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第三十二話

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第三十二話 大修正版

 

〜「コメリカの敵」の真実

 

 そう題されたドキュメントが放映されたのは、横島への直接取材があってから一月後だった。
 実はその頃には日本とコメリカ間で冷戦状態になっていて、旅客機の本数すら減っていたほどだった。
 もちろん、輸出入業者にとってはいい迷惑だったが、コメリカの無理難題に辟易としていたこともあり他の国への輸出入に切り替える業者も少なくなかった。
  そんな折りで放映されたコメリカ経済界の闇を追求した放送は、コメリカ国内どころか海外メディアでも大きく取り上げられ、そして大国コメリカを翻弄した一 人のGS(大々的に実名報道されているが未成年であるということからドキュメントでは名前を伏せられている)の、インタビューでの一部会話を取り上げられ ることになった。


「・・・家族は守ります。仲間を守ります。それがどんなに卑劣な手でも。仲間の命がこの手からこぼれてゆくのに比べれば、罵声なんか怖くありません」


 少年の、年齢に似合わぬ語り口に誰もが心引かれたのだった。

 

 

 

 


 各国メディアは彼自身への取材をする傍ら、周辺人物への取材も怠らなかった。
 たとえば、「G」シリーズの共同開発者にしてテレサシリーズの共同開発者である「ヨーロッパの魔王」ドクターカオスはこう語る。


「ふむ、小僧は、忠夫は良いパトロンであり良い開発者じゃな。研究者じゃないところがミソじゃよ」


 実に良い笑顔で語る氏に、巷で噂の「ボケ」疑惑について質問すると、爆笑のうちに噂を肯定した。
 が、彼の開発した記憶の外部化技術によりその「ボケ」は心配なくなったとか。
 ゆえに、実際の肉体的な「ボケ」は存在するが、記憶と知識、そして判断におけるボケは存在しないと明言している。
 この「記憶の外部化技術」についてのオカルトパテントはすでに取得しており、技術的な可能性については誰もが閲覧できるそうだが、基本原理部分での難解さが壁となり、転用や盗用研究は進んでいないという噂だ。

 

 

 加え、彼をよく知るという六道家現当主は彼をこう表現した。


「彼? 忠夫君? ああ、そうね〜、すてきな男の子、かしら〜。うちの婿にほしいぐらいですわ〜」


 六道と言えば、現在の世界オカルトシェアの40%にまで駆け登った「極東の奇跡」とも言われる存在だが、その原動力である「ファンネル」の基礎開発にも彼の名前が連なっていた。
 つまり、今の六道の飛躍の陰には「彼」がいたことになる。

 


 さらに加えて「ザンス」。
 ご存じ、センセーショナルな発表をされた「G」シリーズだったが、実の所、ザンス研究所開発となっている内訳は「横島忠夫」と「ドクターカオス」であったことは、今では有名だ。


 基本的にザンスに借りがあった彼が、基礎研究を進めていた霊的強化服を精霊石式にしただけとの情報だったが、それだけではなかった。
 ドクターカオスとともに進めた精霊石同期システムは恐ろしいまでに効果が高いもので、同じ産出国の精霊石で武装すれば、極めて高い結果が得られるはずだった。
 が、先の恥ずかしい降下作戦においては、秘匿も去ることながら秘密作戦自体をデモンストレーションの場とするために、各社それぞれの装備を投入したため、同期システムが正常に運用されることなく、さんざんな結果となってしまった。
 その問題点と判断力のなさは、各国の報道特別番組で大きくあげつらわれることとなった。

 

 

 では、コメリカ国内は、となると、いささか問題が大きすぎた。
 跳ね上がる失業率、上昇する政府不満、国内総生産は下落、そして毎日のように発生するデモ。
 政府批判、宗教差別批判と様々なものながら一様に先日の「敵」発言の撤回と、謝罪を政府で行うように要求している。
 政府見解では「メディアの取材は一方的であり、コメリカの利益に反する内容であった。残念だ」という、全く現実をみないものであったため、デモは暴動に発展する寸前であった。


 小さな町でも大きな都市部でも同じように発生する大規模デモに、州軍が出動を始めたところで事件が起きた。
 始まりは投石。
 応戦する放水車。
 火炎ビンが投げられたところで、誰かが発砲した。


 それが始まりだった。


 官民問わず発砲する都市部の風景を、まるで内戦中の産油国のようだと誰もが思った。


 が、そこに恐怖の対象が現れた。


 G3+ファンネルを装備した国軍であった。


 実体弾をいっさい寄せ付けず、コメリカGSの呪いでさえも弾くその姿を見て、コメリカオカルト企業は、即座に手に入れて分解することを決意した。
 しかし、現地の国民はそうじゃなかった。
 憎しみを込めた瞳で「それ」を見つめた。

 

 

 ひとまずの盾を得た州軍及び国軍だったが、この手の騒ぎにありがちな暴動と強奪が発生していないことに気づく。
 そう、国民は狂乱していないが、軍に対して引かないぐらいに怒っているのだ。
 いや、怒り狂いつつも理性的な民衆。
 これほど恐ろしいものがあるだろうか?


 彼らを拘留できる法律は数多く存在しているが、彼ら全員を同じ理由で逮捕できるどの人員は存在していない。


 拳には拳を、銃には銃を、そして、ファンネルにはファンネルを。


 群衆の中でファンネルを装備したGSが前に進み出る。
 対するはG3+ファンネル。
 全面的な攻防が始まれば、間違いなく負けるのは群衆であっただろう。
 しかし、群衆と軍の最前線で行われた兵士とGSの会話により、二手の緊張は失われた。
 そして、一つのウネリとなった。

 

 

〜政府幹部および汚職官僚の退陣及び刷新

 

 

 これが群衆に合流した軍幹部の願いであった。
 すでにコメリカの国内は、内戦状態を越えた革命状態のようだった。

 

 

 

 


 大統領、副大統領の辞任によって、クラウンナンバー3である下院議員議長が、大統領職を代行することになった。
 本来であれば回ってくるはずのない職分、本来であれば決断するはずのない職種。
 明らかに自分の手に余る要求と国難が差し迫っていたが、彼、下院議員議長であるシェイマス=アンダーソンJrは、企業献金も企業融資も受けていないクリーンな立場であったため、大鉈をふるうことができた。
 汚職官僚の罷免、敏腕弁護士でも付かない限り有罪決定な議員の罷免、黒い議員に関わって汚職満載の企業告発。
 本来であれば絶対にできないことを大統領権限で押し流してみると、上院の1/3、下院の1/7の議員が罷免か辞職することになった。
 後生、彼のことを首切り男などと揶揄した歴史かが多かったが、この大処分を実際にみたからこそ民衆が収まったともいえる。

 


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2012/04/06 OTR移転版+小修正



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