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第三十八話

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まあなんというか、自分の実力以外の手柄は勘違いの元、ということでw


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第三十八話

 


 すでに、美神除霊事務所が休憩所替わりになりつつある。
 俺にとってもそうなんだけど、美神さんも副業が恐ろしいまでに膨らんで、それを管理する会社まで作らざる得なくなったほどだった。
 いたしかたなく、利殖は俺と同じ投資グループに預けていて、かなり好調らしい。
 で、思い出したかのように除霊に行くんだけど、10件中6件で自主成仏が起きてしまう。
 出費がなくていいことなんだけど、結構美神さんも欲求不満気味だったりする。


「テレサー、今日の予定は〜?」
「本日は依頼が入っておりません」
「ぶぅ・・・・」
「ですので、除霊以外のお仕事を入れてみては?」
「取材なんてもう懲り懲りよ」
「わかりました」


 てな感じだった。


「横島くーん、なんか面白いネタ無いのぉ?」
「そうっすね、最近除霊ゴッコが子供に蔓延してて、近所の幽霊さんたちが迷惑してるとか・・・」
「あ、私も結構聞きますよ、それ」


 おキヌちゃんの幽霊ネットワークは未だ健在らしい。


「踊るGSに横島GS、ね。ちょっと啓蒙活動した方がいいんじゃない?」
「それって、俺のせいっすか?」
「さすがに直接は来ないだろうけど、それなりに問題になると思うわ」
「そうっすねぇ・・・」


 生兵法はけがの元、で済めばいい。
 しかしGSという仕事は直接的な生死が絡んでいる。
 遊び、とはいわないけど、生半可な覚悟で関わっていい問題じゃない。
 もちろん、我が身を振り返ってみるけど、それはそれ、これはこれ、だ。


「でも、結構オカルト融和型の活動してるんですけどねぇ」
「やっぱりほら、派生してるオカルトドラマが勧善懲悪じゃない?」
「あー、まぁ、そうっすね」


 踊るGSの成功に当て込んだ他局の番組が、当初の踊るGS風の出来だったりするのがよくないらしい。
 派手な技と霊能を特殊効果やCGで更に派手にしている演出で、GS協会からは推奨を得られない出来だった。
 だからって、美神事務所に金積んで協賛を依頼にくるなっつうの。


 先日も某元演歌歌手であるという芸能界の大御所が現れて、自分の娘が出演しているドラマの協賛をしろとか学校に乗り込んできて命令しやがった。
 あまりのことに思考停止してる俺の前で、下品な笑い声をあげていた男に向かって取り合えず聞いてみた。


「おっさん、だれ?」


 瞬間、周囲は真っ白になったが、男は真っ赤になった。


「き、き、きさま、ワシを知らんというのかぁ!」
「誰でもいいけどさ、学校って一種の治外法権だけど、不法侵入者があれば警察って結構簡単に入ってくるんだぜ?」
「なにをいう、ワシが不審者だと!? ワシがどれだけ財界に繋がっているかも知らん小僧が、思い上がるな!!」


 で、十数人の制服警官がきたところで、


「この無礼な小僧を逮捕してくれ、罪状は侮辱罪だ、告訴はすぐするから送検しろ!!」


 胸を張り、尊大に言い放つ男であったが、警官たちが取り押さえたのは尊大な男の方だった。


「な、なにをする!! 私を誰だと思っているんだぁ!!!」


 しらんがな。
 とつぶやいた俺の言葉が聞こえたかどうかは知らん。
 後で聞いた話では、その元大物演歌歌手は契約会社から契約が切られ、娘からも絶縁を言い渡されたとか。
 なにがしたかったのか、全く不明だった。


 それはさておき。


「やっぱ勘違いはどうにかしないとまずいっすね」
「そうね、主に自分たちの平和のために」
「もう、美神さんも横島さんも、すぐに悪ぶるんですから」


 おキヌちゃん、善意で行動するほど悪辣な人間ではないのですよ、俺たちは。

 

 

 

 

 


 間に合ったと思いたい。
 それは悲痛な関係者の声だったかもしれない。


 オカルトGメンと共同で地域巡回し、GS行為の物真似がいかに危険かとか、PTAなどからの押さえ込みがどうにか浸透してきたときにそれは起きた。


 雑霊の暴走とそれに巻き込まれた少年の大けが。


 世論は一気に反オカルトに流れそうになっていたところで、ある雑誌社がある記事を発表した。
 それは日本オカルトGメンの活動であり、それに協賛する民間GSが行っていた啓蒙活動であった。
 危険であることが解っているから、命に関わることであることが解っているからこその活動が地味に行われていたことを紹介した記事であった。
 が、この記事を無視するがごとくに人権屋たちは、オカルト関係者を討論番組で糾弾したが、番組に引き出されたGS協会会長はにこやかに質問した。


「・・・そこまで危険性を理解していて、さらには対策まで発案できるほどの知識をお持ちのあなた方は、今まで何をなさっていたのですか? 事件が起きるまで、自分が注目されるまで、虎視眈々と機会を伺っていたのではないですか?」


 あまりに鋭角な意見に言葉を失った人権屋であったが、事件を防止できなかったことをあげつらい言葉を連ねた。
 が、余りに醜い、あまりに聞くに値しない暴言の数々に、TV局の電話回線は抗議の電話で溢れ、放映を中止せざる得なくなった。
 局としては、自局のドラマへの協賛をしなかったGS協会への意趣返しを行うはずだったが、この番組を放映した責任により局のトップが入れ替わらざる得なくなったことは皮肉な話だろう。

 

 

 

 

 

 当初から素人GSの恐ろしさや危険性を公言していた「踊るGS」は、対照的に高い評価を得ることになった。
 もとより細かな現場取材や考証に拘った作りだっただけに当たり前なのだが、GS協会ばかりか全国のPTAからも資料照会や事例照会があり、推奨の名を受けている。

 

 

 


 それもこれも、当初から協力していただいている美神事務所のおかげです、という事で、プロデシューサーが菓子折を持ってやってきた。


 半眼の美神さん。
 冷たい視線のおキヌちゃん。
 無視状態のシロタマ。
 そして針のムシロの銀ちゃん。


 まぁ、わかるぜ?
 銀ちゃんの泣きは昨晩のうちに聞いてたし、プロデューサーに無理を言われているって知ってるし。
 でもなぁ、なんでこのプロデューサーは断られるって事を、髪の毛一筋すら疑っていないんだ?


「・・・というわけでして、我々としましても、怪異と人間との橋渡しをという理念の元にですね、新たな映画をと・・・」
「で、金よこせ、と?」
「いやいやいや、そういう野暮な話ではなく手ですね、制作においてお知恵とお力をお借りしたく・・・」
「で、金よこせ、と」
「・・・・あははははは」


 真っ青になりつつも愛想笑いを絶やさなかったプロデューサーは、隣の銀ちゃんに視線を送る。
 けど、銀ちゃんは逆に睨み返した。


「俺は、一言もはなさん、そうゆうたやろ?」
「あ、あのだね近畿君・・・」


 なんとか言い聞かせようとしたプロデューサーを強い視線で射ぬく銀ちゃん。


「あんな、所長さんやよこっちが、なぜ真剣に、なんで安い値段で協力してくれるどころが協力者まで募ってくれるか考えたことあるか?」
「・・・・」
「それはな、俺たちがGSの仕事を誤解無く真剣に取材してドラマ化してるからや」
「だ、だったら・・・」
「最後まで聞けや!」


 一喝した銀ちゃんは、俺たちに深々と頭を下げた。


「所長さん、よこっち、タマモ、シロちゃん、おキヌちゃん、俺らのために時間を作ってくれてありがとな。でも、もう少しだけ使わせてくれや」


 そういった銀ちゃんはプロデューサーに向き直った。


「所 長さんたちがな命がけで経験した積み重ねを、弟子にだって経験させなくちゃ教えないような修行を何で俺らに見せたんや? 金には換えられん貴重な情報つう 宝物を何で見せてくれたんや? それはな、テレビを通して一般の人たちを、俺たちを通して普通の人たちを守るためや。いうなればテレビを通してGS活動を してくれていたんや。そんな善意に何も感じんで、その上金を出せなんてよく言えたもんや! ここまで社会貢献してるGSに『文化貢献という社会貢献ができ ますよ?』なんてどの面下げていえたんや!」


 すでにプロデシューサーから笑みは消えていた。
 残ったのは蒼白な顔だけ。


「これ以上、所長さんやよこっちに迷惑かけるなら、俺は「踊るGS」降りるで」
「き、近畿君・・・」
「さ、聞いてほしいことは聞いてもらったし、これで失礼させてもらいます、所長さん」
「ん、了解よ、近畿君。いえ、堂本君かしら? 事務所をクビになったら声をかけて。こっちで何とかするから」
「うっわ、めちゃくちゃ頼りにしてます!」


 にこやかな笑みでプロデューサーの首根っこをつかんだ銀ちゃんが事務所からでていった。


「銀ちゃん、やるなぁ」
「格好よかったですねぇ」
「銀にぃ、結構頑張ったわね」
「それは、あとで直接銀ちゃんに言ったれ」


 かくして、映画化は延期になったけど、このときの啖呵が漏れ伝わって、若手アイドルでは珍しく任侠映画から声がかかったとかなんだとか。

 

 


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なんだか、今回は説教回になってしまいました。
つまらなくて御免なさい。
ただ、世の中の人の中の行動に意図とか意思というものがこめられているんだよ、ということを作品内で表現しようと思っていたんですが、どうも稚拙になってしまいました。、


2012/04/06 OTR移転版+小修正



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