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第七話

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第七話

 

「ある程度霊力に余力がある人だったら、「A」を前衛替わりにすればいいし、エミなんかスゴくほしがるんじゃないかしら?」

 

 俺曰くの「間接」の人ならほしいだろうという美神さん。
 なるほどなぁ、と頷いた。


「でも、横島君も「こんな」ものを良く思いつくわね」
「あははは、昔から小細工は大好きなんですよ。」
『主、これは小細工と言うよりも罠のたぐいだな』
「あら、いいじゃない。実力が足りなかったり相手が強大だったりしたときは、その差を何かで埋めないといけないものよ。卑怯だったり罠だたりするのは仕方ないでしょ?」
『それは理解している、美神殿。正面からとか正々堂々とか、こだわっていては躯に変わるだけだからな』


 元は小竜姫さまの竜気だったのに、ずいぶんと事務所のやり方に染まってきたなぁ。
 むろん、正攻法は大切だけど、それ以上に安全な裏技があるならそっちの方がいい。
 身内を危険にさらす必要なんか無いのだから。


「じゃぁ、横島君。ファンネルを装備しつつ前衛で、私が中衛ってことでいいわね?」
「そうっすね、ソーサーだすより霊力少ないっすから、最善だと思いますよ。」


 そんなわけで、俺たちの新フォーメーションが決まった。

 

 


 「こんなもの」よばわりした「ファンネル」だったけど、これが程良く使える。
 浮遊霊が集団化する寸前なんかには非常に使い勝手が良く、雑魚の迎撃を任せて切り込むことが可能だった。
 「A」を借りて二つほど浮かせていたところ、簡単な結界替わりにもなることがわかり、小細工にも向いている。
 なんともウチ向きのアイテムだ。


「ファンネル、簡易結界」
『らーさー』


 本当に、小細工好きよねぇ、横島君。
 迎撃機能を術の展開に変えたり、術の展開と迎撃の切り替え機能を付けたり、「サナダ」君って呼ぼうかしら。


「美神さん、準備OKです。」


 ファンネルBを装備した横島君と、ファンネルCを装備したおキヌちゃんもやってきた。
 ファンネルCは、横島君の霊力をあらかじめチャージした結界専用ファンネルで、迎撃機能はないけど、私の神通棍を耐える力を持ってる。
 現場での警戒を強めるためのものとして、普段はおキヌちゃん専用、依頼人が立ち会うときにはそのときにも、とかなり便利。
 Bランクまでの仕事なら十分に使える。


「じゃ、いくわよ!!」
「「はい!!」」

 

 

 

 やべぇ、使える。
 つうか、つえぇ。
 つうか、燃える!!


 横島が持ってきた「ファンネル」は、久美専用装備かと思いきや、霊力の訓練にも戦闘訓練にも使える万能ナイフのような道具だった、
 防御力や現場の危険さなんかは体感できないが、それ以外の早さ・機敏さ・予想外の事態への対処を考えれば、これはスゴい訓練になる。
 所長と組んで、力強さばかりが「力」じゃないことを学んだ俺は、術の制度や密度、技術の向上を念頭に置くように訓練してきたが、この「ファンネル」はその指針と補助にもってこいだった。


「ゆっきーが、自分だけで訓練してくれて助かるわぁ」
「そうね〜、あれね〜、ネズミの運動器具〜」
「あ、解りますわ、所長」


 やかましい!!


「でも〜、令子ちゃんも〜使ってるって〜言ってたわ〜。」
「あら? 美神さんには必要ないでしょ?」
「乱戦に〜「A」が便利って〜いってたわ〜」
「つまり、雪乃丞とは逆ね。」


 自分を攻撃させるのではなく、敵を攻撃させる、というわけか。
 雑魚を任せるというのは良いかもしれない。
 本命前に消耗しても意味はない。
 うーーん流石美神の旦那だな。


「でも〜、もうちょっと霊力消費を落とさないと〜使いものにならないって言ってたわ〜。」
「あら? 美神さんでも辛いのかしら?」
「いいえ〜、落とさないと〜売れないって〜」
「ああ、常人に扱えないって事かしら?」


 つうことは、常にこれを装備して、霊力を使っていれば、底上げになるな・・・・。


「はぁ、本当に訓練バカね」
「やかましい!!」


 よし、これで霊力の底上げをして、横島に勝つ!!

 

 


 美神さんの機嫌がいいのは良いことだ。
 事務仕事をしているときの美神さんは、たいがい機嫌が悪かったけど、最近は非常に機嫌がいい。
 主力消耗品だった「神通棍」の消費が少ないことが上機嫌の近因だろうと思う。
 遠因はやっぱり冥子さんが遊びに来ても被害がなくんったこと、かな?
 毎日のように遊びに来ていた冥子さんも、自分の事務所が忙しくなってタマにしか遊びに来なくなり、遊びに来てもぷっつんしないともなれば、ふつうの友人関係に出来るわけで。
 仕事が順調なエミさんともギスギスしていないし、良いことずくめだった。
 そんな話を学校でしていると、教師登場。


「おおおい、除霊委員、ちょっときてくれ〜」
「「「ばったり」」」


 なんじゃそりゃ、と言うと、俺の机である「愛子」が苦笑い。
 机妖怪愛子は俺たちがGS免許取得と同時に観念して正体を現しつつも、学校に受け入れられた。
 一応俺が保護している形にしている保護妖怪でもある。


「まぁ、いいじゃない? 部活や委員会活動って青春ってかんじだし」


 この青春を体感したかった愛子は、いろんな時代の生徒を取り込んでいたのだが、その不毛さを感じて各時代へ返したそうだ。
 それってスゴいよな。
 と思うけど、その辺はまぁおいておこう。


 学校内の除霊って結構多いそうだ。
 予算がなくて放置されたり市販の除霊グッズに頼っているとか。
 ただ、この学校にはGS免許を持った人間が三人もいるともなれば話は変わる。
 委員会活動とか言うことにしてやすく使ってやろうということらしい。
 まったく、セコイ。
 ちょっとムカついたので、いちおう規定やら規約やらを盾に断ろうかと思ったんだけど、一応美神さんに一報入れてみた。


「・・・引き受けときなさい。」


 え、金になりませんよ?


「でもね、一般学校に、ピートやタイガーの様な存在の受け皿になる土壌になるわ」


 ガツンと殴られたかのような衝撃を覚えた。
 そして俺は受け入れるこそにした。

 

 

 学校霊との仕事は、主に共存を目的とした説得だった。
 基本的に昼間に出てなければ無視、という方向性だから。
 それでも昼間に出てくる奴らにいたい目を合わせる、というのが除霊委員の役目といえた。


「つうことは、愛子は学校霊の生徒会長か?」
「・・・それよ!!」


 愛子は早速「学校霊生徒会長」の腕章を作り、活発な活動を開始した。
 もちろん、俺たちも引きづられて。
 その活動のおかげか、構内で騒ぎを起こす学校霊が減ったのだが、変な話まで舞い込むようになった。
 ウチの学校に学校霊が集まってきているというのだ。
 その話を持ってきたのは、踊り場の鏡の鏡子ちゃん。
 調べてみると、すでに全校生徒数より多い数の学校霊が住み着いていることが解った。
 相手もわかることなので、一つ一つ聞いてみると・・・。


「学校霊が治めているきいて」
「生徒会長が学校霊だと聞いて」
「きわめてすみよい地場なので」


 とかなんとか・・・・。


「ああ、たしかに居心地いいですよね。」


 というのはピートの話。
 つうか、おまえ学校霊かよ。
 無限美形とかそんな名前なら呪えるなぁ。


 思わず自分のせいだと自責にかられる愛子だったけど、逆転ホームランをかましとく。


「だったらさ、夜登校、朝下校、学校霊用学校ってのはどうだ?」
「「「それだ!!!!」」」


 というわけで、学校霊を学校生徒霊として管理するという世にも珍しい学校が現れた。
 これにより、学校霊風紀委員、学校霊生徒会などが発足し、学校霊による「学校」の霊的保全が強固になったのだった。


「(まえにこんな事無かったよな?)」
『(仕方あるまい。主がここまで学校に来ていること事態無かったのだから)』
「(なるほどなぁ・・・・・。)」

 

 

 

 

 最近休まずに学校に来れていたのだけれども、ちょっと休まなければならなくなった。
 ICPO国際オカルトGメンからの捜査協力依頼が美神さんの所にきたからだ。
 正確に言うと、美神さんの所に来て、そのまま俺の所にスルーパスしたからだ。


「UKなんて遠いところ、いやよ。」


 という女王様発言の元、俺の派遣が決まったわけだ。
 しても、Eランク派遣なんて事務所の恥でしょ、といったところ、ニッコリほほえんで書類を渡した。
 そこには正式なGS免許の交付許可証が記載されていて、ランクはBとなっていた。


「・・・え?」
「もっと早くに渡してもよかったんだけど、あまり早すぎると協会もうるさいのよ」


 苦笑いの美神さん。


「所属所員としての契約とか給料とかのはなしは、今回の派遣実績をみてはなしましょう。いいかしら?」
「はい!!」


 俺は無茶苦茶感動していた。
 前の時間では、成人しても丁稚扱いだったけど、今は違う、と。

 

 

 で、UKヒースロー空港。
 なぜか俺の両脇にはシロタマ。


「う〜、緊張するでござるなぁ〜」
「・・・シロねぇ、へんなにおいがする・・・。」


 シロの直接的な保護者は美神さんだけど、連携は俺のほうがとれているし、タマモを動かせるのは俺だけ。このへんも捜査協力人員としてピックアップされた部分らしい。
 で、この二人が必要な事というと・・・・。


「日本の式神使いだね?」
「違います」
「では、犬神使いかな?」
「もっとちがいます」
「でも、お兄ちゃんは私たちのテイマーって感じだし」
「先生のお使いなら喜んでやるでござるよ?」
「・・・うんうん、このとおり、大人気」


 ニッコリほほえむロンゲ青年こそ、今回の依頼元、ICPO UKの西条さん。


「だー、かんべんんしてくださいよ」
「はっはっは、すまんね。令子ちゃんからいじりがいがあるときいていたものでね」
「だぁ、あのひとはもう、たまんねぇなぁ・・・。」


 前の時は寄ると触ると喧嘩していた気がするけど、悪感情がないと、まるで友人のように感じる空気だった。
 たぶん、前世での付き合いが関係しているんだろう。


 軽い会話とともに、本部ビルへと案内される途中のことだった。


 ーゾクッ


「(心眼・・・・!)」
『(主・・・・・!)』
「おにいちゃん!」「先生!!」


 車を止めて外に駆け出す。


「横島君!!」
「西条さん、出ましたよ!!!」


 今回の捜査対象は現代によみがえった連続殺人犯、「ジャック・ザ・リパー」。
 手口とやり口が全く一緒な事から、オカルト犯罪と分類されたものの、かなり強固な幻術と穏行をしているという情報から、捜査と言うよりも「狩り」に向いている二人とその保護者が呼ばれたのだ。


 この感覚が犯人かは分からない。
 でも、このいやな感じは覚えがある!!


 目の前の二人を先行させて、おれも全力で追ったが、追いついたのは二分後だった。
 すでに女性をかばうタマモと霊波刀を打ち合うシロがいた。


「ファンネル、迎撃モード!!」
『らーさー』
「タマモ後退、シロあわせろ!!」
「「了解!!」」


 俺たち二人の霊波刀を前にしても怯まず、ぶんぶんとナイフを振り回す犯人。
 打ち合いながら壁際に包囲する。


『・・・主、霊視だ』


 反射的に視覚を霊視に切り替えると、おかしな事に気づく。
 犯人の体があんなに動いているのに、霊核よりもナイフの方が活性化しているのだ。


 ・・・あれ、どこかでみたことある、ぞ? 


 あのときは霊視してなかったけど・・・。


「あ、シメサバ丸か!!」
『なんだ、それは?』


 俺は切りあいながら、心眼へ妖刀シメサバ丸の事を語る。


『ならば、叩き折るなり滅するなりすれば・・・・。』
「んー、でも、もう少しいやな感じがするんだ。」
『ならば「解・析」すればよかろう』
「・・・そうすっか。」


 いまだ西条さんは追いついてきていないので、俺はストックから二つの文殊を呼び出して文字を込める。

 


解・析

 

 

 


 汗だくになって追いつきつつ、周囲封鎖を開始する。
 犬神二人の活躍もさることながら、彼、横島忠夫の動きは一線を越えていた。
 数ヶ月前までただの荷物運びだったというが、神族にその才能を見いだされ、直弟子状態で教えを受けたという。
 剣技は我流ながら無理が無く、霊能は冴え渡っている。
 霊力自体は多分僕より少しうえ程度だろう。
 いや、彼の年齢を考えれば、数段上に成長する。
 この才能を民間GSに委ねていていいのだろうか?


 制度的な立ち後れでオカルトGメンが存在しない日本では、どうしても能力の高に人間ほど民間GSになる流れだが、能力が高く意識が高い人間ほど、公にその能力を使いべきではないだろうか?
 そういう意味では、この犬神チームは公に属するべきチームといえる。


「西条さんっ、包囲を広げて!!」


 意図は分からない。
 しかし僕は指示した。


「包囲広げろ!!」「はっ!」


 縮めていた包囲を広げると、目に見えて犯人の動きが悪くなる。
 そんな僕の所に被害差の女性を連れたタマモくんが現れた。


「西条さん、あれは切りつけたものから霊気や生命力を吸って活動している妖刀の一種よ」
「・・・そうだったのか!! だからあれだけ犯人を攻撃しても逃げていたのか・・・・」


 何という迂闊。
 やはり、捜査対面マニュアルに霊視は必須だった。


「周りからくる霊能を切りつけて補給していたみたい」
「それで包囲を広げたとたん、いきだえてるんだね」


 すばらしい状況判断だ。
 さすが令子ちゃんのお墨付きだ。


「つまり、西条先輩が包囲したせいで、あいてに息をつかせたということですか?」


 被害者女性をよくみれば、見知った女性だった。


「・・・魔鈴くん。」


 僕が声をかけたけど、彼女の視線は現場に向いていた。


「それにしても、彼、スゴいですね・・・。」


 その一言とともに、彼の霊刀が犯人の手を切り飛ばし、ナイフを壁に貼り付けた。


「シロ、封印符!」
「はい、先生!!」


 二枚の封印符で包み込まれたそれを、彼は小さな吸引符で吸う。


「先生、次が準備できたでござる!」
「よし、大で吸え」
「はい!!」


 なるほど多重吸引か。
 それほどに危険だという事だろう。
 うん、彼はやはりできる。
 うん。

 

 


 犯人の体は既に死体だった。
 心眼もそれは解っていたという。


 来英一日目で目的を果たしてしまった俺たちは、妙に西条さんに気に入られてしまい、あっちこっちにつれ回されてしまった。
 西条さんが夜のデートをしないで俺たちを案内するというのだからよっぽどの事だ。
 その間、なぜか被害者女性、いや魔鈴さんがいっしょに観光してくれたのはうれしかった。
 やっぱり射程内の女性がいた方がうれしいに決まっているから。
 そんなこんなのUK観光も終わり、日本へ帰る日となった。


「また何かあったら、ぜひとも協力してくれたまえ、横島君」
「はい、西条さん。雇い主を是非説得して呼んでください」


 がっしりと握手をする俺たち。


「近々日本に帰りますので、そのときにまたあいましょう、横島君」
「はい、魔鈴さん。是非とも力を使わせてください」


 ぎゅっと握手する二人。


 まるで嘘のような人間関係に思わず苦笑いの俺だった。

 

 

 

「西条先輩、日本への勤務のことはいわなくていいんですか?」


 私の言葉に彼は苦笑い。


「それは彼から聞かれたよ。『いつ日本に勤務するんですか?』ってね。」
「・・・・? 私はいってませんよ?」
「かなり論理立てて理由を考えた上での質問だったよ。」
「本当に、優秀なんですね、彼。」
「なんとも怖いぐらいだけどね。」


 その言葉を聞いて私は笑った。
 彼自身はそんなふうに微塵にも感じていないはずだから。
 ここ何日か話していて気づくのは、彼自身は自分のことを全く評価しておらず、自分のことを無価値だとすら思っているのだ。
 だからUK観光中に何度も西条先輩がICPOへの勧誘をしていたのだが、すべて冗談だと本気で思っているのだ。
 それとなく理由を聞いてみると苦笑いしてしまった。


「高校生の自分に今すぐ、なんていうなんて、冗談でしかないでしょ?」


 だそうだ。
 そのことを今伝えると、西条先輩は非常に焦っていた。


「しまった! そうだ、そうだった!! 彼は高校生じゃないか!! かぁ・・・それならそうと言ってくれれば・・・」


 本気で気づいていなかったみたいです。


「・・・彼って結構おもしろそうですよね?」


 あの簡易式神とか符とか。
 基本的な技術は太古、平安の昔の呪術の復活だとか。
 まるで私の魔法みたい。


「そうだね、そういう点では君と話と合うかもしれないね」


 うん、やっぱりおもしろい。
 年下は趣味じゃないけど、なかったけど、彼だったらいいかな?

 

 

 

 

 なんだか久しぶりに感じる日本に帰ると、美神さんやおキヌちゃん、ピートやタイガーまで出迎えてくれた。
 いろいろとおみあげがあったので丁度よかったけど。


「聞いたわよ、横島君、シロ、タマモ。大活躍だったそうじゃない。」


 まっすぐに照れるシロは予想道理だが、タマモもうれしそうにしていたのが意外だった。


「ありがとうございます。報告書はおみあげといっしょにはいってますんで、後で読んでください。」
「うんうん、優秀優秀〜」


 頭をなでてくれるのはうれしいけど、なんだか俺の扱いが出来の良い弟扱いになっているのが違和感ある。


「おばさんも鼻が高いわ〜」
「え?」


 突如現れたのは六道婦人。
 聞けば、俺の帰国を聞いてで迎えにきてくれたそうだ。


「わざわざ有り難うございます。お忙しいでしょ?」
「いえいえ、うちの生徒の〜、それも中等部の生徒が〜海外研修に行って〜帰ってきたのよ〜? 出迎えぐらい当たり前よ〜」


 ああ、そうか、と苦笑い。
 二人とも学院に期間中の欠席届けをだしていたのだ。
 で、明日から登校するとなれば、それなりに調べはつくか。


「それと〜、送ってくれた「A」データーは〜、すんごく役立ってるわ〜」


 ファンネルAに関する実用実験データーは、かなりの量になるので、吸引符で収納してDHLで送っておいたのだ。


「うれしい限りです。向こうでも無茶苦茶な質問責めにあったんですけど、六道の試作品だと言うことであきらめてもらいましたし。」
「そのおかげで〜、ICPOからの問い合わせが〜、ひっきりなしで〜、うれしい悲鳴よ〜」


 それでのお出迎えらしい。


「そのへんは、後日伺いますので、今日はこのままタマシロを持ってってください」
「「え、そんな!!」」
「六道理事長は、おまえたちをつれてそのまま学院に帰って、凱旋式典をする、ってことですよね?」
「さすが解ってるのね〜」


 というわけで、いろんな感謝は二人に引き受けてもらうと言うことで、俺たちは事務所に帰った。

 

 

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悪役を減らそう運動の一環で、ロンゲをいい人+だめな人にしてみました。


2012/04/04 OTR移転版 + 小修正

 

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