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第三十一話
唖然としたよ、うん。
「G3」装備のコメリカ海兵隊が、ウチのマンションに降下作戦仕掛けて来やがった。
とりあえず、うちのマンションのみなさんには「通」の文珠を持たせて攻撃を仕掛けてもらってるので、がんがん攻撃が通じてるけど。
『シット、隊長、ブースト許可を!!』
誰かが無線に向かって叫んでいる。
ブーストっつうと・・・・
「家主、急に敵の力が上がったぞ」
「んじゃ、こっちは・・・・」
あらかじめ四方に仕掛けてある「神」文珠に意識を向かわせる。
入れる文字は決めた。
『全・国・放・映』
今この瞬間にも、「G3」装備の詳細シリアルデーターと隊員の所属部隊の戦歴、そして何の目的で作戦指示がでたのか、誰が出したのか、なんてことがテレビのテロップで流れているだろう。
そのへんは遊びに来てるヒャクメが嬉しそうにのぞいているから落ちはないな。
「・・・というわけで、店子のみなさんは、余裕で打ち返せる人のみ交戦してください。あとは俺の部屋経由で避難、つうことで」
「「「「「おおおお!また食っていいかぁ!?」」」」」
「き、きょうはだめーーーー!」
「「「「「ええええええ?」」」」」
かなり不満そうな店子さんたち。
「せ、せやったら別の意味ならええか? 性的に・・・」
「レイプもあかん。同性でもだめや」
「大家殿、かたいのぉ」
「おいしそうな男なのに・・・」
あかんあかん、ウチのマンションをハッテンバにさせたらあかん。
「それにな、今のところウチは被害者なんやから。その立場を守るようにしてな」
「「「「「はーい」」」」」
ところで・・・。
「湯上さんと笹倉さん、なんで迎撃側に?」
「ああ、これがあるし」
「結構壁役になるわよ?」
二人が浮かべているのはファンネルB。
防御強化の結界タイプだ。
これはエミさんでも抜くのに苦労するといっていたもの。
防御重視の「G3」に霊符マシンガン装備じゃ抜けないのは道理。
それに、G3の防御能力は個人の基礎能力頼りだし、攻撃力不足はザンスのせいではない。
「・・・んじゃ、向こうの兵隊さんが(性的に)喰われないように監視をお願いします」
「「了解」」
コメリカ海兵隊、開闢以来もっとも残酷で残念な結果、といわれた戦闘の幕が下りた。
G3装備には、一切の損傷はない。
が、直接本体の攻撃や恐怖を直接操作されたため前線は崩壊。
さらには突入部隊の情報を日本国内で丸裸にされてしまい、隠密降下および横島忠夫の確保もしくは殺害を目的とした作戦案すべてが公開されてしまった。
作戦案を作った部署、許可をした人間、作戦実行した部隊、そしてその参加兵のすべてが。
あまりの公開密度に「もう勘弁してください」とコメリカ大使館から泣きが入ったほど綿密に公開されていた。
たとえば、降下兵ジョーンズさん。
三歳の頃、隣のメアリーちゃんに告白したが断られショックで大きい方を漏らした後、女性恐怖症になったこととか、エレメンタリーのテストはすべて成績優秀者のテスト内容を奪ったものだったとか・・・・。
記憶に残る黒歴史が、綿々と公開されていったのだ。
これを知った兵たちは、クリスチャンでありながらも自殺を希望したというのだからその絶望たるや・・・。
個人のメールポストには、過去にさかのぼった個人訴訟や妻からの絶縁状が山のように集まっており、軍部もめまいを感じたという。
とりあえず、日本からコメリカ国民個人へのハッキングがされていると訴えたコメリカ政府だが、日本側からは、「某」神族がマンションへ遊びに来たところを所属不明の軍が攻撃してきたのだから、この程度の反撃は当たり前、と言い切った。
もちろん、正義も何もない単なる財界からのプッシュだけで行われた秘密作戦であることは、世界中が知っている。
そう、コメリカ国民も。
この事実を前にして、「正義」を訴えることは出来ない。
ならば「利益」を訴えるしかないと切り替える政府は、現在のコメリカ不景気の根元はオカルトによる不利益で、その根元には「横島忠夫」がいる、と言い切った。
それも政府報道で。
そこで、記者は聞いた。
「つまり我々コメリカ経済は、一人のGSに勝てない、そうおっしゃるのですか?」
もちろん「Yes」とはいわない。
しかし、責任を押しつけるためにはYesといった方が楽だろう。
記者はさらにつっこむ。
「少なくとも、敵対しなければ良いところを、なぜ政府は敵対姿勢をとるのですか?」
「共存は出来ない。それは彼が異教徒だからだ」
そう、問題の本質をさらけ出させることに成功した記者はニヤリと笑った。
「コメリカ国民の何パーセントがその異教徒か考えたことはありますか?!」
「異教徒だからこそ共存できないということは、多くの同盟国と共存できないという結論になると思われますが、回答を!」
「「「「「回答を!!」」」」」
喧々囂々のうちに記者会見が終了した。
もちろん、記者会見にたっていた補佐官は罷免、更迭、さらには裁判にも掛けられることになった。
罪状はいろいろとあるらしいが詳しくは知らん。
一応、コメリカとの安保条約の撤回はしないつもりだと政府発表があったけど、どこに落とし所を持ってくるつもりかは、全くわからない。
「というか、コメリカの敵扱いよ、横島君」
「中東諸国からの受けは良さそうですねぇ」
「あとイギリスとかフランスからも受けがよさそうよ」
「ロシア、も歓迎してくれますねぇ」
「「あははははは」」
まさか個人名を出して攻撃してくるとは思わなかったなぁ、うん。
前の「時」じゃぁ世界の敵扱いだったのを考えれば、まだいいけど。
でもなぁ、また政治的取引の材料にされかねんのがメンドクサいなぁ。
「ま、本当に面倒だと思えば、市場から投資資金全部を引き上げればいいのよ」
「え、そんだけでいいんすか?」
「もちろん、ご両親と一緒にね」
「あ、あああ、なるほど」
納得した横島だったが、美神の怪しいほほえみを見て確信した。
「・・・美神さん、そういうのはインサイダー取引つうんすよ?」
「あらやだ、横島君のことを敵視してる国から資金を引き上げるだけじゃない」
うっわー、面目上は通りそうな理由だなぁ。
とはいえ、自分を襲うように指示した奴らに資金提供なんかするつもりはないので、早々に引き上げだな、うん。
ザンスとおやじにも一報入れとかないと。
謎の資金団体と呼ばれていた「YYY」という資金団体のコメリカ撤退によるコメリカ経済混乱は、多くの出資者に打撃を与えたが、その出資団体が「だれ」なのかは語られることはなかった。
だが、横島忠夫への敵対発言と同時に起きた経済混乱から、彼による経済テロであると断定して調査が行われる。
そして、理解した。
理解せざる得なかった。
理由なき資金撤退の行き先を。
戻った先を。
そう、横島忠夫だったのだ。
一様に怒りを感じた調査官であったが、よくよく考えれば「彼」を敵としなければ、資金回収は行われなかったのだ。
つまり、ちょっと調べればわかるほど資金浸透していた「横島資金」をコメリカ国内から撤退させたのは、間違いなく政府であり、その発言を左右させる「財界」の上っ面だけの思惑であったのだ。
そう「異民族」という思惑。
調査官たちは自らの職務正義を捨てて、社会正義を行うことを決めた。
そう、調査結果の公開だ。
彼らはこれにより永久にも近い禁固刑を受けるだろう。
しかし、彼らは今を救うために、愛する正しいコメリカを救うために、自らを犠牲にすることを決めたのだった。
コメリカのケーブルテレビから取材がきた。
何でも、今回の騒動の背後についてドキュメント番組を作るので協力してほしいというのだ。
基本的に俺は関係ないよ、と切って捨てたかったんだけど、実際のところ国一つ所か世界不況の誘因になっているといわれれば情報を開示せざる得ない。
そんなわけで、今回の騒動の発端、そう、オカルトパテントに対してちょっかいをかけてきたコメリカ財界の話から始めることにした。
まぁ、全部翻訳されて正しく伝わるか不安だったので、文珠を使って「翻・訳」して話したところ、レポーターの男性が目を丸くした。
「どうしましたか?」
「・・・いえ、まるでネイティブの英会話をなさっているので、少し驚きました」
「ああ、少し前にUKに派遣されたときに少し学ぶ機会があったんですよ」
もちろん、うそっぱち。
文珠様様だな、うん。
と、まぁ、そんなこんなで、こっちが察知した動きとそれに対する対応、そしてザンスでのGシリーズの開発にまで話が進むと、レポーターは真っ青な顔で言葉を止めた。
「・・・ミスタ横島。もしかしますと、あの霊的強化服の開発は、あなたが?」
「はい。ドクターカオスと共同開発ですが」
がっくりと肩を落としたレポーター。
「つまり、ステイツは、あなたの手の上で踊らされていたということですか?」
「まさか。ここまで短絡的な行動にでるとは思いませんでしたから、Gシリーズ用の罠なんかマンションに仕掛けられませんでしたもの」
にっこりほほえむ俺だったが、レポーターは力無い笑顔で答えた。
「この番組が濃くない放映したときの反応が楽しみです」
「ははは、というか、銭勘定ばかりが得意な人間がトップになると、こうなるって事件例みたいなものじゃないですか?」
「実に明確な見解をいただいたところでレポートを終了したいと思います」
そう、これ以上俺から聞くことはない、と彼は判断したのだ。
逆説的に彼の判断によってコメリカ国内感情を良いものにしてくれると約束してくれたようなものだ。
「・・・ところで、ミスタ横島。G3出会っても弱点がある。では、その弱点を補強するにはどうすればいいですか?」
「簡単ですよ。既存の霊具を組み合わせればいいんです」
「たとえば?」
「たとえば、ファンネル、とかね?」
「!!」
そう、G3は初めからファンネルの装備を意識している。
そのことを認めるだけでいいのに、かたくなにファンネルを意識からはずし、国内霊具メーカーと癒着なんかしてるからヒドい目に遭う。
・・・まぁ、最強になれないだけなんで、問題はないんだけど、ただ、ウチのマンションや一流GSなんかに絡むには力が足りないだけなのだ。
あれぇ? なにげにウチのマンション一流GSでも二の足を踏む戦力やん。
コメリカが問題視するのも、仕方ないのか?
「では、ミスタ横島。これで失礼します」
「ああ、ミスタプレジデントにもよろしくね」
「・・・かないませんね」
そんなホテルの一室の会話だった。
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これも一種の俺Tueeeなのは解っていますが、まぁ、そういう流れですのでw
2012/04/06 OTR移転版+小修正
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