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第十六話

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そうだ、中世にいこうw

※久しぶりの逆行成分が強くなっています。歴史改変に強い拒否感がある方はご注意くださいw


********************************************


第十六話


「おはよーございまーす」「こんにちわー」


 ふらりと、タマモとともに事務所に出てゆくと、マリアが椅子に座って目を閉じていた。
 瞬間、背筋が寒くなる。


『(主!)』
「(うっわー、これか。でも行かないと歴史が変わるよな?)」
『(断定は出来ない。しかし、歴史は修正力がある。別の形で履行されるぞ。)』
「(だったら、わかる範囲で手を打ったほうがましか)」


 とりあえず、前と違うのは・・・・。
 おキヌちゃん復活済み、文珠出せます、バンダナ生きてます、冥子ちゃんまとも、ユッキー達まとも、オカG開設済み、隊長からの接触あり・・・。


「(わりとグチャグチャだな。)」
『(混沌としているな、主)』


 そりゃ美智恵さんも焦って接触してくるわな。
 とはいえ、自重は辞めたので、バンバン介入しますよって事で。


「あれ、お兄ちゃん。マリアどうしたの?」
「ん? ああ、ケーブル延びてるし、プラグインチャージ中だろ?」
「ふーん」


 そういいつつ手を伸ばそうとするタマモを止めた。


「え? さわったらまずい?」
「ドクターカオスの作ったものだぞ? 普段が安全でも別の時は警戒した方がいいんじゃないか?」
「・・・うん、すんごく理解できた」


 こんな悪あがきでも少しは修正できたかな。
 と、思っていた私がおりました、ええ。


「・・・この匂いは、先生でござるな!」


 ま、まずい・・・!!


「し、シロ、まて!!」
「待てないでござるーー!!」


 瞬間、飛びつくシロ。
 押し出される俺とタマモ。
 マリアに接触する三人。
 瞬間的に感電!!


 そんなフラグが立った瞬間に、美神さんが現れた。


「(そ、そんな・・・!)」
「み、みかみどの・・・!」


 手を伸ばしたシロが、美神さんに接触した瞬間、それは発生した。

 

 

 

 

 

「さーって、シロ。反省した?」
「・・・ごめんなさいでござる・・・。」


 美神さんにボコボコにされたシロは放置して、俺はマリアを文珠でチャージした。
 瞬間的にシステム再起動したマリアは、今が西暦1242年のスイスイタリア国境付近と教えてくれた。


「タイムスリップ?」
「時間移動って、・・・やっぱ美神さんっすかね?」
「信じたくないけど、それしかないわ。」


 げんなりとした俺と美神さん。
 かの美神親、美神美知恵さんの時間移動能力を思い出している俺達だった。
 事情がわからないシロとタマモに説明すると、すごい能力だと大絶賛。


「京都、京都に行きたいわ! 昔のオアゲを味わうのよ!!」
「お、いいでござるな! 古きを知る、味を知る、旅の醍醐味でござるよ」
「おめーは少し反省してろ。」
「きゃうん・・・。」


 とはいえ、ドクターヌルは関わらないと帰れないっぽいしなぁ・・・。


「さて、とりあえず・・・。」
「とりあえず?」
「上着かして! 横島君。寒すぎなのよ。」


 まぁ、ボディコン薄着で11月はさむいわな。
 そんなわけで、俺の上着を貸して、人里を目指すことにした。

 

 

 


 目の前の村が炎に包まれていた。
 恐竜っぽい怪物と鎧騎馬が村をおそっていた。
 迎え討つのは機械犬、ただ一匹のみ。


「ミス美神、横島、さん。出来れば、援護を、お願い、します。」


 武装の確認をするマリアを見て、俺はうなずいた。


「美神さん、とりあえず村人に恩を売る、これって中世の基本すよね?」
「ゲームの基本でしょ、それ」


 そういいながら、俺の上着の内側に仕込んであった神通棍を構える。


「で、お札は?」
「さすがに歩きながら書いたんで、破魔札三枚っす」
「文珠は?」
「一人三つっすね」
「わかったわ。」


 そういって文珠を配ったが、タマモとシロはいらないと苦笑い。
 二人にはアクセサリーに隠した文珠を結構渡していたから。


「んじゃ、山分けね。」
「つうか、終わったら返してくださいよ?」
「・・・ちぃ」


 ねこばばするつもりだったんすね?
 油断ならないな、美神さん。

 

 

 


 それは、カオス様の不在を狙った強襲だった。
 かの有名な吸血鬼の復活を聞きつけたカオス様は、我らの村の守りをバロンに任せ、一時的に村を離れた。
 カオス様は、この村に何かあればわかるようにしたと言っておられたが、さすがにこれだけ時期を合わされてはどうにもなるまい。


「ぎゃうん!」


 いま、バロンが敵兵にやられた。
 その騎馬の槍は、まさに私に向いている。


「お覚悟を、姫!!」
「無抵抗にやられたりせぬわ!」


 取り出した剣を構えたところで、彼女たちが現れた。
 奇異な服装をした彼女たちが。


「横島君、シロ、前衛!!」
「了解!」「わかったでござる!」


 黒き頭髪の少年と白き長髪の少女が、輝く剣を持ってヌルの兵士たちに切りかかる。


「タマモ、火の壁の設営。マリアはコボレた敵を!」
「わかったわ!」「了解です」


 金色の髪の少女と黒い衣の少女が兵たちに向かい合う。
 そして輝く笑顔で青い衣をまとった女性が微笑みながら言う。


「とりあえず、この状況をひっくり返すから、話を聞かせてもらえるかしら?」


 それはこちらも希望している。

 

 

 

 

 

「そうかそうか、ワシ以上の天才が城を占拠している上に貴様等は未来からやってきたというか。」


 にこにことした若いカオスは、人造人間マリアをみて頷いている。


「さらに試作人造人間M−666が、700年以上動いているとは。今からやる気が起きるな。」
「ドクターカオス、あなたは700年を越えても、なお、お元気です」


 そうかそうかと微笑みながらマリアを撫でると、マリアも無表情ながら嬉しそうに見える。
 何というか、能の面のように固定された表情だけど、その陰影が彼女の感情を感じさせる。
 いや、人間の感覚はそれを感じさせているだけかもしれないけど、それでも俺には彼女が嬉しそうに微笑んでいるようにしか感じられない。


「というわけで、状況の整理は終わったけど。マリア、これからどうなるの?」
「イエス、ミス美神。現状、の解決協力の依頼をします」
「ふむ、M666。この者達は、そこまで優秀なのか?」
「イエス、ドクターカオス。700年を越えて、英知を極めた、ドクターカオスを上回る、退魔の術師、です」
「そうか・・・。」


 カオスは感心したように美神さんをみた後、ニヤリと笑う。


「ならばワシから正式に依頼しよう。ワシらの戦いに助力してくれ。報酬は、そうだな・・・。」
「オカルト知識。さすがに700年以上も経つと、知識も劣化するのよ。だから、研究中のものや、常識的なものでかまわないから、ざっくりわかる奴をくれない?」
「あ、美神さん、追加っす。白魔法に関する知識を。あと、700年後の自分に伝えたいことなんかも」


 俺がそういうと、ニヤリと笑った美神さん。

 

 

 


〜作戦開始〜

 

 


・・・・・・

 

 


〜あっさり終了w

 

 

 

 実のところ、特筆すべき事がない。
 美神さんと文珠の使える俺。
 加えて万全のマリアにタマモ、加えてシロ。
 はっきり言えばオーバースペックだ。
 というか、オーバーキル。
 作戦開始二時間で、地獄炉を停止されたヌルは泣いて土下座をした。
 基本タコなので土下座もくそもないのだが。


 報酬の件でカオスの研究所に缶詰になった美神さんとその関係を邪推する領主の娘マリアはおいといて、俺は結界牢獄の中で蠢くヌルのところにやってきた。


「よぉ、プロフェッサーヌル。元気か?」
「・・・人間。そろそろ殺す気になったか?」
「バカ言え。おまえほどの才能が消えるのはしのびねぇ。それでも自由にさせるにゃ恐ろしい。」
「ふふふ、ならばどうする? ワシを手下にでもするきか?」
「それほど長生きでもねえからな。あと2・30年生きててもお前の生き方を変えられる自身はねぇよ」


 どうやらそんな会話が気に入ったのか、ヌルは人の姿になった。


「ではどうしたい?」
「実はな、お前に研究してほしい題材がある」
「・・・ほほぉ?」
「魔族の魂の、欠落した魂の補完と構築、だ。」
「・・・!」


 目を見開くヌル。
 そう、俺の真の目的はこれだ。
 あの流れを完全に変えてしまえば歴史や時間の修復力にじゃまされる。
 しかし、魔界に引き戻された、人類の歴史の向こうに隠れたヌルならば、そのきっかけになる、そう思ったのだ。


「人間、お前はおもしろいことを考えるな。」
「まぁな。知り合いの魔族が魂の欠落で再生不能にになるらしくてな。今から研究すれば、間に合うかもしれない、と思ってる。つまり、俺は俺の利益で人間を裏切ってお前を牢からだそうとしている」


 契約に裏表は必要ない。
 全部さらす必要がある。
 悪魔との契約はそういうものだ。


「で、ワシの報酬は?」
「この場からの逃亡と、未来の知識の一端」
「・・・よかろう。」


 俺はこの一手が逆転の一手になるとは思っていない。
 しかし、必ず、必ず、きっかけになると信じていた。
 過去の時とは違う一手が、どんな未来を作るのか、俺は理解できないまでも期待していた。

 

 

 

 

 


 たらふく魔法技術とオカルト知識を持ち帰った美神さんは満足げに微笑んでいたし、シロもタマモも自然にあふれた環境で遊び回って嬉しそうであった。
 マリア姫から預かったメッセージを聞いて、カオスも嬉しそうだし、そんなカオスをみてマリアも嬉しそう。
 みんなに利益のあった時間旅行であった。

 

 

 

 あ、そうそう。

 

 

 

「美神さん、あの能力、封印した方がよくないっすか?」
「・・・そうね。さすがに自分でも巧く使う自信がないし、ね」


 練習中に失敗でもすれば、よくて時空の迷子。悪ければ宇宙に放り出されて即死。
 さすがに怖すぎて使えない。


「ほれ、妙神山ならその辺の相談に乗ってくれるじゃろ」
「・・・そうね、小竜姫様にでも相談してみようかしら」


 不意に気づく。
 もしかして、平安移動の布石か、と。
 となると、いろいろと準備したいな。
 まじ、準備大切です、ええ。


「まぁ、その辺は持ち帰ったオミヤゲを整理してから・・・。」
「そうよそうよ、ちょっとカオス、頭を貸しなさい!!」


 いろいろな装置や書き移された書類、さらには書籍などを引っ張り出すと、カオスも非常に嬉しそうに読んだりし始めた。


「じゃ、俺の方は魔鈴さんにでも恩を売りに行きますんで」
「箒の一つでも作ってもらってくるのよ〜!」
「ういっす!」

 

 

 


 荷物もちも含めて大量の書籍をもってシロとタマモをつれて行ったところ、持ち込んだ書籍量と質が余りにも貴重すぎて、その場で卒倒。
 魔法料理魔鈴が臨時休憩になると言う事態になってしまった。
 とはいえ、俺も店を手伝ったことがあるので、簡単な処理とオーダーを受けつつ何とかシロタマで休憩時間までごまかしていると、突如魔鈴さん再起動。
 奇声を上げて書籍に飛びつき、鼻息も荒く読みふけり始めた。
 さすがに本日は臨時休業決定。


 落ち着くのを待っていると、時間はすでに夜。
 美神さんにシロとおキヌちゃんはこのまま魔鈴さんのところに泊める方向で話を付けると、美神さんの方もパニックらしく「今電話しないで! 最高潮なのよ!」と切られる。
 さーてこちらはどうしよう、と思っていたら、どうにか現世復帰した魔鈴さんが、うつろな瞳でこちらを見ている。


「・・・よこ、横島さん。こ、こ、これは、どこで手に入れました、か?」


 うつろな瞳の中に胡乱な輝きがちらほらと・・・。
 仕方なく、事故で中世に飛んでしまい、その際に仕事をした事を話し、さらに魔鈴さんの研究を覚えていたので報酬の一部に盛り込んでもらったことを話すと、魔鈴さんは飛びついてきて、キッスの嵐を俺に投下した。


「ああ、よこしまさん、ああ、なんて、なんて素敵でありがたくて嬉しくて!!」


 譫言のように感謝を口にする魔鈴さん曰く、今までミッシングリンクになっていた知識の大半が記載された書籍だったそうだ。
 これがあれば、研究は一足飛びに進み、今までおこがましくて名乗れなかった「白魔術体系」としての名乗りを上げられるほどだという。


「ここまでされて、私は横島さんになにを差し出せばいいんですか? お金じゃ足りないし、店でもだめ、ああ、体を差し出しても足りない、足りないわぁーーーー!!!」


 絶叫しつつキャラ崩壊の危機に面した魔鈴さんへ、うちの事務所用の飛行箒を数本作ってほしい旨伝えると、魔鈴さんは「商業ベースに乗せて全世界に標準配布するぐらい作ってもまだ足りないのよ、そのぐらいの価値があるの!」と再び絶叫。


「魔鈴さん、あなたにとってどれだけ価値のある物でも、俺らにはわからないんすよ。だから、借りだと思ってる差分は、いつか返してくれればいいって感じで」


 ああやっぱり体で返さないと! とか叫んでいる魔鈴さんを鎮静化させ、事務所員用のカスタム箒と召還用のアイテムを作ってくれる約束になった。
 今回手に入れた書籍の研究実証にもなり、ずいぶんと魔鈴さんも助かるらしい。
 そんなわけで、うちの事務所には、人数分のパイロットスーツと長距離飛行計画所の書類が準備されることになったのであった。


 さらに、カオスのところに帰ってきたオカルト書類にも興味があるらしく、半ば事務所に居着いたカオスのところに魔鈴さんが通ってくる、そんな事が日常になりつつあるのであった。

 

 

 

 


 始まりはカオスの絶叫だった。


「くそー! 記憶力が、記憶力がこぼれ落ちる!!」


 どうも、カオスの脳記憶力は限界にきているようで、新しい記憶を入れると、古い記憶が押し出されてしまうらしい。
 判断力や解析力は高いのだけれども、それ以上に記憶に関わる部分が問題で困っているようだ。
 でも、記憶なら書類とかに残るし・・・。


「総合的な判断に困るのじゃ。全部の記憶と経験とリンクせねば意味がない!」
「だったら、外部に記憶層でも作るか?」
「んあ?」
「パソコンの外付けHDDみたいにさ、カオスの脳味噌を機械的に複写して外部記憶層にして、人工衛星かなんかの中継で世界規模のフォローをして、世界のどこにいてもアクセスできるようにすれば・・・」
「小僧、それじゃ、それがあれば・・・。」


 そういいながら頭を抱えるカオス。


「それを作る脳味噌の余裕がないのじゃ」
「じゃ、ちと若返るか?」
「な?」


 両手に出した文珠で「若・返」。
 すると、先日中世で見たときのカオスが復活した。


「お、おおおおお! この漲る力と発想力! すばらしい、すばらしいぞ!!」
「感触からすると一週間はそのままだから、その間に作れるだろ?」
「衛星回線は無理だが、日本国内フォローぐらいは三日で作ってみせるわ!」


 かかと笑うカオスであったが、二日後に「金がない」と泣きついてきた。
 仕方ないので貯金から一千万程貸すと、その後、本当に三日ほどで作ってしまった。


 カオス式地脈伝導記憶集積装置。


 とりあえず、カオス自身が実験し、その結果がでればオカルトパテントをとるそうだ。
 その際にでた利益は7:3の7ほどこっちにくれると言うけど、カオスが生み出す利益はそんなものじゃないはずなので、研究資金に「7」もってけ、と言うと、感動で涙を流す爺カオス。
 得難いパトロンだと感動したらしい。
 まぁ、俺の方も俺で目的があるので、カオスは存分に活躍してほしいだけなんだけどな。


 記憶障害に悩まされたカオスの記憶能力に問題がなくなった途端、一つの研究成果を発表したいと言い出した。
 ドクターカオス最盛期の発明にして、世界的にも二つしかない成功例。


 メタルソウル、人工霊魂の生成。


 試作型人造人間マリア、渋鯖人工霊一号。
 この二体しか存在しない人工霊魂に、新たな一名を、いや一命を追加したいというのだ。


「金たんねーし」
「そこはほれ、美神に借金してでも・・・。」
「逆によぉ、ボディースペックが高すぎだろ? 霊的素材の排除と力を人並みに落とせば、必要資金が十分に一以下だぞ?」
「それでは意味がなかろう! 最高の素材と最高の先頭力がなければ・・・」
「それを誇るマリアは、普段なにしてるよ? 戦争か?暗殺か? 家事じゃねえのか?」
「・・・そうか、つまり家事能力に絞って作れば・・・」
「一般企業として、家電として、爆発的に売れるぞ、メイドロボ」
「それじゃーーーー!!!!!」


 試作型人造人間テレサは、そうして生まれた。
 とりあえず、研修先としてナルニアの横島夫妻(うちのおや)のところに送ったところ・・・。


「男の夢をありがとう、愛しき息子よ」という父のメールと「忠夫とは正面から話し合う必要があるので、近日中に帰国します」という母のメールが来た。


 スケベ男のあしらい方と、お袋のスーパー主婦能力を学んでほしかったんだけど失敗したかなーと返信したら、とりあえず母からは「時間いっぱい仕込んでみせるわよ」という力あるメールが帰ってきた。
 この経験をベースにすれば、どこの家庭でも大丈夫だろうとカオスに話すと、カオスから「村枝商事の家電販売部門からオファーがきとる」とかいい始めた。
 つまり。


「あの金儲けが大好きな両親が、爆発的に儲かるとふんだって事だよ、カオス」
「ふ、そうか・・・。ならば自信を持って売り込みに行くか」


 ニヤリと笑ったカオスが、老人の顔だったけど、あの中世のカオスと同じ顔をしていた。

 

 

 


 村枝の販売網、六道の販売代理店で売り出された人造人間テレサシリーズは、爆発的に売れた。
 はじめは金持ちや好事家が買っていたのだが、その卓越した家事能力や人以上の力が評価され、改良型のテレサが介護や育児の現場に投入されると、各国の手も伸び始めた。
 もちろんガイノイドではないので性的な能力はない。
 それを望む声もあったが、彼女たちのメタルソウルが望まない限りそれだけはない。
 彼女たちには魂があり、その上で心を持って育てている。
 だから、事実上は販売だが、彼女たちが自分で職場を辞める権利もあるのだ。
 ひどい相手には一日でやめてくる場合もあるが、その際もちゃんと購入契約書を書わしているので問題にもならない。
 陰でいじめや虐待をしても、彼女たちの記録にはちゃんと残っているので、証拠物件として関係部署に提出されるシステムにもなっている。
 さすが母だ、と感心したら、母曰く


「あの子たちは、いわば私の弟子、娘よ? 娘のために万全を期するのは当然よ」


 だそうだ。


 家事万能、力は人以上、人件費は人以下。
 さすがに一般事務や他の仕事への転用は禁止にされていたが、家事に関しては無敵の存在として、きわめてこう緒運販売を続けている。
 ファンネルの改良もカオスとともに進めているし、正直、GSをやるより儲かってるんじゃないだろうか?
 まぁ、目的は金儲けじゃないし、な。
 もちろん、金はあった方がいいし、回っているうちは他の人も幸せになれるわけだから、どんどん回すけど。


「そろそろ、行くわよ〜」
「はーい、美神さんー」
「テレサ、マリア、あとお願いね」
「イエス、ミス美神」「イエス、オーナー」


 実証実験の終わった初代テレサは、美神さんのところで働くことになった。
 正直に言うと、おキヌちゃんが仕事をとられたと泣くほど家事が優秀だったりする。
 もちろん、霊的な要素が一切ないので、GSの仕事を手伝えることはないのだけれど、それでもおキヌちゃんにとっては台所も自分の居場所なんだろうと思う。


 ちょっと罪悪感がないわけではない。


 故に、最近はチーム分けで2班ぐらいに分かれて仕事をしている。
 美神さんおキヌちゃん。
 シロ、俺。
 時々全員。
 キツいときは俺、美神さん。
 たまにマリアも手伝ってくれて、かなり有り難い。
 その分手当をはずむんだけど、今のカオスにしてみれば大したことのない収入だろう。


 カオスも収入がいいのだからアパートから引っ越せばいいのに、今まで世話になった大家に安定的な収入が必要だからということで、あのアパートに住み続けているというのだから相当に義理堅い。
 こういう義理堅さが過去のパトロンとの良好な関係になったんだろうと思う。

 

 


 
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SSでおなじみのカオスブーストでございます。
で、テレサ量産というチートつきw

てへへ、やりすぎちゃったw

2012/04/04 OTR移転版 + 小修正

 

文字数は8,029文字