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えー、なんか暴走して書いてしまったバージョンですw
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第五十話
さて、目の前の男の話をしよう。
名前を「リチャード・王」という。
自称「テロリスト」。
世界の認識では「死の商人」。
ナイフからICBMまで売り払う、金さえ払えばクレムリンだって、という合い言葉はパクりすぎた。
「どこのエリアの話だ」「イヤーさすがご存じで」
にっこり笑う、そう、笑う仮面だ。
魔鈴さんの店でタマモとと久しぶりに二人で夕食をしていたら現れた男である。
まぁ、おもしろそうだし、クロサキさんの話だと詰めの甘さから各国に追われているそうで、日本でも指名手配を受けているとのこと。
で、すでに警察が動き出しているという。
そのことを伝えると、一時間だけ時間がほしい、プレゼンさせてくれ、と言ってきた。
で、出してきたのが「ガンダ○」。
「つまり、これを作れ、と?」
「萌えませんか?」
「あんなぁ、材料工学的にも意味ないで?」
「しかし、オカルトのバックボーンがあれば・・・」
「基本、生活や除霊に関係あることしか・・・」
とはいえ、以前ルシオラと検討済みで、「ガンダ○」は無理、となっている。
全高14mの戦闘用兵器なんて、GSの作るもんじゃない。
「そう、ですか・・・」
がっくりと肩を落とした男に、一枚の紙を見せた。
その紙を見た瞬間、男は雷に打たれたように背筋を伸ばす。
「こ、こ、こ、これは?」
「Gシリーズの開発で得られたノウハウを、機械的にバックアップさせた増力装置や」
「いやいやいや、これは、おもいっきり、モビルスーツ・・・」
「増力装置、やで?」
タイプAは、今までのGシリーズ。
タイプBは、一回り大きい感じ。
で、タイプCが、全高10mほどのものだった。
見た目でBは、中に入る「SDガンダ○」。Cはガンダ○だったけど、一応は増力装置。
Gシリーズ着用が前提だし。
G3の精霊石同期システムも設計に入ってるし。
「・・・さすが横島GS、男の夢を解っている」
「所詮は立って歩けるクレーンがコンセプトや。完成型までは時間がかかるで」
「では、このプラン、お預けいただけませんか? 我々が最も効率よく・・・」
「あかん」
「・・・やはり、兵器は」
「ちゃうちゃう、兵器は否定せん」
「では?」
「いや、そろそろ、この店に特殊部隊が突入してくる時間やから」
「おやおや、楽しい時間はずいぶん早くすぎてしまったようですね」
そういって、男は一礼してからその場を去った。
当然のように警察による包囲網を突破して、逃げていったそうだけど。
で、そんな事情聴取が済んだ後、タマモが一言。
「で、あんな嘘企画、本気?」
「洒落や、洒落」
「・・・というか、実は部品単位でカオスと作ってるでしょ?」
「・・・洒落やで?」
ところがぎっちょんちょん。
洒落じゃ済まなかった。
はじめは美神さんの事務所。
国からの、というか防衛省からの問い合わせが来た。
「例のもの、期待してます」
続いて警察から、というか特殊車両課というところからも連絡が来た。
「・・・期待してる」
で、最後にゃGSクロウサービスからメール。
「アナハイムに土地を押さえました」
どうみても外堀を埋められている気がする。
「どうするんじゃ、忠夫」
「どうしよう、カオス」
思わず苦笑いの俺たちだった。
「結局、どこまで作ったのよ、横島君」
さすが、美神さん、お見通し。
「あー、一応、制御モデル用のモックならBタイプが完成してて、Cタイプは二分の一モデルが遠隔稼働モデルで出来てます」
「じゃぁ、もう、発表できる段階じゃない」
その台詞に、俺とカオスが眉をしかめる。
「もしかして、量産できないとか?」
「部品単位でならいいんすけど、稼働用の制御ソフトがいまいちなんす」
「なんというか、わしらはそのへん人工魂で稼働試験しておったからな、人が乗るようにはできておらんのじゃよ」
なー? と仲良く首を傾げてしまった。
「だったら、その制御OSの代わりに制御人格を人工魂にするか、制御部分をテレサに頼めばいいじゃない」
美神さんの台詞に天恵を得たかのような俺とカオス。
「そ、それじゃ! それならいけるじゃろ!」
「ああ、タンデム設計で、テレサと二人乗り設計で・・・」
「Bタイプはどうするんじゃ?」
「それなら、テレサをダウンロードするか、テレサネットワークでフォローするか・・・」
「おお! いけるじゃないか!!」
一度ブレイクスルーすればその先は早い俺たちだ。
「マリア、A計画の部品発注をするんじゃ!」
「イエス、ドクターカオス」
「テレサ、大阪に連絡しといてくれ。図面全部発注や!」
「はい、ご主人様」
「「あーーーーはっはっは! いけるぞ!!」」
結局、暴走してしまいました。
東京建材機ショウというイベントが有明メッセで開催されたのだが、集まったのは土建屋とは一線を画する存在ばかりであった。
防衛庁、警察庁、在日米軍などなどなど、国内軍事関係者どころか国外関係者まで集まって、ひとつのブースで固まっていた。
汎用人型建設機械。
そうと名付けられてはいるが、誰がどう見ても違うものだった。
彼らは小さくつぶやく。
「モビルスーツ」だと。
もちろん、外装はFRPで防弾性など皆無だし、武装もない。
しかし、誰もが思った。
魔改造でいいじゃん、と。
多岐にわたるパワーや接地面積あたりの稼働率やら実働データの質問に、にこやかな笑みで答えるテレサを見て、この会社の大本がどこなのかがわかった関係者は、次々に電話を開始した。
なんとしてでも軍用実用モデルの独占契約を、ということで。
しかし、もちろんの事ながら完全にシャットアウト。
今までの開発物を見れば理解もできるが、オカルトの壁は高かったようだ。
一応、建設機械ということになっているけど、飛ぶ・走るなどの普通の人間ができることは一応できる。
ためしに滑り込みや拳法の型なんかもさせたが、稼動範囲内での正常動作に収まるぐらい自由度が高い。
もちろん、テレサによるバランス出力制御が無ければ無理だけど、一般材料だけで上手く行くとは思わなかった。
現代科学万歳だ。
コックピットで太極拳の型を実演操作しているところで、視界の端にルシオラが見えた。
どうやら自分も協力した結果を見に来たようだ。
となりでパピリオが目をキラキラさせている。
あー、自分にも乗らせろって話だろうなぁ。
まぁ、シミュレーターで合格点が出たら乗せたるか?
もちろん、会場が引けてからだけどな。
大型人型機械など趣味が悪いと思ったが、これは神話じゃな。
忠夫とともに作り上げた人型機械は、全高十m程のもので、本人いわく立って歩けるクレーン車だというが、やはり人型というのが威圧感がある。
設計上は戦車にすら負けない装甲を装備できるが、あえてマイルドな駆動系にしてFRPに変更している。
どうやっても兵器に転用されるだろうが、一時的な抵抗でその時間を遅らせたいとか忠夫は言っていた。
まぁ、全力投球で作ってしまったType-0は凶悪じゃったからなぁ。
正直、あのまま戦場に放り込んでも、一般兵器と遜色ない戦果をあげられるぞ?
とはいえ、戦争の兵器として全高十mの「あれ」は、実際の運用上問題がありすぎるので、多脚戦車などに転用されることになるじゃろう。
基本、人型は無理がありすぎるし、制御に無駄が多いからの。
現行の性能ではRPGの三本もあれば倒せるが、これにオカルト系のシールドやら結界が追加されると話が変わる。
人型が呪術を人間の数倍の規模で行うとなると、これは厄介だ。
いわば、伝説の巨人族の復活とも言える話じゃろう。
わしはそちらを気にしているんじゃが、どうも目の前の軍人たちは違う目の色をしておる。
シミュレータでも、まるでゲーム機感覚でチャレンジしておるしな。
まぁ、こういう軍人が旗を振っているうちは安心かも知れんな、うぬ。
「ドクター、質問が来ています」
「ん?」
コンパニオン役のテレサから技術的な質問がきておるな。
む、あれは、変装こそしておるが、リチャード=王ではないか。
マニアックな質問をしおって。
「制御系は未だ開発中で、現行は技術公開していないと言っておけ」
「了解です」
事実、テレサを軍用に使うわけにはいかんからな。
これからの技術革新を祈るほかあるまい。
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なんというか、技術的な説明とか制作上の苦労とかは書いていてもつまらないので、さくっと流してしまいました。
このバージョンで固まったら、部品発注先の悲喜こもごもを書きたいと思います。
2012/04/06 OTR移転版+小修正
文字数は3,496文字