああ、わかったよ、令子ちゃん」


 いやー、疲れた疲れた。
 とはいえ、一号機も二号機も、うちの事務所じゃないと運用できないわよね?
 こんなデータを映像でみても、自分のものにできないストレスで禿げるんじゃないかしら?


「美神所長、現在、二号機に向けて進軍している部隊があります」
「トラップは?」
「・・・いま、引っかかりました。えー、行動不能が3割超えています」
「それで撤退しそう?」
「・・・引きません。RPGの準備を始めました」
「じゃ、ファンネル向けて」
「了解」


 なんというか隙があればダッシュしてこいって命令なんだろうけど、私やテレサをおろしたら、二度と動かないわよ、この子。
 かなり懐いてるし。


「美神所長、シロさんから『都内の騒動は先生のマンション集が動いた』とのことです」


 やっぱり。


 都内の空白をねらって、その間に盗みに入ろうっていう魂胆がまた、懲りないというか何というか。
 もちろん、いろいろと証拠を握ってもらえていると期待が大きい。


「テレサ、牙をむけてきたバカどもに、痛い目を合わせてやるわ」
「美神所長、現在進行形で痛い目に遭っています」


 みればファンネルに追い立てられていて、撤退を始めた。
 で、視界の端に情報がでてきて、彼らの国籍が露わになった。


 うわぁ、大陸系、ね。


 まぁ、どこの国とはいわないけど、いい気分じゃないわ。


「だから、流出事故、ということで」
「はい、美神所長。すでにそのように失敗しています」


 あー、頼りになるわ、テレサって。
 まぁ、手口が横島君のお母さんっぽいのが怖いんだけど。

 

 

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一号機 ・・・ GGG な 神話ろぼ
二号機 ・・・ 疾風烈風な ヤツ


2012/04/06 OTR移転版+小修正

 

文字数は5,221文字