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トップページ > 神代ふみあき書庫 > 赤松・椎名系作品 > 恥ずかしながら戻ってまいりました!~GS横島忠夫の再演 > 第十八話
高校生のよこっちですが、内面による加齢効果で、飲み屋でも疑われません。
GSですしw
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第十八話
とりあえず、早々に老師の所へ報告に行くと、老師も膝をついて倒れた。
あまりの芦田さんの変わりように呆然だ。
この分だと、芦田さん陣営でまじめなのって数えるほどしかいなさそうだなぁ。
つうか、ヌル無惨。
研究してたら謝らないといかんかもしれん。
「忠夫様、今晩はお泊まりになられますか?」
結構機嫌のいい小竜姫様。
あまりこの方には関係ないらしい。
「・・・ところで、芦田さんの娘さんとはどのようなご関係で?」
怖い怖いよ、なんか怖いよ小竜姫様!
「いえいえ、尊き龍となるお方に女の陰が多いのはいいのですが、その女の質も見極めませんと、ね」
ろ、老師助けて! っていねーし!!
「夜はとてもとても長いのです。ゆっくりお話しましょうね?」
いやー、たすけてー!!!
誰も助けてくれず、とりあえず前の時間のことなんかをいろいろと話したところ、ガンガン泣かれてしまいました。
悲恋だ何だというのでチョップをかます。
悲恋とかいうな、と。
俺たちはさすがに短すぎる時間だったけど、心から愛し合えたんだし、結果はつらかったけどお互いを守りあえたんだ。
そのことを悲恋だとか陳腐な言葉で締めてほしくない。
そういうと、ひどく落ち込む小竜姫様。
そういえば、事件の後の小竜姫様もこんなかんじだったっけ。
だから思わず撫でると、真っ赤になってうつむく。
ちょっと可愛い。
「彼女たちとの関わりは、今のところありませんし、前の時と同じにはなりそうもありません。でも助けたいと思う気持ちも嘘じゃないんすよ」
「・・・私は、前の時の私は役立たずだったんですね」
「小竜姫様。役に立つとかたたないとか、家族や仲間には関係ない言葉なんですよ?」
「・・・はい」
そんなこんなでまぶしい朝日を浴びつつ、俺はアパートに戻った。
・・・が。
「横島!! おまえ、最上級の修行をしたって本当かぁ!?」
「んあ? 雪之丞?」
「俺にも紹介してくれぇ!!!」
そんなこんなで、後日、魔装術の極みに達した雪之丞であった。
お父さんとお母さんに電話して「芦田」グループへの攻撃を控えてもらうことにした。
「なんでだい? あれって魔族の出張機関だろ?」
「んーっとね、あそこの利益が落ちると、お兄ちゃんの未来の嫁候補が生まれなくなるのよ。」
「・・・そりゃぁ、大問題だね」
「でね、この前魔神が直接「かねくれ」って言いに来たときに、娘を作りたいからじゃまは控えろって脅しもかけられちゃったの。」
「ちょっと虐めすぎたかしら?」
「うん。たった二千万で会社が建て直せるなんて言ってくるぐらいだもの」
「そっか、あと一息だったのね。」
「そういうわけで、お母さんごめんね」
「いいのよ、子供の心を守るのも親の役目なんだから」
というわけで、経営バランスさえよければ、失敗はなくなったわけだけど、芦田さん、典型的な事業失敗タイプなのよねぇ。大丈夫かしら?
先日とは違う飲み屋で飲んでいたのに、なぜか現れる芦田さん。
「いやー、この前はたすかったよ、うん。」
まさかあの資金全部兵鬼にまわしてないよな?
「・・・マ、マサカァ〜?」
だめだ、このおっさん、全然ダメダメだ。
まるでダメなオッサンだ。
というわけで、ガンガン説教タイムの開始だ。
少なくとも、三姉妹を何の落ち度もなくうまれさせてほしいんだよ、おれはね!?
小一時間ほど説教した後で、とりあえず乾杯したらすっかり元の調子に戻った。
まぁいいけど。
で、芦田さん、なにがそんなに嬉しいのかと言えば、逆転号の制作に成功したそうだ。
あと、コスモプロセッサにも目処が立ったとか。
・・・あのですね、芦田さん。とりあえず俺、敵っすよね?
「いやいや、ここまで内情を知っていて、さらには娘の婿候補だろ? 身内も同然だよ!」
芦田、自重しろ!!
・・・ん?
「身内だからって、支援しろ?」
「・・・あははははは。」
「真っ当な商売しろや、な?」
「しかしだねぇ、君のところの両親が、結構怖いのだよ」
「その辺は話つけっから、な。」
「・・・ふむ、では正々堂々と、裏社会を牛耳ろうじゃないか!」
いやー、芦田さん。むちゃくちゃ判りやすい性格だなぁ。ベスパも苦労するぞ、うん。
なんか女の子侍らせて顔をゆるませて、本当にただのオッサンになったなぁ。
やっぱあれか、魂の牢獄、あれがなくなったのがはっちゃけの原因か?
「うん、それはあるね。一度だけの人生だけど、それなりに謳歌できる人生、たまらんよ。」
だから臆病にもなるしスカも引く。
これだから楽しい、と大笑い。
まぁ、楽しんでくれるならそれでも良いけどな。
「追加資金はアテにするなよ」
「・・・そこを何とかだなぁ・・・・。」
だめだ、本当にダメダメだ。
小竜姫様が通い妻状態なのを知った美神さんは、なぜかうちの部屋に日参するようになった。
はじめはアルバイトの帰りに送ってくれるようになったんだけど、最近ではちょっとあがってお茶を飲んで、しまいにゃ銀ちゃんと酒盛りして泊まっていく流れだ。
いやね、前の時もこういうのりがあったよ?
シロがイイ年になってきたとき、俺のアパートにお泊まりしたがるもんだから、何回か泊めたら美神さんまでついてくるようになったという事件を思い出す。
と、まぁ、そういうことだって期待していいんだろうか?
ちょっとドキドキしてしまう。
ま、一人暮らしってわけじゃないし、何が出来るかって話なんだけどね。
とまぁ、そんなわけで、週末遊びに来る愛子や、事務所にいるはずのおキヌちゃんやらシロやらテレサまで集まるのは狭いので、引っ越ししちゃろかと計画中。
事務所に近いところとか、ビルの高いところとかに引っ越せば、箒通勤も出来るし。
学校からは箒通学禁止を言い渡されてちょっと凹んでいる俺であった。
学校で、愛子と一緒に住宅情報誌をのぞき込んでいると、まるで学生同棲カップルみたいだとか考えるのは不謹慎だろうか?
一応、愛子が遊びに来れる範囲で住みたいので、学校周辺に引っ越そうかと思っているのだけれども、そうなると六道から遠くなってしまう。
結構今の家って、いいバランスにあるんだって事に気づいた。
何なら隣の部屋と今の部屋を買い取って、壁を取るのもいいかな?
お風呂は男女に分ければいいし。
トイレも同じくだな。
あれ、結構いいアイデアじゃないか。
居間を共通のスペースで大きくしてしまえばいいし。
愛子だって常駐できる部屋も作れるし。
うん、結構いい感じ。
「・・・ねぇ、私が本当に住み着いても平気なの?」
「ん? なんかまずいか? いや、女子高生が同棲っつうのは評判に関わるかもしれんが。」
「そうじゃなくて、私はチャキチャキの妖怪で、写し身が女だってだけなのよ?」
「・・・おまえ、まだそんなこといってるのか? おまえはいい女だよ。まちがいねーよ。」
何度言っても判ってくれない。
頑固だよな、ほんと。
「横島君のほうが頑固だと思うけど?」
「そっか?」
「そうよ」
まぁ、そうかもしれない、ということにした。
そんなわけで、不動産屋に相談すると、あのアパートというかマンション自体が不動産屋の持ち物件で、逆に全部買いませんか、と言い始めた。
曰く、物件としてはいいんだが、少々値段帯が高めなので入居率が低いそうだ。
そういえば両脇空き部屋だし、結構別の階も空いてるって言ってたな。
うん、全部買う。
そういうと、不動産屋も結構嬉しそうだった。
俺にしても、これからかかわり合うであろう物の怪三達の後ろ盾になれるかもしれないのだ。
これは良い機会だと思う。
「てなわけで、マンション買いました。」
これが元時給250円の男の台詞だろうか?
まるでお気に入りのマンガでも買ったときのような笑顔で言うものだから思わず聞き流しそうになったけど、数遅レベルの出費だったはずだ。
とはいえ、マリア曰く「よい税金対策です」とのことなので、色々あるのだろうけど。
「しっかし、あのマンションって資産価値あまり高くないわよ?」
「でも、これからのことを考えると、あの位置にマンションを持ってるのって結構便利っすよ?」
「まぁ、確かに事務所にも六女にもいきやすいけどね?」
「俺の学校も遠くないんで、愛子もこれなら通学できそうっすよ。」
「って、愛子ちゃんまで囲うの!?」
「いやいやいや、囲うんじゃなくて、共同生活っすよ。あいつって夜学校に一人じゃないっすか? もちろんオカルト生徒会があるっすけど、休みの日とか長期休暇とか、結構寂しいんすよ。だから・・・。」
「はいはい、優しいクラスメイトの横島君登場ね?」
「・・・哀れんでるとかそういうんじゃなくて、その・・・。」
「判ってるわよ。わかってるわ。」
苦笑いの横島君は、たぶん、友達として何とかしたかったに違いない。
何度か横島君の部屋に泊まりにきている愛子ちゃんをみて、通学させてやりたいと、心から感じていたんだろう。
横島君は、そういう男の子だから。
でも、それに数億って、ちょっと気前がいいんじゃないの?
「あー、ほら、妖怪とか物の怪で行き先がない無害な奴らをバックアップできるかなーとか。」
でた、人外博愛主義。
最近の横島君は、人間以外に優しすぎる。
この前聞いた話だと、世間に隠れて会社経営している物の怪に無担保融資をしたらしい。
実にいい加減な送金の仕方だったのでテレサに感づかれてしまっている。
私も私で調べたけれど、その経営自体はギリギリアウトで、融資した資金も右から左で消えていっていた。
バカは仕方ない、と思うけど、バカに利用されるのは面白くない。
もうちょっと探りを入れようかしら?
美神さんに丸投げされた仕事を見ているうちに、一つの書類に目が止まる。
ゴルフ場建設現場に現れる怪異の除霊依頼。
「(心眼、こりゃぁ・・・。)」
『(猫又親子、だろうな)』
物件を確認しこの物件に行こうとしたところで、美神さんからおキヌちゃんを連れていくように話があった。
とりあえず、文珠は腐るほどあるので身の安全は問題ないし、新型ファンネルの実験にもなるので了解した。
各、箒で現地に飛ぶと、植林もされていない自然豊かな山々で、正直にいえばこの土地にゴルフ場なんて作ってほしくないとは思ったが、その辺も含めて「依頼」なので飲むことにした。
ただし、一つだけ引き受け条件を入れた。
対象の処理方法については、当方で一切の権限を持つ
これだ。
依頼主も工事妨害さえなくなればいいと言うことなので、条件が合致し、即座に調査を開始した俺とおキヌちゃんであった。
また、人間がやってきた。
大きな音を立てる機械にも乗っていないけど、男女の二人組でやってきた。
いやな道具は持っていないけど、たぶん、退魔師に違いない。
こんな奥地までやってくるとは、もうこの地もおしまいなのだろうか?
いまだ子供のケイは小さい。
こんな状態では人里に隠れ住むなんて無理に決まっているし、働くことだって難しい。
もう、私たちは、いや、私は追いつめられていた。
ぐっと力を込めて爪を伸ばしたところで、男の方がその場で礼を取った。
「俺の名前は、横島忠夫。この地に住む怪異「猫又」に申し上げる! この地を去っていただけるならば、都市部での生活拠点と仕事を世話することができる! 聞き届けてもらえる気持ちがあるなら、目の前に現れてくれ!」
思わず力が抜ける。
住む場所と仕事を世話するから、この場所から立ち退いてくれ、と言っているのだ。
流石に正面から信用する気にならないはずなのに、なぜか興味が沸き立ってしまった。
だから、ふらりと彼らの前に現れてしまったのは仕方ないだろう。
「・・・・・・」
「現れてくれたという事は、興味を持ってくれて事だと思う。だから、この契約書を見てくれ」
そういって差し出されたのは、契約の精霊込みの契約書で、私たちの部屋を確保する代わりに建物の保守点検を行う業務を行うことがうたわれていた。
そして、その業務にたいする対価も記載されていて、内容は十分以上だった。
「これにサインしてくれれば、必ず俺があなたたちを守る。だから、一緒に来てくれないか?」
その真剣な表情に、全くにていないはずなのに昔のご主人様を思いだした。
「・・・まるで、結婚の申し込みみたいですね?」
「あ、いや、その、いやいやいや、ごかいだから、ごかいだから誤解だから! おキヌちゃーん!!」
「しりません!!」
まぁ、なんというか、信用できる、そう感じた。
だから子供共々、彼のお世話になることにした。
依頼主に元凶を紹介したところ、
「けっこんしてくれー!」
と、飛びかかってきたので撃墜しておいた。
なんだか昔の俺みたいな人間であふれてるよな、この世界。
まぁ、そのへんはさておき、おキヌちゃんと猫又のミイさん、俺と子猫又のケイで箒に乗って、事務所に向かうことにした。
「すっげー! 空飛ぶ箒だぁ〜!」
「おお、結構乗り心地良いだろ?」
「うん! にーちゃんすげぇなぁ!」
「これは、霊力があれば誰にでも乗れるんだぜ。」
「・・・俺も乗れる?」
「練習すれば、な」
「にーちゃん、にーちゃん。おれにも箒教えてくれよ!」
「おっし、家に案内して、部屋掃除できたら教えてやるな?」
「うん、約束だよ!!」
思わずなでると、ケイは気持ちよさそうにしている。
なんか弟ができた気がする。
妹に続いて弟か、と思うと、とてもうれしく思う。
最初は警戒していたミイさんだったけど、1Fの管理人室に住居を構えて一月もする頃には地元でも有名な優しい美人奥さんとして名が通っていた。
商店街でも人気者で、おキヌちゃんと人気を二分するんじゃないかとすら思える。
ケイにも友達ができ、そろそろ地元小学校と交渉を始めようと考えていた。
ミイさんはそこまで世話になれないというけれど、どちらかと言えば、人里寄りの妖怪が人間社会で堂々と生活できるかどうかという試みでもあるので協力してほしいと頼み込んで、どうにか頷いてもらっている。
とはいえ、ケイ自身が人に化けることが苦じゃないからこそ出来ることなので、誰にでも出来る話じゃないんだけど。
「にーちゃーーん!」
友達と別れを告げて走ってきたケイを抱き上げると、ケイの友達も走ってきた。
「なんや、ケイのにいちゃんって、横島のあんちゃんかいな!」「ええなぁ、わいも横島のあんちゃんの弟になりたいわ」「なにいうてんねん! 横島のあんちゃんはわいらのあんちゃんでもあるんや!」「せやったら、ケイは二重三重でわいらの仲間やな!」「せやせや!!」
見知った近所の子供達は、結構俺のことを慕ってくれていて、ケイが俺の身内だと知ってさらに仲間意識を覚えたようだった。
「ケイ! これからのよろしゅうな!」「うん!!」
俺の腕の中で元気よく腕を振るケイ。
「あ、横島君! 買い物つきあってよ!」
「おお、愛子。いいぜ。ケイもいいだろ?」
「うん、愛子ねえちゃん、僕もいく!」
「いいわよ〜、でも、ミイさんに電話しときなさいね?」
「はーい!」
同じ妖怪仲間というわけではないが、愛子やタマモには母親に向けるほどの親愛の情を見せるケイ。
やはり、あのマンションを買い取ってよかったと思わされた。
その後もうちのマンションへの入居希望者妖怪がおり、結構なペースで埋まり始めていた。
とりわけ、同業者、美神さんやらエミさん関係からの紹介があり、それなりに評判になりつつある。
美神さんなど、もう一件ぐらいマンションを買い足さないか、とか言い始めているのは、退治せずに済ませることで格安で仕事を終えられることに味を占めてのことだろう。
妖怪や怪異を退治するのって、結構お金がかかるのだ。
しかし、うちのマンションで生活となると、生活維持費は妖怪が自分で稼ぐし、自分は誘導するだけでいい。
お札も道具もなにも使わないですむというわけだ。
もちろん、無限のスペースがあるわけではないので、自ずと限界はあるけど。
かく言うシロなんかもうちのマンションに部屋がほしいとゴネたが、美神さんの強力な反対で立ち消えている。
そんなわけで、急速に妖怪長屋となりつつあるうちのマンションだったが、その穏和な性格と評判の良さから地域にきわめて急速にとけ込んでいった。
美神さんの事務所にうちのマンションのことで問い合わせが入るようになった。
さすがに仲介料をヨコセとは言われないけれど、人間に追われ続けた妖怪達の最後のより所という形でみられているせいか、仕事の依頼が人間寄りではなく妖怪寄りになっている。
もちろん、かなりの報酬があるので、ほくほくしている美神さんだけど、不良GSだのモグリGSだのを相手にして駆り立てる事が多くなっていた。
そうなると対人戦闘が有能な人間を引っ張ってくるわけで。
「うをりゃーーーー!!!」
「ひぃーーーー!」
「逃げるなぁ!!!」
「おたすけぇ・・・・!!」
「おまえ等外道に慈悲などない!!」
とまぁ、キャラにあわない台詞を連発する新生伊達雪之丞を解き放つと、大概の仕事が終わることになる。
冥子ちゃんからも好評で、
「ゆっきーのストレス発散にいい感じなのよ〜、どんどん呼んでね〜」
ということだった。
魔装術の極みに達し、さらには遠隔攻撃防御のファンネルまで装備している時点で、あいつを倒せるのは中級神魔以上だけだろう。
さらに気合いが入れば中級神魔だって倒す可能性すら秘めているんだから、化け物という形容がここまで似合う男は居ない。
「ところで、横島。おまえ、さっきから指弾で何を飛ばしてるんだ?」
「「消」って入れた文珠。」
「・・・さっきからアホGSたちがマッパなのはそのせいか?」
「おう。」
「・・・とりあえず、股間がぶらぶらしているのをみるとやる気がなくなるから、下半身は消すなや」
「えー?」
「何で嫌そうなんだよ! おまえだってあんな下半身みたくねえだろ!?」
「でもさぁ、あのバカども、この里の娘っこに何しようとしたか忘れたか?」
そう、いま防衛している山神の里の娘たちを手込めにしようと不良GSが散発的に現れていたのだ。
俺たちが駆けつけたときなど、間一髪と言ったところに出会い、おそおうとしていた男たちを、半死半生まで叩き込んでしまった。
さすがに過剰攻撃だったので文珠で治療したけど、意識を失わせてオカルトGメンに文珠で転送しておいた。
罪状や犯行内容のメモ付きで。
で、どうやら組織ぐるみだったらしく、二十人体制で襲撃にきたので、当たり前のように迎撃をしていたのであった。
襲ってくる、雪之丞がボコる、俺がマッパにする。
襲ってくる、俺がマッパにする、雪之丞がボコる。
そんなペースで集めたバカを穴に放り込み、そしてヒトカタマリになったところでオカルトGメンへ文珠転送するという流れで送り出しきったところで、懐の携帯が鳴った。
発信は西条さん。
『・・・あ、横島君? ご苦労』
「ういっす。バカは届きましたか?」
『ああ、大漁だな。まさに爆釣というやつだな。』
「とりあえず、身分証明するものは一切持っていませんでしたけど、呪符とか呪具は押さえましたんで、そっちに帰るとき持ち込みます。」
『・・・本当に助かるよ、横島君。なぁ、横島君。卒業したらうちにこないか? きみなら即戦力なんだが・・・』
「美神さんを説得してください」
『・・・この話をすると、令子ちゃん不機嫌になるしなぁ・・・。』
そんな愚痴を聞きつつ、撤収準備をしていると、山神の長が何度も何度も礼を言ってきた。
もちろん報酬を値切るとか言う話もなく、どうぞ持っていってくれと金銀財宝を示す。
というか多すぎだし。
そんなわけで、必要経費と契約分だけもらおうとしたが、長がどうしても持っていってくれと言うので、では、と少しだけ多くもらってゆくことにした。
ちょっときれいな簪や、古式ゆかしい帯留めなんかを見繕って、タマモや愛子、そしてミイさんのお土産にしようかなどと考えていたのだが、見慣れぬものを見つけた。
それは、なんつうか、見慣れぬ、ではなく、逆に見慣れたもの。
しかし、時間経過で劣化したものとしては見慣れないもの。
そう、以前自分で作ったシルバーアクセサリ(文珠抜き)であった。
形からすると美神さんにあげたもののはず。
「おお、これは『戦乙女の盾』と呼ばれていた宝具ですな。我が里に流れ着いたときにはすでにその力は失われておりましたが、絶対防御を二度ほど発揮すると言われておりました。」
まちがいねぇ。
『(主、つまり・・・)』
「(平安トリップは規定事項つうわけだ。)」
『(それなりに仕込んでおいた方がいいかもしれんな、主)』
「(くあぁ、つれぇ・・・・。)」
とりあえず、シルバーアクセサリーも込めて追加報酬でもらい、俺と雪之丞は里を後にした。
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あまりまくってる「珠」は、信じられない勢いで無駄使いしています。
逆に、無駄遣いしすぎているので、そんなに凄い霊具だと人界の誰にも気付かれていません。
わりとありがちな話ですよね?w
2012/04/04 OTR移転版 + 小修正
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