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第四十四話

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第四十四話


 日本では失敗している対人外組織だったが、世界的にみると一部に成立している。
 本来であればコメリカなどは成立しやすい土壌なのだが、GSクロウサービスなどの成立の影響で進出できていないとか。
 ではどこで成立しているかというと、ロシアなどの北ユーラシアの一部と南アフリカの一部だけだが。
 自然環境や社会背景的に神魔との隔絶があり、排他的になっていたところに組織設立運動がありのったが、全世界的にみれば不成立といえるだろう。
 世界が思いの外人外に寛容だったと言うよりも、コメリカショックを演出した人物が人外との架け橋を自称しているがゆえに流れた現状といえた。


 簡単に言えば、流通資本の一部でも引き上げてほしくない、というわけだ。


 そういう意味では美神美智恵の社会認識は時流から外れており、まさに近視的な視点でのみ動いた結果の失敗と言えた。
 本来彼女が行うべき一手は「オカルトGメンの強化」であったはずだ。
 が、現状のオカルトGメンに人外と決別できる土壌はなしと判断した美神美智恵は、オカルトGメンすら切り捨てて新組織にかけたわけだが、失敗してみれば当然の結果と世界に受け止められていたのが痛すぎた。


 以後、世界規模での活動は、彼女の名前で行うことができないことが決まったようなものだ。
 それだけ大きな錯誤だった。


 ゆえに、がっくりとうなだれる彼女は、所属しているはずのオカルトGメンに休職届けを出し、そのまま都内のマンションに引っ込んでしまった。

 

 

 

 


「いやー、もしかして、いろいろと折っちゃったかしら?」


 にこやかに笑う美神さん。
 さすがに偽装死は腹に据えかねたらしい。
 まぁ、妹でも生まれれば、少しは関係改善するんだろうけど。


「ボッキボキに折れてると思うっすよ?」
「横島君だって共犯よ?」
「まー、ムカつきましたから」


 あの人間以外全部悪って姿勢を聞いたら、切れるでしょ、ふつう。
 日本において言うなら、地霊や神霊、怪異や妖怪なんつうものは、伝承や伝説っていう日本の想いが固まった存在だ。
 それを不要と切り捨てるのは、過去や伝承を焚書にするようなもの。
 愚かとかそういう次元のはなしじゃない。


「ま、ママの神魔嫌いは筋金入ってるから」
「それってあれっすか? 自分が追いつめられてるのに神魔が助けてくれなかったって言う逆恨み」
「逆恨みは言い過ぎでしょ?」
「いえいえ、神魔だって自由に動けりゃ人界と共に生きてるでしょ。でも、協定や条約がじゃまで動けない。それが解っていながら恨み言を呟いてるのって・・・」
「ママは昔悪魔にとりつかれていて・・・」
「多様性のある不幸な話っすけど、それを聞いても判断は変えないっすよ? 魔族にだって良い奴もいれば悪い奴もいる。神族も同じ怪異も同じ、人間も同じっす」


 何度も交わしたことのある会話。
 今度だって結論がでるわけではないけど一応は交わしておかなければならない会話だった。
 もちろん、自分の身内が殺されでもされれば話は変わるだろうけど、今の俺を説得できる内容ではない。


「ま、そうね。私の前世だって「あれ」ですもん。知られればママになにを言われるやら」
「ま、前世は前世、関係ないっすよ?」
「私は少しでも関係したいんだけどなぁ・・・?」


 やば、そういう話のながれっすか?


「あー、美神さん。うれしいんですけど、ねぇ?」
「ま、焦っちゃいないわよ?」


 こんな会話が日常的にできるあたり、なんだかこの辺が一番前の時と違うかもと思う俺だった。

 

 

 

 

 

 パピの妄想につきあう形で武装化したけど、結構おもしろいと思ってしまう自分がいた。
 アシュ様が喜んでくれるというのもあるので乗ってるだけかもしれないけど。


 魔族武装の中でも、人間では太刀打ちできない種類の者だけを相手にしていただけなんだけど、それでも人間たちから感謝されるというのは奇妙な気分だ。


「いくでちゅよ!」
「「おう!」」


 姉さんと一緒にエンチャントキックをたたき込むと、目標が爆発した。
 波長の違う魔力を同時に流し込んで、相乗爆発させるという攻撃は、事実上人間でも出来、結果的には中級魔族までの破壊を可能とする。
 そんな技であることをアピールしてるんだけど、人間は気づかないかな?
 姉さん経由で人間にリークさせるか?


「(そんな高等な波長調節なんて技、普通の人間にはできないわよ)」


 え? 横島できるじゃない?

 
「(すでにヨコシマはこっち側よ。人間の器用さなんて超えてるわ)」


 うっわー、確かに理解できるかも。


 思わず念話で気軽な会話ができるほど余裕ができてしまった。


「(というか、そういう変調装置を横島と作ったらいいんじゃないの、姉さん)」
「(ああ、ベスパ、あんたってなんていい子!)」


 姉さんは、なんというか、こう、「女」なんだなーと感心してしまう。
 逆に私は、こう、なんというか、娘なんだなーと落ち込んでしまう。


「(ああ、愛しき娘たちよ。そろそろ帰投したまえ)」


 こんな酔っぱらいレベルに盛り上がってるアシュ様の声を聞いてもうれしいと思ってしまう自分が嫌だった。
 ああ、我が身がにくい。


「ありがとーー、三姉妹!!」


 宙に舞う私たちに手を振る人間たち。
 なんだろう、古代の神々はこんな気持ちだったのかもしれない、と思った。
 信仰って、やばいぐらいに甘い蜜なんだ、と自覚しつつ。

 

 

 

 

 

 


 久しぶりに横島さんと現場にでました。


 美神さんも横島さんも、あと三百年ぐらい寝て暮らしても大丈夫なぐらいのお金を稼いでいるそうですが、それでもGSの仕事を辞めないのはすばらしいことだと思います。
 横島さん「美神さんはGSって仕事が好きなんだろう」って言ってたっけ。
 私もそうだと思います。


「きょうはおキヌちゃんがファンネル前衛ね?」
「はい!」


 横島さんが作った「ファンネル・オリジナル」は、攻撃的な能力のない私みたいな霊能者に最適な霊具です。
 守って良し、牽制にも良し、そして儀式結界にも向いているという言うこと無しの霊具です。
 今回も自動迎撃で牽制して、その間にネクロマンサーの笛で祓ってしまうというパターンは、私が一人立ちした後でも使えるものです。
 美神さんも横島さんも、私を守り育ててくれているんだと自覚できてしまいます。


「おキヌちゃん、ファンネル起動」
「はい!」


 私の周りで宙に舞う霊具。


「さ、気楽にいこう」
「はい」


 心を落ち着けて、そして見据える。
 万感の思いを込めて、私は笛を手にした。

 

 

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2012/04/06 OTR移転版+小修正

 

文字数は2,695文字