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第十四話

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今回も内容盛りだくさん?
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第十四話

 

 昔はこの上から目線が気に入らなかったけど、今の西条さんの「実際」を感じると、かわいそうになると言うか滑稽というか、なんというか。
 最近ではおキヌちゃんまで可哀想なモノを見るような目つきで見ているし。
 美神さんも前の「時」とは違って、昔からの知人としか感じているそぶりがない。
 もしかするとプライベートでは違うかもしれないと思ったときもあるけど、常にボディコン系の服をしているところを見ると違うんだろうなぁ。
 前の「時」、飲みにつれていかれたときに聞きだした話だけど、あのボディコン系って戦闘服であり鎧なのだと言うこと。
 だから、飲みにつれていってくれたとき、ゆったりとした服を着てくれていたのがすごくうれしかった。
 つまり俺には鎧が必要ないんだって事だって。
 で、今の西条さん相手をしているときは常にボディコン系、戦闘状態というわけだ。
 西条さんは誘惑されていると感じているみたいだけど、毎回ガードが高いと泣きを入れてた。
 まぁ、真実がそっちだとしれる話。


 で、


 見せられたのは数枚の依頼状。
 何枚かは協会経由、そして残りはオカルトGメン。
 俺たちは中身の近似性を見いだした。


「廃校」「学校」「妖怪」「占拠」・・・


 多くは廃校になった学校に何かが居るので調査してほしいと言うもの。
 そして退治ではないこと。
 加えるなら、なにが起きているかが知りたいだけという事。


「君たちが学校霊のエキスパートだと聞いてね。その調査にうってつけだと推薦があったんだよ」


 と視線が美神さんに向く西条さん。
 美神さんはにこやかに手を振ってる。
 いや、「仲介料は半分よこしなさいよ〜」というサインだ。
 俺はピースサイン。
 むっとした美神さんは再び手をふる、五本指。
 ピースサインを曲げず。
 ぐぐっと顔を寄せる俺たち。


「横島君、元金が十分なんだから半分ぐらいよこしなさいよ!」
「・・・愛子の修学旅行積み立てをしたいんです。5愛子、2ピート1俺2美神さん」
「・・・ぐ、それって保護妖怪だから横島君の懐と同じじゃない」
「そんな公私混同はしてません。」
「・・・わかったわ、2でいいわ」


 前の「時」を考えると嘘みたいだけど、こっちの美神さんは嬉しくなるほど誠実だ。
 金銭欲を理屈が上回るのだ。
 こっちの美神さんならオカルトGメンでもノイローゼにならないんだろうなぁ。
 まぁ、それはさておき。


「というわけで、いってきます」
「うん、たのんだよ。一応、君たちの行動についてはGS協会とオカルトGメンがバックアップする。随時連絡を入れてくれたまえ」

 

 

 

 意気揚々とビルを出たところで、ため息をつく横島さん。
 愛子さんも苦笑いだった。
 どうしてかと聞くと、横島さんがあきれ顔。


「あのなぁ、今回の件、どうみても六道の手がみえんだろ?」
「へ?」


 依頼書のどこにも六道の名前は見えませんが。


「こんな一件あたりが些末な依頼書のとりまとめなんて、ふつうの窓口じゃしてくれないの。」
「民間依頼とオカルトGメンの取りまとめも無理かしらね。」
「・・・え、じゃぁ、なんで?」
「俺らが色々と六道のためになることをしてくれたから、っていうんで、叔母さんの方からのお返しだろ?」
「・・・うわぁ・・・・」
「ピートにはオカルトGメンでの実績のプレゼント」
「私には、学校霊関係での実績をプレゼント」
「じゃ、じゃぁ横島さんには?」
「・・・聞きたいか?」
「とりあえず聞かせてください」
「六道と直結した縁故のある「横島」のネームバリューをプレゼント、かな?」
「そんなところじゃないかしら?」


 心底驚いた。
 そして、何の疑問も感じず「任務」に心を踊らせていたことを恥ずかしく思った。


「ま、そこまで読ませて、さらに関係を深めさせようという冥那さんには勝てませんって。」
「あら〜、でも〜、本人の前で〜そこまで言う方も〜手強いわ〜」


 誰もいないかと思っていたそこに、和服姿の婦人がたっていた。
 その名は六道冥那。六道家党首。


「プレゼントする前から中身を言い当てられちゃうと〜、おばさんはずかしいわ〜」
「いやー、あたりだったなんて、こりゃ、気合いはいりますね〜」
「そうね〜、うれしいな〜」


 なんだか黒い霊気を渦巻かせた三人です。
 なぜだろう、半魔の僕でもかなわないほどの魔力に思えるのは。

 

 

 


 速攻で終わった仕事の帰り道、いろいろな手応えを感じていた。
 ピートは善良な妖怪や霊との交渉の実績を。
 愛子は自分が学校霊の纏めをしてきたことへの自信を。
 俺は変わってしまった歴史自体が良い方向へ向かっているという感覚を。
 そのせいかちょっとハイになっていたが、心地よい疲れろ感じつつそれぞれ帰ろうとしていた、が。


「あ、愛子。うちに泊まってくか?」
「え?」
「ほれ、今から守衛さん起こして入れてもらうんじゃぁめんどうだろ?」
「・・・いいの?」
「いいのいいの、タマモだって喜ぶって」
「・・・じゃぁ、おねがいしようかな・・。」


 お友達の家にお泊まりって青春よね、とか呟く愛子に聞こえないように囁くピート。


「・・・まさか、下心はありませんよね?」
「ありゃ、こんな誘いじゃなくてホテルにとまっとるわい」
「それもそうですね・・・。」


 ある意味信用してますよ、とその場で分かれた。


 部屋に帰ると、久しぶりのオールスター状態だった。
 妹タマモに、銀チャン、そして遊びに来ていた雪乃丞。


「おかえりー、・・・って、お兄ちゃんが女連れだ!!」
「なんやて!?」
「なんだと!?」


 驚きすぎや、とつっこみを入れつつ、お互いに自己紹介。
 一応、愛子のことはみんな知っていたので「ああ、あの」で話はすんだが、俺の部屋に銀ちゃんがいたのをみて大興奮の愛子。


「まぁ、よくうちに遊びに来るけど、クラスの女子には内緒な?」
「・・うん!」


 嬉しくてたまりません、という感じの愛子をみて「やっぱアイドルは人気あるなぁ」と呟くと、タマモに「お兄ちゃんの鈍感は罪だよね」とか言われてしまった。


 夜遅くまでみんなで騒ぎ、かわりばんこでお風呂をすませ就寝しただけだったが、愛子はこの世の春とばかりに喜んでくれた。
 うん、なんとかがんばって、愛子も修学旅行に行かせたいな、そう思った。

 

 

 

 


 魔鈴さん、ついに来日。
 西条さんと共に出迎えにいくと、嬉しそうに手を振る魔鈴さんが現れた。
 荷物は俺が受け持って、西条さんとはなしてくれーとしようかとおもいきや、いろいろと話しかけてくる魔鈴さん。
 で、西条さんもあんまり嫌そうじゃなかった。
 やっぱり美神さん一本なんですかねぇ?


「それで、お店を開こうと思って探しているんですけど、どこか良いところ無いですかねぇ?」


 西条さんは首をひねるだけだった。
 視線はこちらにきたので、俺もちょっと心当たりに当たってみる。


「お仕事中申し訳ありません、忠夫です」
「これはこれは、お久しぶりです、忠夫さん。」
「お時間があったときでいいんですが、知り合いの女性の料理店開店の知恵をお借りしたいんですが、よろしいですか?」
「・・・そうですね、どのような人物が、どのような規模で、資金がどのぐらいかをご呈示いただければ・・・。」
「では、そちらの方は直ぐにメールしますので、お時間があるときにお願いします」
「わかりました。」


 ということで、クロサキさんにメールすると、三つほどの物件を返送してくれた。
 たぶん、俺がメールする前に、俺の友好関係から推察したデータがそろっていたみたいだ。
 すげーなー。


「というわけで、この三つのうちのどれかがおすすめです。」


 そういってメールの内容を見せると、魔鈴さんは目をまん丸にしていた。


「まるで、魔法みたい」
「それはあなたの特技です」
「でも、ちょっと電話しただけで・・・」
「それは周りに優秀な人がいるからですよ」


 そんな会話を聞いていた西条さんが、ちょっとのどを鳴らすように笑う。


「・・・オカルト的に見れば、そんなに異常でもないんだろうけどね」


 自分より格上の存在から力を借りて不可能を可能とする。その相手が神様だったり精霊だったり魔族だったり。
 そういえばそうだった。
 もちろん、クロサキさんには損がない様に取引も持ちかけるし、出来ないことは出来ないと教えてももらえる。
 でも視点がおもしろくて、俺たちは思わず笑ってしまった。


「そういう点では、科学も霊能も、多くそういう点がありますよね。」


 道具を発明する人開発する人販売する人使う人。
 いろんな人の力が絡み合っている。
 GS業界も同じだし、オカルトって絡みでも同じだ。
 そんな話をしているうちに、一番のおすすめの店舗に移動した。
 勤務中ですよね、西条さん。


「横島君だって、授業中だよね?」
「あははははは」


 まぁ、お互い美人と仲良くという方針なので、そのへんは突っ込まないことにした。
 お互いに。


 三店舗目で魔鈴さんも気に入り、そこと契約することになった。
 クロサキさんが手を回してくれていたらしく、かなり優位な契約をむすばさせてもらった。
 霊的不良物件だったんだけど、その場で俺が除霊してしまったので、不良もくそもなくなったんだけど。
 そんなこんなで、除霊のお礼ということで、いつでも夕飯をおごってもらえることになったのだった。
 ありがたやありがたや。

 

 

 

 

 おキヌちゃん曰く、最近おいしいレストランが出来たという。
 それも不思議でスゴいそうだ。
 横島君も誘おうかと思いきや、今日はバイトにこない日だったので、まぁいいか、とおキヌちゃんと行ってみた。


「魔法料理店 魔鈴、ね。」


 店先にはGSとしての認可章もあることから、除霊レベルの作業可能な店舗なんだろうけど、料理が専門らしい。
 入ってみるとわりと盛況で、ほとんどの席が埋まっていたが、ちょっと離れた席が空いていた。


「いらっしゃいませなのニャー」


 黒猫が人語をはなしながら現れる。


「あの席でお待ちくださいなのニャー」


 するりとその場から去り、空いてる席で手を振る黒猫。


「スゴいわね、あのこ使い魔よ。」
「使い魔って何ですか?」
「手誰の魔法使いが使役できる、式みたいなものよ」


 メニューを持ってくる黒猫。
 オーダーを取りにくる箒。
 突然現れる料理。
 正直に言えば、現在知られている魔法のレベルを超えていた。


「・・で、料理もおいしい、と。」
「本当ですよねー、これでやすいんですもの」


 おキヌちゃんと二人分でも1500円いかない。
 かなり凝ったことをしているのに、だ。
 信じられないけど信じざる得ない。
 正面から感心して会計をしたところで、なぜかレジに見知った顔がいた。


「はい、1480円です」
「「・・・・」」」
「どうしました、美神さん?」
「あんたなにやってるのよ!?」
「え?」


 店のはけた後で聞いてみると、ことはUK派遣にさかのぼるという。
 あの事件での最後の被害者が「魔鈴めぐみ」であり、その救出をしたのが横島忠夫だった。
 そしてその恩義を感じた魔鈴めぐみは日本での活動の際に横島と連絡を取り合い、そして今度は店舗探しやら開店準備やらを手伝っているうちに、そのお礼に夕飯を、じゃぁ忙しいみたいなのでお手伝いを・・・みたいな感じで手伝うようになったとか。
 なんというお人好し通しの相乗効果。

 
「本当に、申し訳ありません」


 ぺこぺこと頭を下げる魔鈴めぐみに何かいうことがあるわけではない。
 横島君が自分の時間でやっていることだから。


「こっちもビックリしただけだし、謝ってもらうことじゃないわよ」
「そうですよ、横島さんが優しいのは知ってますし、困ってる人をほっとけないのも。」


 おキヌちゃんの言葉を聞いて、横島君はバツが悪そうな顔をしている。


「そうなんですよ、ええ。横島さんってば本当に優しくて」


 きゃいきゃいとはなすおキヌちゃんと魔鈴めぐみ。
 なんだか似ている二人に思える。


「じゃ、横島君は、うちと二足の草鞋?」
「いやいや、さすがに体が保ちませんから」


 そろそろ客層が固定されてきたので、お手伝いも終わりだという。


「美神さんのところを首になったら、いつでもきてくださいね」


 こんなことを言い出す「魔鈴めぐみ」は、やはり敵ではないだろうか?


「俺もレパートリーが増えてうれしいっすよ。」


 なるほど、そういう目的もあったのか。
 こんどうちの事務所で作ってみてもらおう、うん。

 

 

 


 魔鈴さんのところのお手伝いも終わりごろ、料理と簡単な魔法を教わった。
 本当に簡単なものだったけど、自分がオカルトのことをなにも理解していなかったことを実感させられた。
 黒猫にも笑われたけど、笑われるに十分だったと想う。

 
「でも、その常識に縛られない自由なたち位置が横島さんの力の源なんですよ。」


 と魔鈴さんはお世辞をいってくれた。
 フォローしてくれるのは嬉しいけど、あからさまなお世辞は恥ずかしい。
 そんな話を学校ですると、なぜか除霊委員三人組に呆れられた。
 まぁ、俺がオカシい人間扱いされるのはいつものことなので、いいんだけど。


「一応いいますけど、魔鈴さんの言っていることは、僕らもそう感じてますからね?」
「そうですじゃのぉ、横島さんの良い面を的確にとらえてますノー」
「私もそう思ってるわ。」


 うーん、友情って良いなー。
 こうやって寄りかからせてもらっている事実に感謝しないと。


「あれ、たぶん、私たちも追従してお世辞を言ってると思ってるわよ」
「はい、間違いありませんね」
「なんで横島さんは、あそこまで自己評価が低いんですかノー?」
「ま、そのへんが横島君らしいと言うかなんというか。」
「そうですね・・。」


 なんだよ、その明らかにどうしようもないものを見るような目は・・・・。
 まったく、と思っているところで、何かが近づく気配。
 それも窓の外・・・。
 まるで美神さんの拳のような切迫感。


「みんな伏せろ!!」


 俺の言葉を受けて、反射的に伏せるクラスメイト。
 もちろん俺も伏せたが、間に合わなかった。
 まるで弾丸のように飛び込んできたそれは、まるで俺を抱えるようにしてその場から去った。

 

 

 


『(主、これは?)』
「(あー、そうか、そうだったのか。)」


 思わずニヤリと笑ってしまった。


「(イタリアの国宝、魔女狩り時代の遺産、ファイヤーフォックス。空飛ぶ箒だよ)」
『ほぉ・・・。』


 すでに高高度まで上がってきているので、心眼も表にでてきた。


『して、これの操縦は?』
「じつはこの前魔鈴さんから教わった魔法ってのが、箒の操縦法だったんだよ」
『実に、タイムリーだな、主』
「ご都合主義のにおいを感じるがな」


 そんなこんなで箒と対話すると、ずっと暗い封印の奥で死ぬほど退屈で、無理矢理飛んできたらしい。
 ただ、一人で飛ぶのも嫌だったので、良さそうな人を捜していたら俺を見つけたとか。
 まぁ、見込んでもらえるのは嬉しいものだ。
 ・・・そうだ。


「なー、ファイヤーフォックス。俺とは別に2人ぐらい乗せられないか?」


 俺の思いに、是の回答。


「ほんじゃ、おまえの友達になれる奴を迎えに行こうぜ」


 意識の先は六道女子中等部。
 我が家の炎の狐と白狼とご対面〜。

 

 

 

 学校が歓声に沸いた。
 校庭の運動中の生徒が騒いでいるのに気づき、校舎から視線が集まったせいだ。
 私が覗いてみると、なぜかそこにはお兄ちゃんが箒を担いでいた。
 急いで鬼道先生が駆け寄ったが、色々と話したところでこっちを手招きしている。
 ちょっと大きめのブロックサインで、シロねぇと私にきてほしい、と言っている。
 シロねえと顔を見合わせて、とりあえず行ってみると、どうやらやっかいごとに巻き込まれたが、できれば穏便に済ませたいらしい。
 で、それが、思う存分に飛びたい箒の思いを遂げさせたい、という。


「ほぉ、自意識を持った箒かやゆうと、青き稲妻か炎の狐ぐらいなもんやで?」
「ああ、よくしってるな。その炎の狐だよ」
「横島君、そりゃ、イタリアの国宝や。」
「まぁ、国宝つうたって、じいしきがあるんだぜ? ストレスも貯まるし不満もたまる。ちょっとは解消してやらんと」
「・・・かなわんあぁ、横島君には」


 そんなわけで、シロねぇと私で、乗ってあげてほしいそうだ。
 ちなみに私たち二人に文殊が渡され、落ちたら使えと言われた。
 結構、妹使いの激しいお兄ちゃんだった。

 

 

 

 すごいすごい、すごいでござる!!
 先生が連れてきた魔法の箒のおかげで、信じられない速度で飛んでいるでござる。
 タマモは体が弱いので、拙者の背後に乗せているでござるが、結構冷えてきたようでござる。


『ちょっとスピードを落としてほしいでござる』
『是』


 漂うように高い空を舞うと、まるで先生と散歩にきた時みたいな爽快感があるでござる。


「シロねぇ、ちょっと高くない?」
「・・・むー、確かに高すぎるかもしれないでござるな」


 なにしろ航空機に手が届く範囲でござるから。


「では、ちと降りるでござるか?」
「そうね、今度はちゃんと防寒着を準備しましょうよ」
「いいでござるな。」


 高すぎるのを別にすれば、タマモも拙者もずいぶんと楽しませてもらった。


『炎の狐殿、また乗せてもらえるでござるか?』
『是』


 嬉しそうな返事に、拙者たちも喜んだでござる。


「じゃ、ゆっくり降りましょ。」
「了解でござる」

 


 手にした箒と共に地上を目指す。
 山手線よりも大きな円を描きながら。

 

 

 横島君と私達は、冷えきった体をふるわせつつ喜びに顔を輝かせている二人を迎えた。
 毛布で包んでやり、暖かなスープを飲ませたところ、横島君へどれだけ楽しかったか、どれだけ嬉しかったかを語る二人。
 もちろん、国際問題一歩寸前だったのだけれども、箒管理をしていた財団担当者へ横島君が掛け合い、どれだけ箒の自意識を傷つけていたかを切々と説いて説得してしまった。
 たまたま現れた現代の魔女「魔鈴めぐみ」もそれに同調し、自意識を持った箒を封印保管すること自体、人間を生き埋めする事と等しいと厳重な抗議。
 囂々とした意見が集まって、時々憂さ晴らしをさせることや、定期的に飛行させることを約束させてしまった。
 その事を知った同列の魔法箒「青い稲妻」も同等の扱いを熱望し勝ち得たのは余談だろう。
 ともあれ、遠くイタリアから遊びに来るという魔法箒という友達を得たシロとタマモは、極めて嬉しそうにほほえんだのだった。

 


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この作品において、人間関係が険悪な人は少ないのですがそれでも居ないわけではありません。ではどこにいるかといえば、大人の手の向こうにいます。
ちょっと過保護な世界ですよね。

 

2012/04/04 OTR移転版+小修正

 

文字数は7,424文字