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第十三話

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当然ですが、それなりに頼れるようになった横島君は、それなりに人気がありますが過去の影もあり爆発はしませんw
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第十三話


 が、当ては大きく外れた。
 このほど六道から販売された簡易式神「ファンネル」は、その性能と汎用性、そして破壊的な価格の安さで世界的なヒットを約束されている。
 ICPOオカルトGメン各支部はほぼ全域で導入を決めているし、民間GSの多くも導入を検討している。
 そう、全世界規模で販売が決定しているのだ。
 そんな折りに、改良版心霊兵器など売れるわけがない。
 時期もタイミングも悪かったが、なによる運が悪かった。
 なにしろファンネルの基礎開発を忠夫がしているというのだから。
 そりゃ、一癖もふた癖もあるに違いないだろう。


「局長、正面から戦っても勝てそうもありませんぜ?」
「だまれ、商社。おまえは我々が勝利した後の販路でも考えていろ」


 まぁ、考えるだけならいいけどな。
 そんなわけで、早々にその場を離れ、いとおしい娘へ電話をする俺だった。

 

 

 

 なんというか、かわいそうになってきた。
 ナルニア製の心霊兵器という奴は、そこそこ出来がよかったはずなのに、ファンネルCの防御結界を越えることが出来なかった。
 呪符マシンガンの収束率もよかったけど、ファンネルAの自動迎撃の前では紙だった。
 そして神通棍を構えた兵たちは、ファンネルBの特攻に全滅していった。
 その間、俺たちは茶を飲みながら談笑。
 ナルニア兵たちは、悔しさで血の涙を流していた。


「んじゃ、カスタムファンネルも導入するか」
「待ってましたのジャ!」


 タイガー用に調整中のファンネルBを起動。


「準備OKです。」


 ピート用のファンネルAを起動。
 そして自分専用の「AB」を起動。

 

 

 

 

「さぁ、全滅だ」

 

 

 


 ちょっとやりすぎかしら〜?


 そんな風に思える。
 正直に言うと、ケチョンケチョンにするのはOK何だけど、さすがに向こうが隠していた霊能者まで引っ張りだしてしまったのは、ちょっと行き過ぎだったわ。
 でも、霊能がなくても使える心霊兵器の売り込みで、最大戦力の人が霊能者じゃ意味がないのよね。
 そのへんがあるので、外交問題にはならないと思うけど、しばらくは微妙な関係になりそうだわ。


 国どおしの関係はさておいて、ファンネルのプロモーションとしては最高だった。
 攻守に優れ、結界を張り、霊は増幅だってこなしてしまう。
 まさに万能。
 これぞ、伝説の霊具ともいえる。
 伝え聞く菅原道真公の権能を人工的に再現したようなもの。


 ここまでされちゃうと、ほんとうに娘の一人や二人を差し出さないといけない気がするわ。
 冥子だけじゃぁ、満足してもらえないわよねぇ?
 うーん、フミさんもつけようかしら?

 

 

 


 まいった、むちゃくちゃな臨時収入だ。
 実働五時間で三千万ずつもらってしまった。
 このままなにも言わないとまずいと思ったので、正直に美神さんに申告すると、


「ふーん、だったらその分収入に入れとくから、税金はうち経由で払っときなさい」


 って、全額くれた。
 確定申告とか色々なことがあるので、無駄使いはしないように言い含められたけど。
 ・・・なんか、この時間って色々と変わってるけど、一番変わったのって美神さんだよなぁ・・・。
 がめつくないし。


『(一番変わったのは主だぞ)』
「(え?そうか?)」
『(少なくともセクハラ活動しておらんだろ?)』
「(あー、そういえば、そうかな?)」
『(それが現在の高評価の原因だ)』
「(え? それだけで?)」
『(十分だ!)』


 ・・・もしかして、美神さんにいつまでも丁稚扱いされてたのって、自分のせいだったのか?
 考えたくないなぁ・・・・。

 

 閑話休題

 

 全額教会の補修費にしようとしていたピートと、無茶苦茶な使い方をしようとしていたタイガーを止めて、とりあえず六ヶ月債の短期に預けることにした。
 なにも管理しなくても利子だけは増えるので安心だし、ある程度、税金で目減りする分を回収したいし。


 預金をしていると融資も受けやすいと言うことで、教会の補修は銀行から融資を受けて実施された。
 で、借金だからと考えると神父もわりとがんばるし、ピートもずいぶんと経済感覚が磨かれつつあった。


 タイガーも全額風俗に突っ込もうとしていたので、強制的に止めた。
 バカな使い方はよせ、ということで、最近通っているリーズナブルな飲み屋につれていった。
 きれいな女性が隣に座るだけの店だけど、みんな気が良い女の子なので、暴走気味のタイガーでも相手にしてくれる店だった。
 存外気持ちよくなったタイガーは、貯金を始めた。
 今度は自分のお金であの店に行く、と気を張っている。


 貧乏だからわかるけど、金なんかあればあるだけなくなってしまうものだ。
 だったら、イヤでも使えないところに入れて利殖してしまった方がいい。
 そのあいだ必死に働けば、働いた以上の収入になって帰ってくるんだから。

 

 

 


「うーん、横島さんってしっかりしてきましたよね。」
「そうじゃなぁ〜、いろいろ世話になっとるしなぁ〜」
「ん〜、そうか?」

 

 


 昼休み、弁当を食べながらそんな話をする。
 タマモの分もあるので、出来るだけ作ることにしているんだけど、最近は結構楽しくなってきてしまっている。


「ねね、横島君、そのオアゲもらってもいい?」
「うわ、卵焼き絶妙」
「冷凍食品使ってないんだねぇ・・・」


 というような、除霊委員以外の人間も机をつなげることが多い。


「持ってくのは良いけど、バーターよろしく。」
「うーーーん、横島君レベルのモノを作ってくるのって無理かも」「お母さんよりおいしいしね」


「そりゃ無理もないだろ? おまえら母親に「おいしかった」って言ったことあるか?」


 タマモは毎日おいしかったとかまずかったとか好みとかはなすぞ?
 そういう情報が無いと、なにに向かって作って良いか解らなくなるんだよ。


「へぇ・・・・・」


 思わず感心する愛子や女子。


 もちろんそれが全てとは言わないけど、自分が彼氏の弁当を作った時を考えれば解るだろ?


「・・・うわぁ・・・・」


 思わず顔をゆがめる女子多数。


「一つ一つを丹誠込めるっつうのは基本だろ? よく聞く一個作るも二個作るも一緒なんて、俺には信じられないよ。やっぱ、相手が見えないと作れないしな」


 やっぱ、母親に感謝だろ?


 そんな話で締めくくったところで、廊下がざわついていることに気づいた。
 みれば制服を着ていない女子が立ってる。


「なんだ、またピートファンか?」
「・・・いえ、もしかすると横島さんじゃぁ?」
「バカ言うなって・・・・避けろ、ピート!!」
「!!」


 女が連射する弾丸をソーサーで天井に弾く。


「死ね、この邪悪なる吸血鬼め!!」


 ピンを抜き投げる手榴弾を足の甲で受けて外に蹴り出す。


「みんな、ふせろ!!」


 愛子を抱え込み俺が伏せると、会わせるようにみんな伏せ、次の瞬間に爆発が響いた。


「「「「「きゃーーーーー!!!」」」」」


 悲鳴が渦巻く中、俺は女に向き合った。
 そして相手がアン=ヘルシングだと気づく。


「あなたは、なぜその男をかばうのですか!!」
「うるせぇ! この大量殺人未遂が!!」
「些末なことです! この吸血鬼を放置すれば、何十倍もの・・・・」


 なにいってるんだ、こいつ、というのが正直なはなし。
 というか、こういうやつに正面から四つに組むようなバカはしないのが美神事務所クオリティー。


<タイガー、幻覚>
<了解>
<ピート、連絡(電話)>
<了解>


 この前の演習場の前に練習していた指信号で、どうにか意志疎通。


「つまり、おまえは、日本の法律とGS協会を相手にして処罰されることを覚悟の上なんだな?」
「法律? バカなことを言わないでください。悪しき存在、吸血鬼を倒すためにはどんな犠牲すら厭うはずもありません!!」
「なら、なんでお前は銃で戦う? 武器で戦う? 自らを鍛えて戦わない? 自分の時間を、自分の精神を、自分の全てを捧げて吸血鬼と戦うすべをなぜ身につけない?」
「なぜ私がソンなことを・・・・」
「どんな犠牲も厭わぬ人間が、なぜ他人ばかりに犠牲を強いる? 自らを全て使った人間でない人間の意見など誰も聞くものか!」
「・・・ぐ、ぐがががががががががが!!!!!」
「退け、アン・ヘルシング。いや、ヴァン=ヘルシングの妄執よ!!」


「Gyaaaaaaaaaaaaaaaa」


 浮かび上がる悪霊に身構える俺たち。


「・・・よくわかりましたね、彼女の意志が妄執だと」
「あのなぁ、あんな前時代的な妄想を、小娘レベルじゃ身につけられねぇだろ?」
「そうですのぉ、ちょっとこわかったんですのぉ。」


 すでに「ファンネル」を装備している二人。


「僕が牽制しますので、後詰めはタイガーさん、お願いします」
「わかったのジャァ。」
「じゃ、おれは足止めだな」
「はい。」


「「「じゃ、いこうぜ。(のですじゃ)」」」

 

 

 

 

 なんというか、すごくかっこいい。
 それが最後までみていた私たちの感想だった。
 踊るGSみたいなドラマとは全く違うリアルの除霊は、私たちの想像の斜め上を行くもので、ずっと目を奪われていた。
 幻覚を見せて、私たちを攻撃対象から外したタイガー君。横島君の横で携帯電話を後ろ手で操作するピート君。
 そしてそれを感じつつ、言葉による除霊を進める横島君。
 私たちには解らないレベルで話が進み、そして最後には女性が倒れた。
 これでおしまいか、と思ったところからが本番だった。
 霊的な攻撃をする横島君とピート君はもちろんのこと、私たちを守る盾となって、一歩も動かないタイガー君も格好よかった。
 そう、彼らはかこうよかったのだ。


「吸引!」


 懐からだしたお札で、横島君が何かを吸い取ったとたん、周囲の雰囲気が変わった。


「お騒がせしましたのですジャ。現状完了でしジャ」


 その声に教室中が沸いた。
 三人の学生GSにみんなが群がりそして感謝を告げる。
 そう、私たちは生き残ったのだから。


「あー、そろそろ事情を聞かせてもらえるかな?」


 教室の入り口に現れた、長髪の美形青年が苦笑いでこちらをみている。


「あ、西条さん、ご苦労様です。」
「わざわざすみません」
「ご苦労ですジャー」


 彼らの話だと、どうやらオカルトGメンの超エリートらしい。
 クラス女子が色めくかと思ったけど、やっぱり自分のクラスの若手GSの方が気になるらしい。


「被疑者は、アン=ヘルシング。大量殺人未遂です。あと、とりあえず取り付いてた妄執はこの中です。」


 さっきのお札を渡す横島君。


「・・・君たちの活躍には申し訳ないが、最悪政治的な取引が行われるおそれがある」
「それでも、このバカ娘には薬の一つやふっつはキメるんですよね?」
「・・・それも難しい」
「だったら、向こうさんに言ってください。ダチに手を出されて黙っているほど「横島」は優しくないぞ、って。」「わかった、とりあえず通じておくよ」


 本気で怒っている横島君を、私たちは呆然とみていた。

 

 

 

 後日、送検されたアン=ヘルシングだったけど、案の定というか何というか、悪霊に取り付かれていた状態だったということで、責任能力なしと言うことに収まった。
 あらかじめ西条さんから言われていたことだけど、納得しがたい話だったので、俺はぶーたれていた。
 当時回収された武器の中には、任意の人間を無理矢理外から操る道具なども発見されていて、そのまま使われたらどうなっていたかを考えると、ふつふつと怒りが盛り上がってくる。


「・・・もういいじゃないですか。」


 ピートが笑っているんだし、と愛子も言うのだが、ああいうでかい家というのに気を許すと、後々痛い目に遭うものなんだ、解ってるだろ? 六道とかで、と俺が言うと、ピートもタイガーも青い顔になった。
 それに、向こうはピートの優しさに付け入っている面がある。子供の頃から知っているピートなら、穏便に済ませてくれるんじゃないか、という甘えだ。
 だから「横島」が許さない、と言ったのだけれども、さすがにペーペーGSの名前じゃ意味がなかったようだ。
 調子に乗りやがって、とムカついている。


「僕は、横島さんが自分のことのように怒ってくれている方がうれしいんですけどね?」
「あたりめーだろ、ダチの命をつけねらっていたんだぞ? それも実家は黙認してた。年単位でだ。退治できたらそれでもOKとか考えてるのが許せねぇ。」
「横島君には、そういう顔は似合わないんだけどなぁ・・・。」
「・・・あ、すまん、ちょっと黒くなってた」


 たしかに俺らしくない。
 基本、美人とは仲良く、という方針なんだけどなぁ。
 とはいえ、あのアン=ヘルシングには前の「時」に痛い目に遭わされた後でも詫びもなしという事で、いい印象がなかったのも確か。
 ま、気にする必要もないし、関わるつもりもないけど。
 でも、思いのほか実家力が強いのを目の当たりにすると、警戒心もあがってしまう。
 そのへんは、ほら、美神家とか六道家を目の当たりにしているからなんだけど。

 

 

 

 数日後、タマモからお袋へ電話するように言われた。
 伝言がある、というか話し合う必要があるそうだ。
 コレクトでも良いというので、ナルニアに電話するとお袋の第一声。


「おまえ、ヘルシングをへこませたんだって?」
「大量殺人未遂と当主の妄執を浄化しただけだぞ」
「・・・その件で丁重な詫びと調停の願いがきてるよ」
「娘から?」
「じじいからだよ」
「じゃぁ、蹴ってくれねえか? 俺が怖いから親に頼んで許させようつう「力」目当てのやり方がきたねぇだろ?」
「まぁ、あんたならそう言うと思って、蹴った上で本人とやってくれって言っといたけどね。」
「・・本件に「横島」は関わりませんって?」
「いいや、「次期」の判断を全面的に肯定するってね。」


 そりゃ、無茶苦茶うれしい限りだ。


「ケツはもってやる。やるなら全面的に、だ。毟るならケツの毛までだよ、忠夫。」


 とりあえず、このコレクトの料金ぐらいは毟らないとな、と笑って見せた俺だった。

 

 

 


 三日ほど休んでいた横島さんが登校してくると、クラスは沸いた。
 なにしろ、最近話題騒然の校内ヒーローだから。
 突然おそってきたアンちゃんを正面から押さえつけた上で除霊するという行為は、学生という立場からみれば非日常の象徴であり、その話をするだけで、自分もその世界に入ったかのような錯覚を覚えるものだったから。
 そのときに僕らが交わした指信号は流行り、校内中に広まってしまったぐらいだ。
 横島さんが教室には行った瞬間にミンナで指信号で


<良好 合流>


 とサインした瞬間、彼は大爆笑になった。


<最高 全員>


 横島さんの指信号に、クラスが沸いた。


「で、なにしてたの、この三日間?」
「ん? 喧嘩」


 横島さん曰く、正々堂々正面から喧嘩していたそうだ。 ヘルシング家と。
 思わず声を上げそうになった僕たちを手で制して横島さんは言う。
 正々堂々と戦うことに家の上下なんかないし、政治的に手が長いことなんか関係ないんだ、と。
 実際、いろいろな手段でもみ消しているんですが、というと、横島さんは笑う。


「もみ消さなくちゃいけないことってのは、無茶なことなんだよ。金と圧力なんてものはいつまでも続かないしな」


 世界の各方面からジャブのように嫌がらせを続け、最終的に向こうから直接「終息」のための条件交渉がきたそうだ。
 それも、アンちゃんが。
 釈放されたときは意気揚々としていた彼女だったが、自分が鈍なことをしてきたかを克明に思い起こさせられ続けて真っ青になっていたという。
 あの、横島さんがよくぞここまでというはなしだったけど、教室に現れたアンちゃんがみんなの前で全身をおるような礼をしてお詫びを朗々と言う姿は別人のようだった。
 しっかりと謝り、そしてクラス中から許された彼女は、最後に僕らの方へやってきた。


「ピエトロ=ド=ブラドーさま。幼い頃からの失礼の数々、今更お詫びしようがございません。ですが、ですが、以降何かのご縁がございましたら、全霊をもってお返しさせていただきますので、今はお目汚しをお許しください。」


 自信満々だった彼女は、ベコベコにへこまされていた。
 彼女の人格すらへし折るかのような行為が、なぜ横島さんにできたのか、心底恐ろしく思ったのですが、その疑問が瞬時に解消されました。


「どうだ、謝ったらすっきりしただろ?」
「・・・・はい。」


 頬を赤らめ、目を潤ませたアンちゃん。
 なでる横島さんの手をうれしそうに受け入れる彼女をみて、おもわずため息のでる僕ら。


「おまえさんは、妄執に初恋を利用されただけだ。それを利用したヘルシング本体は浄化される。安心して帰れ。」
「・・・あの・・・。」


 ため息混じりのアンちゃんの声は、切なさとある種の予感を感じさせるものだった。
 あーあ、美神さんたちがまた機嫌悪くなりますねぇ。 

 

 

 


 アン=ヘルシングが日本で留学したいといてきたそうだ。
 忠夫の話じゃ、妄執が解消されて素直な性格になったと言っているが、真実は別だろう。
 ボコボコに精神を折られた後に優しくする。
 これは新興宗教なんかでよくやる手段だ。
 教祖や教団への絶対服従が刷り込まれる、嫌悪すべき手法なんだけど、忠夫は明らかに意識しないでやってしまった。
 もう、アン=ヘルシングは忠夫から離れられないだろう。ちょっと向こうの親御さんに悪い気もする。
 だが、ヘルシング家本体も旦那やクロサキ君の手によって解体が進んでいるので、感謝されても恨まれることはないだろうと思い直す。
 そうね、学校卒業したらクロサキ君に教育させようかしら?

 

 

 


 美神さんから仕事の話があったのは昼休みのことだった。
 仕事用の携帯がなったので電話番号をみると美神さんの携帯だったのだ。
 出てみれば、できるだけ早めにオカルトGメンに来てほしいと言うことだった。
 急場の仕事は多いのですぐにいくと答えると、ピートと愛子もつれてきてほしいと言うことだった。
 タイガーは?と聞くと・・・


「タイガーは仕事より勉強よ。」


 タイガーは涙を流してパンの耳をかじっていた。


「わりーけど、手伝ってくれないか? 愛子」
「いいわよ。なんといっても横島君の保護妖怪ですもの、わたし」
「そういう割り切りはすんなって。おまえにはおまえが自由に居きられるように手助けした言ってだけなんだから」
「いやね、わかってるわよ。ジョークよじょーく」


 そんな愛子を担いで、職員室に一報入れてからオカルトGメンにいくと、美神さんと西条さんが待っていた。


「わるいね、授業中に。」
「いいえ、わざわざ俺たちを呼ぶって事は、俺たちにしかできないんでしょ?」
「もしくは、僕らがもっとも向いている、のかな?」
「・・・でも、私が居るって事は除霊じゃない?」


 そんな俺たちの台詞を聞いて、美神さんは苦笑い。
 西条さんも笑っていた。


「やはり、君たちは思った以上に優秀だが、すこし経験が不足しているね」

 

 

  
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んー、やっぱりロンゲはムカつく発言がデフォルト仕様ですよねー
アンも実は結構迷惑なやつなので、こんな扱いになってしまいました。
うちのよこっちとて人間。それなりにムカつく相手には厳しいのです。

とはいえ、恐ろしい家名と成りつつあります「横島」。

2012/04/04 OTR移転版 + 小修正

 

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