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四姉妹会議〜w
元ネタは本好きの3姉妹会議w
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第四十話
「とりあえず、納得しておいてあげる」
久々にボコボコにされました。
美神事務所に帰ってきて、何の詰問もなく神通棍でボコボコ。
その上での台詞。
美神さん、いい女や。
「で、アシュ様とは長いの?」
「え、ええ、まぁ・・・?」
というか、ソレよりも聞きたいのは、芦田をアシュ様と呼ぶって事は・・・
「ええ、結構記憶が戻ってるわ。まぁ、高島殿と、前世の横島君と沿い遂げさせてくれた上に今生でも縁をつないでくれた恩人ですもの。さすがに責め立てるつもりはないわ」
うわぁ・・・。これからどうなるんだ。心眼えもーん!
『(それなりに情報開示しつつコントロールするほか無いだろう?)』
「(それしかねぇかなぁ?)」
一応、芦田との親交があることと、資金提供をしていること、あと霊具の開発で協力しあっていることなんかを説明した。
「突飛なものばかり作っていると思ったら、そんな所と繋がってたのね」
「えーっと、基本的には俺とカオスだけで作ってるっすけど、ブレイクスルーには一役かってもらってるっすね」
ふーんと興味なさげに呟いた美神さんだったけど、しばらくの沈黙の後、すっと視線を絡める。
「ね、今のアシュ様に会わせてもらうってわけには、いかない?」
「とりあえず、今の娘の話を聞いてから判断するべきかと」
「娘?」
「ええ。メフィストタイプの娘が三体いるんですよ。で、次女が、この、そう、芦田に惚れてるんですけど、毎日「新しいアシュ様のだめなところを見つけた」って泣いてるんですよ」
「・・・」
沈痛な面もちの美神さん。
一応、これを言っていないと問題になる気がしたので言っておいた。
だって、メフィストの頃って、俺と、高島とそういう関係になる前って、アシュ様命のベスパみたいだったし。
「・・・心の整理がついたら教えるから、向こうと会わせてもらえるかしら?」
「わかりました」
芦田に連絡を取ると、超舞い上がった。
何せ、世代まで越えて離れていた長女の里帰りだ、嬉しくないわけがない。
平安の頃は、もう、ストーカーじゃねえ?ってぐらい遊びに来ては、孫を抱き上げたり曾孫を可愛がったりして、人に転化した娘の死に水までとった程溺愛していたのだから嬉しいくない訳がない。
もちろん、そんな芦田の姿を快く思っていないものもいる。
言うまでもなく、ベスパだ。
目に見えて浮かれている芦田を見て、こちらはあからさまに不機嫌だった。
「・・・アシュ様、格好悪い」
柱の陰でこんな事を言っているのが可愛いと思う俺は、歪んでるだろうか?
「そんなことないでちゅよ? ベスパっちゃんってば、嫉妬に身を焦がして可愛いでちゅ」
「・・・でも、ヨコシマ、いいの?」
ルシオラの懸念ももっとも。
でも、まぁ、日本のオカルトトップにも、俺たちの付き合いは知られちゃったから、気にしないで良いよ、と笑ってみせる。
「え`?」
「ほら、芦田に出資してるじゃん、俺? そのルートから芦田の正体が割れちゃってさ。」
「だ、大丈夫なの?」
「うん。一応、言い訳が通ったから」
とりあえず、強化服が中級以下の魔族に出回ることのメリットが今回の接触の根幹であるという説明をしたら、ルシオラは頭を抱えた。
「どしたの?」
「・・・ヨコシマ、その言い訳そのままの状態になりつつあるわよ?」
「うっわー、まじで脳筋だな」
「でも、パピには渡りに船でちゅ!」
つまり、謎のダークヒーローとして、魔族の強化服を倒してゆく、と?
「さすがヨコシマンでちゅ! 判ってるのが嬉しいでちゅよ!」
ひゃっほーと浮かれるパピは、娘の帰還に浮かれる芦田と重なった。
「親子だな」
「親子ね」
「パピ、みっともない」
ついにベスパの暗い視線の矛先がパピにも!!
まぁ、浮かれすぎて両方が気にしてなんだけど。
「つうことは、スーツの調整を仕上げとかないといけないな?」
「うん、手伝ってくれる? ヨコシマ」
「おう、まかせとき」
なんだろう、ベスパの槍の様な視線がルシオラも見てるし。
んー、これと言って記憶にないんだが、すごく親近感のわく視線だよなぁ。
なんやろ?
文珠の「転・移」でやってきたそこは、暖かな空気に満たされた空間だった。
小さなハニワたちがチラチラとこちらを見ているのは良いんだけど、それ以上に気になるのは、スーツの偉丈夫がハラハラ涙を流しながら両腕を広げている姿だろう。
・・・判ってる、判ってるわ、横島君。
あれが、「あれ」なのね。
信じたくなかったけど、信じざる得なかった。
だって、こんなににも魂が叫んでるんだもの。
だから、私は拳を握りしめた。
つかつかと近寄ると、アシュ様はさらに涙を流した。
「おおお、帰ってきてくれたんだねぇ・・・」
ふふふふ、そりゃ、戻ってくるわよ、戻ってこざるえないわよ。
「嫁に出して幾年月だたっただろう、それでも娘は帰ってくる。父親としてこれ以上の感動は・・・」
だって・・・・
「死に水ってのはそういう意味じゃないわーーー!」
「ぶげらぁ!」
このくそおやじ、どこから聞いたかしらないけど、死に水とかしたいとか言って、息を引き取る間際の老体で・・・老体を・・・!!
身動き一つできない老衰した体になんて事しやがったぁ!!!
やべ、美神さん、乱舞だ。
詳細は魂の姉妹であるルシオラ達にしか明かされていないが、芦田の奴、結構洒落にならないことをしてたらしい。
あのベスパですらしばらく口もききたくないとか、別居が必要だとか言い始めたぐらいだから。
娘達に反抗期がキタと、泣きながらも、その実、成長を喜ぶマゾ魔族は置いておいて、美神さんに向き直った。
「もしかして、今回の用件終了っすか?」
「まさか、本題は緊急4姉妹会議よ」
ルシオラもうんうん頷いているんでアリかなぁ、とおもったけど、しばらくして始まった美神さんとルシオラの取っ組み合いの喧嘩をみて、姉妹喧嘩は可愛いねぇ、とか語ってる芦田の神経が判らん。
取り合えず、満足する結果、というか意見交換が終わったらしく、共に子供に見せられない手形で挨拶を交わした美神さんとルシオラだったけど、転移前にしきりと体をすり寄せてくるのは勘弁してほしかった。
辛抱たまらん一歩手前じゃい。
「ところで、美神さん。芦田にどんな死に水とられたんすか?」
「聞きたいの? 死にたいの?」
美神さんの目が病んでる。
やばいやばいやばいやばい・・・・。
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死に水ってのは、元々、息を引き取る前に看取る人がちょっとづつ口を湿らせて水を飲ませる行為だったと記憶します。
今では、死後でもあり、って話だった気がします。
・・・前世の彼女が、どんな「死に水」をとられたのかは、私も命が惜しいので内緒です。
2012/04/06 OTR移転版+小修正
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