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GS美神、最近除霊してませんw
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第二十七話
神魔からの正式発表が各国政府やICPO、そして各国の協会へ入った。
今回の霊場同時襲撃事件は、下級の神魔による反乱であり、それを押さえられなかった責は神魔上層部にある、と。
宗教的なバックボーンもあるため、神族を攻めることは出来ず、同様に魔族も攻められることはなかった。
なんしろ、同時添付された「自称ソン=ゴクウ」による適地襲撃壊滅の映像まで見せられては、自分達の問題は自分達でつけているという査証になるとしかいえなかった。
「あれは、そう、なんていうか、神話ね」
ヒャクメ経由とはいえ直接見ていた美神令子の感想がそのままICPOの報告書に載ったほどなのだから、その凄まじさはしれるというものだろう。
一種の最終兵器、という話もあったが、神魔を所有するなどあり得ないという事もあり、話題はそれた。
そう、所有されてしまっているオカルト勢力の方に。
「つまり、うちのマンションが問題だと?」
「そういうこと、ね」
事務所所長、美神令子は横島の言葉に応えた。
GS協会の規定する保護妖怪制度に数量制限はない。
維持できる量が自ずと解るだけに、わざわざ指定する必要がないと思われていたからだった。
が、横島忠夫。
その常識は斜め上であった。
現在彼が保護している「妖怪・幽霊」の総数は153。
実際に入居している人数はもう少し少ないが、彼を大家・家主と慕っている存在はそれを上回る。
道祖神や橋姫、石神までも彼の元を慕って通っているのだから周辺二流三流GSの評判は悪い。
小遣い稼ぎで交渉する相手や敵対する相手の殆どが「横島忠夫GS」の懇意だというのだから。
下手に手を出せば「リアル悟空」が出てくるとなればビビるのが当たり前だろう。
そうなると、「あれ反則やん、ずるいやん!」と協会に訴えるほかないのだが、非常に上手く運用されている上に、同業者以外からのトラブルがないという、実に世間的に聞こえのいいシステムになっているため、協会としても注意するつもりはなかった。
が、思わぬ方向からのトラブルが舞い込む。
「・・・コメリカっすか・・・」
「そう、合衆国なのよ」
「めんどくさいっすね」
「ほんと」
コメリカ合衆国、それも鷹派と呼ばれる政治家たちが騒ぎだしたのだ。
極右勢力であるGSに、現状兵器が効かない武力が集中する、この事実を容認できない。武力の分散もしくはシビリアンコントロールが必要だ、と。
「で、管理は国連、つうかコメリカがする、と?」
「ま、通るとは思っていないだろうけど、言うだけは言っとくって話ね」
所詮、自分の国がかわいいのはどこの国も一緒。
噛みつく相手が格下なら、容赦しないと言うのが白人社会の習わしだ。
いや、世界規格ともいえるだろう。
で、横島忠夫は苦笑い。
「うちのマンション、そんなこわいんすかね?」
「まぁ、霊場防衛で向かわせた一個師団が全滅してるんですもの。コメリカもなりふり構っていられないわよ」
「はぁ、そりゃまぁ・・・。でも、対霊装備ぐらいは準備してたんすよね?」
「一応、程度だって話ね」
「うわぁ・・・、自分たちの評価ばかり高くて、何も考えてないのが丸解りじゃないっすか」
あはははは、と笑う二人であったが、聞いていたおキヌがあわてて声を上げる。
「ちょ、ちょ、ちょっとまってください! コメリカの動きにどうするって話はしないんですか!?」
えー、といやそうな顔の美神と横島。
「基本さ、うちのマンションの住民って、日本固有の「神霊」なんだよ。それを国外の人間がいじる? GS協会もオカルトGメンも賛成するわけないし」
「まぁ、悪魔払いを許可できないバチカンが本家の御宗教さまから警告がいくでしょ?」
ともなれば、国外からの操作はない。
ではなにが問題なのかと言えば・・・
「油臭い議員だの官僚がしゃしゃり出てきそうだ、と」
「そういうことよ、横島君」
「めんどくさそうっすねぇ・・・」
うんざりのふたり。
もちろん手がないわけではないし、簡単な手段も存在する。
しかし、その手段にはリスクが大きい、というか是非ともリスクを考えて避けたい。
そう考える二人はすでに、かなり似通った思考を持っているようだった。
「GS協会は神父に任せておけばいいっすよね?」
「ま、そうね」
「政府や官僚は・・・」
「頼りたくないけど、六道か・・・」
「ザンスっすかね?」
「うん、そっちは任せていい?」
「了解っす。つうか、個人GS事務所の会話じゃないっすね」
「ふふふ、ま、頼りにしてるわよ」
「頼りにされるっす」
びしっと敬礼の横島と美神は、実に黒々とした笑顔を浮かべていたのであった。
「ひぃ、こ、こわいかもしれない」
政府系交渉は実に順調にすんだ。
というか、六道のおばさまに「お願い」するだけなので、済んだとかそういう次元ではない。
が、冥子の仕事の手伝いをしなければならなくなり、シロを貸し出さざる得なくなったのは少し厳しい。
もちろん、横島君の「ファンネル」と「文珠」があるので、少々の問題はクリアできるんだけど、横島君の不在も少し痛かった。
横島君に任せたザンス経由の政経工作は、きわめて恐ろしいほど明確に形になり、コメリカ鷹派議員の数名が辞職、残りが意見を翻した。
活動資金の大半が白紙になる目になれば、資本主義の議員の主義主張など存在しないといってもいい。
電撃的な情勢の変化を読みとった日本国内の官僚は、逆にウチの事務所に興味を持ち、それぞれのファインプレーで接触を求めてきた。
まぁ、見合いとか嫁にこないかとか、そんなバカな話。
現実的な話では、内閣府やら検察庁、さらには外務省やら国防相なんかが入り乱れて連絡してきているのがウザいんだけど、本格的活動はないだろう。
そう、彼らが狙っている相手が、このほどザンス国王から召喚を受けて、出国しているからだ。
名目は色々あるけれど、今回の召喚がどのようなものかは私ですら知らされていない、ことになっている。
実際は予想できる話があった。
「ファンネル」であった。
この霊具、当初予想を超えて、爆発的なヒット作になっており、在野の霊具市場を圧迫し始めているのだ。
それは精霊石の輸出で生計を立てているザンスにおいて非常に重大な国難であり、一級排除懸案でもある。
つまり、ファンネルによる被害を何とかしたいが、原料生産地であるザンスにおいて何とか出来る問題ではない。
ではどうするか、ともめているところで連絡があった相手こそ横島忠夫。
「ファンネル」の開発者であった。
個人的な友誼もある国王は、この国難にあってブレず、彼に取引を持ちかけた。
「・・・用件は解った。力を貸そう。だから忠夫も力を貸してくれ」
裏も表もない取引に、横島君は了解を伝え、案件が消えたところでカオスを伴いザンスに渡ったのだった。
「どんな霊具を作ってくるのやら・・・」
「でも、早く帰ってきてくれるといいですね」
おキヌちゃんも苦笑い。
寂しい気持ちが大きいのだろうけど、これも影響力の大きい人間の宿命みたいなものだし。
「そういえば、おキヌちゃん」
「なんですか、美神さん」
「横島君がこの前開発したっている「ヨコシマンスーツ」ってあるじゃない?」
「ああ、あの近所の子供が格好いいと評判の?」
「あれ、精霊石共振素子でも作れるらしいわよ?」
「・・・ということは・・・」
「ま、そういうことなんじゃないかしら?」
性能は劣るらしいけど、下級魔族の攻撃程度なら平気だっていってたし、パワーアシスト機能と飛行機能をオミットすれば、世界販売しても安全かもしれないわね。
つうか、普通の霊能者じゃ、オミットしないと着た瞬間に干からびるわね、うん。
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すっかりGSしてないGSSSになてしまいましたw
2012/04/06 OTR移転版+小修正
文字数は3,213文字