集団的自衛権:「憲法解釈」丁寧な議論を 自民総務懇談会
毎日新聞 2014年03月17日 21時38分(最終更新 03月17日 21時43分)
自民党は17日、2005年の郵政民営化問題以来9年ぶりとなる「総務懇談会」を開き、安倍晋三首相(党総裁)が目指す集団的自衛権の行使容認について議論した。憲法解釈変更に賛成、慎重の双方の立場から、政府・与党として丁寧な議論が必要との意見が大勢を占めた。首相は同日の党役員会で、全所属議員で議論する総裁直轄の新組織の設置を指示したが、与党の慎重姿勢を受けて今後の調整は難航しそうだ。【小山由宇】
懇談会では、村上誠一郎元行革担当相が手製の資料を出席者に配り、口火を切った。
「解釈変更(による行使容認)は立憲主義に反する。正面から憲法を改正すべきだ。このまま自衛隊法改正なら、反対票を投じざるを得ない」
明確に解釈改憲に反対したのは「村上氏だけ」(出席者)だったが、党是である改憲のメドが立たないとして解釈変更を容認する議員からも、拙速な閣議決定は避けるべきだとの発言が相次いだ。
船田元・党憲法改正推進本部長は「本来は憲法改正が必要だが、相当の時間を要する。現状を考えると解釈の変更をやらざるを得ない」と前置きしたうえで「(行使容認は)相当な手続きを経て、かなり限定して決めなければならない」と地理的な制約の必要性を強調。また、「米国にありがた迷惑にならないか分析が必要だ」(野田毅税調会長)、「立法府の意見を十分しんしゃくすべきだ」(小坂憲次参院議員)と、国会などで慎重な議論を求める声が出た。
発言を求める挙手は絶えず、約2時間の懇談会で20人が発言。早期の解釈変更を求める意見もあったが、野田聖子総務会長は記者会見で「解釈(変更)ありきというのは誰も認めていない。中身が国民(の声)に耐えうるものかだという声が多かった」と総括した。
一方、首相は懇談会直後の党役員会で「自民党らしく大いに議論してほしい」と述べ、党則79条に基づく総裁直轄の協議組織の設置を執行部に指示した。石破茂幹事長は会見で「議論を深め、方向性を見いだすのは十分可能ではないか」と述べ、集団的自衛権の行使を容認する公約について党内の理解を求めることに意欲を示した。