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前回のつづきです
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第四十八話
さて、いまこの場には四つのグループがいる。
一つ、映画をいっしょに見るために待ち合わせをしようとしている弓さんと雪之丞。
一つ、乙女同盟のためにバックアップできるように見守るおキヌちゃん、一文字さん。
一つ、雪之丞からのSOSを受けて、面白おかしく撮影中のオカマ・・・久美、俺、タイガー。
で、最後が不明なのだが、なぜかルシオラとパピリオが俺たちといっしょにいた。
『(主、あれではないか?)』
「(あれ?)」
『(魂の捜索)』
「(ええええええ?)」
いやだってよぉ、魂の結晶の在処は芦田も知ってるぜ?
それなのに捜索? ねえだろ。
『(ならば聞いてみるがいい)』
そんなわけで聞いてみたら、ドンぴしゃだった。
とはいえ、前の時みたいな切迫感はなく、見つかればいい、急がなくても良い、というナローな感じらしい。
「ま、捜索って名目でヨコシマに会えるし、結構いい感じよ?」
「ヨコチマ! 一緒にデートするでちゅ!」
いやいや、ほら、デート初心者の友人の無事を確かめるのが目的やからなぁ。
「そうなんでちゅか?」
「へぇ、・・・おもしろそうね」
「そうでしょぉ?」
なぜか久美と二人が共鳴してるし。
「一応、私の理想を叩き込んだわ。その成果をみてちょうだい」
「「うんうん」」
思わず手に汗を握る三人の背後で、俺とタイガーはため息をついた。
「無事にすむと思うか?」
「無理じゃと思うノー」
もちろん、無理でした。
映画館から出てきた二人をインターセプトしたおキヌちゃんと一文字さんをみて、こりゃ雪之丞がかわいそうだな、ということで、俺たちも合流することにした。
明らかにホッとした感じの雪之丞に、一応、おキヌちゃんと一文字さんを回収して撤退する旨を伝えると、まるで迷子の子供のような顔になりやがった。
「逃げるな、そこにいるのはおまえを頼ってる女だ」と囁いたとたん、視線に力が籠もった。
そう、前の「時」から一緒。
こいつの本質は「守る」戦いこそが真骨頂なのだ。
「もう、ひどいですよ横島さん」
「そうっすよ、横島さん」
ちょこっとお怒りのおキヌちゃんと一文字さん。
「あんなぁ、好きな男とふたりっきりがイヤなら、初めからデートせんほうがいいと思う」
「「う」」
心細いかもしれんし、不安かもしれない。
でも
「そういう時間が二人の関係を近づけるんやろ?」
「「うっ」」
本当に困った顔になった二人を、そのまま喫茶店に引きずり込んで、俺とタイガーのダブルデート状態に持っていった。
あ、久美?ルシオラ?パピ? あんなん怖くて説教できません。
完全に気配を消しての尾行なら許可、ということにしてますよ、ええ。
なんだかよく解らないウチに、横島さんたちとデートになってました。
お説教が終わった後で、食事とウインドウショッピングに誘われて、洋服とかアクセサリーとかみているうちに色々とかってもらってしまって、かなり嬉しい気分にさせられているところで最後に厄珍堂で珍しい護符のアクセサリーを買ってもらって。
ワタシも一文字さんも、本当に浮かれていたんだともう。
で、帰り際に一文字さんに「これってデートじゃね?」といわれて初めて気づきました。
なんだか、いきなり恥ずかしくなってしまいました。
ちょっと変則的なデートでしたけど、弓さんのおかげでデート初体験できちゃいました。
うふふ、女の友情の勝利ですね。
・・・でも、確かに二人っきりの方が嬉しかったかもしれません。
今度は誘ってくれませんか、横島さん。
勉強になったわ。
人間同士のデートって奴。
解説してくれたのは久美という一応人間。
こっち側に殆ど身を乗り出してるけど、最後の一歩が人間というぎりぎりな存在。
そういう意味でいえば、ヨコシマはちょっとだけ人間、となるはずだ。
まぁ、それはさておき。
淑女の演出、貞淑なじらし、乙女の恥じらい。
実に勉強になったわ。
「ありがとう、久美」
「いいのよ〜ん。恋する乙女のよしみなんだから」
「久美、お友達になるでちゅ」
「あら、ワタシはもうお友達のつもりだったわよ?」
私たちは手を重ねた。
「久美、彼氏との仲を詳しく聞きたいでちゅ」
「ワタシも、貴方たちと忠夫ちゃんとの仲を聞きたいわ」
「喜んで」
そう、私たちの乙女同盟は始まったばかりだから。
「じゃぁ、これからお茶しない?」
「いいでちゅね!」
「そうね、いろいろと話し合いたいことがあるのよ」
なんというか、久美って話しやすいし頼りになるし、同性の頼れるお姉さんって感じね。
その点、あの「長女」はアテにならない。
なんというか、小娘臭がプンプンするし。
久美とならヨコシマを共有できるかもしれないと思うけど、彼氏持ちじゃしょうがないわよね。
写真を見せてもらったけど、結構、可愛い感じだったし、久美にぴったりかも。
「・・・寒気がする」
「横島さん、大丈夫かノォ?」
なぜか真っ青になって背をふるわせる横島を、心配そうに見つめるタイガー。
現役女子高生とのダブルデート状態に持ち込んでくれた横島を、どこまでも尊敬するタイガーであった。
が、まさかデートに来ていた二人の女子高生が、実はタイガーに殆ど視線を向けていないなど思いもよらなかっただろう。
タイガー、哀れなり。
「ところで横島さん、この前の休みどこに行っていたんです?」
「なんだ、用でもあったのか、ピート?」
「ええ実は、うちの教会に来た依頼の協力をお願いしたかったんです」
苦笑いのピート。
この程度ってことは、済んだか?
「今からでも手伝うか?」
「いえ、事件自体は解決はしたんですが、その際にアパートから退去を命じられた一家を、できれば横島さんのマンションにお願いしたいと思いまして」
そういって差し出された書類をみて、思わず心眼が呻いた。
『(・・・主)』
「(・・・小鳩ちゃん)」
そう、花戸小鳩。
前の時にお隣となった少女。
今回は某オカルトGメンのうっかり兄さんが、ジャスティスで攻撃してしまい、偽装結婚式を行った後で解決している。
その際、小鳩ちゃんがうっかり兄さんに惚れそうなものだが、そうはならなかった。
どうも、女性関係の陰が濃かったせいらしい。
で、そんな騒ぎを起こしたものだからアパートの退去を命じられていて、どうしたものかと困っていたとか。
「マンションはいいけど、貧乏神関係で呼ばれても、なにもできんぞ?」
「え? そうなんですか?」
「貧乏神と死神関係の情報が多すぎるから、俺が手を出すと反則になるんだよ」
「・・・そうだったんですか」
どうやら貧乏神に関する情報は、最小限に留められたようだ。
そうじゃなくちゃ「挑戦する」権利者が激減するしな。
「ま、花戸さん、だっけか? 引き受けるのはいいけど、うち、割と人外率多いけどいいんか?」
「ええ、彼女自身、出自より人柄をみているようなので、大丈夫です」
こう確信するってことは、自分も受け入れられたつう自信だろうな。
こいつ、普通に美形のくせに、EU圏の出身のせいで、自分がとんでもない化け物だと思っているのが面倒だ。
そのくせ、その自分の力を過信しているところが更に面倒。
タイガーとその辺を足して二で割ってもらえないだろうか?
「あ、そういえば、西条さん、無事だったのか?」
「・・・偽装結婚式を、女子職員に多数目撃されて、「ロリコン」指揮官として・・・」
西条ぉぉぉぉぉ。
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えー、西条&タイガー不幸w
11/13 修正しました・・・
2012/04/06 OTR移転版+小修正
文字数は3,073文字