2011年7月 アメリカ、テキサス州に夫と暮らすドゥワンナ・スワン。
会社経営をしているキャリアウーマンの彼女には外見に大きな特徴があった…
それはボディービルダーのように発達した筋肉。しかし一切鍛えたことがなく、普通に生活しているだけだという。
生まれつき肌はカサカサで、顔も体もごつごつとしていたドゥワンナ。そんな彼女に体の異変がおこったのは16才のとき。
異常な食欲。そして、喉の渇き。特に疲れるようなことはしていないのに、体がだるくて仕方がない。
そこで病院でみてもらうと…II型の糖尿病と判明した。
しかし、通常II型の糖尿病は太っている人が患うことが多い、やせているドゥワンナがなぜII型の糖尿病なのか原因を解明するためにさらに詳しい検査を行うと…彼女に告げられたのは「リポジストロフィー」という聞き慣れない病名だった。
日本では「脂肪萎縮症(しぼう いしゅくしょう)」と呼ばれる非常に珍しい疾患。
通常、糖はインスリンの働きにより、エネルギーとして消費され、消費されなかった糖はある酵素の働きで中性脂肪となり皮下の脂肪細胞に蓄えられる。
しかしドゥワンナの場合、その酵素を作る遺伝子に異常があり、糖が血中に余ってしまい、糖尿病の症状が出たのだ。
さらに、血中に糖が余っていると、インスリンが大量に分泌される。そうなると体内では細胞が異常増殖する、これにより筋肉の細胞が増えてしまう。これらが原因でドゥワンナの体には脂肪がなく、発達した筋肉でおおわれていたのだ。
リポジストロフィーには根本的な治療方法がなく投薬治療で様子を見るしかないのが現状。
脂肪が無いドゥワンナは脂肪細胞からから分泌されるレプチンという非常に重要なホルモンが不足しているため現在はレプチンを投与して健康を維持している。このレプチンには食欲をコントロールする作用があり、これにより血糖値を安定させている。更に嬉しい変化もあった、病気のために妊娠しにくい体だったが、体排卵作用もあるレプチンを摂取したおかげで、妊娠する可能性が格段に上がったという。
最近では糖尿病の症状もすっかり落ち着き、1日2度のレプチン投与のみで定期的な検査以外で病院に行くこともない。
今は病気のことを理解してくれている夫と3匹の犬と暮らす生活。子供については医師と相談している。