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第四話

トップページ > 神代ふみあき書庫 > 赤松・椎名系作品 > 恥ずかしながら戻ってまいりました!~GS横島忠夫の再演 > 第四話






第四話です。

ちょっとモメマス。


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第四話

 


 タマモと共に学ぶのは、一般教育と霊能だった。

 


 拙者は人狼、タマモは先祖帰りで妖狐の力を発現しているということになっているので、いささか浮いている。
 中等部で霊力を霊能にまでしている生徒は少なく、逆に霊能に至っているのは名家名門の流れを汲むものばかりなので、派閥が出来るのだけれども、拙者とタマモは全く汲みする相手がいないもので、完全に浮いている状態だった。
 まぁ、浮いている理由に「美神令子」の世話になっているという事もあるし、今年のGS試験主席の横島忠夫を師事していることもあるだろうし。
 タマモの方はもっと簡単で、仲間以外には愛想を持たないので浮いている。
 むろん、美神殿や先生と親交が深いことを見せているので、それなりに風当たりが強い。
 虐めがあるわけではないけど、仲良く出来かねる、というのが彼女らの話だろう。
 しかたあるまい。
 そういう人間関係も学ぶものの一つなのだから。

 

 

 

 時間をおかず呼び出された。
 六道女学院の校門で警備員さんに頭を下げると、事務所に引き込まれた。
 ああ、やっぱりまずいだろうなぁ、と思ったところ話があるそうだ。
 警備員さんの話では、今回の呼び出しは学年主任からのもので、素行不良・態度不良で停学まで視野に入れていると吹聴しているそうだ。
 だが、その事実はないと警備員さんは言う。
 だから自分の妹を信じてほしい、と。

 

「当たり前です。悪いことをしたらしかられる。悪いことをしていなければしかられない、それだけですよ。」

 

 百万の味方を得た気持ちになって生徒指導室に飛び込んだ瞬間、二十三通りの殺し方を頭に浮かべた。
 頬を赤く腫らしているタマモ。
 口元から血を流すシロ。
 拳を振りあげるジャージ。

 

 きめた、殺す。
 そう思って一歩踏み出したところで、俺の腕が引かれた。
 引いたのは六道夫人。
 俺が腕を切る前に一歩前にでた。

 

「これはなにが起きているの? 説明なさい」

 

 間延びのない声に、周囲が凍る。

 

「これはなにが起きているの? 説明なさい」

 

 全く同じ調子。
 だが周囲は背筋を伸ばした。
 口々に説明する内容は自己弁護と責任逃れ。
 教員が、生徒が、自分は悪くないと言い逃れていた。


「夫人、これ以上臭いところに置いておけません。」


 体から漏れそうになる殺気を押しとどめているのに、ジャージが臭い息を吐いた。


「・・・ガキ、てめぇのところのクソ妖怪が・・・・」


 素手でアイアンクロー。
 こんなバカのために霊能なんか使えるものか。


「・・・て、てめぇ、くちで言われたのに暴力を・・・」
「言霊ってのをしらねーみたいだな、ジャージ。」


 俺はアイアンクローをちぎりはずし、言葉をたたきつけた。


『我は命ず。過去の誇らしき思い出を、笑顔で朗々と自慢げに語れ!』


 目つぶし寸前で構えられた指から放射された霊力で、ジャージは完全に瞬間催眠に入った。
 そこから先はジャージのオンステージ。
 生徒を脅して淫行を働いていることや、同僚女性の弱みをネタに金を脅し取っていること、さらには父母に娘の弱みをネタにして金をせびることまでしているというのだ。
 これがジャージの「誇らしい」こと。
 心底反吐がでる。


「六道夫人、このご縁はこれっきりとなりそうですが?」
「横島君、ぜったいに何とかするから。お願い、信頼と時間をちょうだい」


 シロとタマモを治療符で癒しながら、二人をのぞき込む。
 二人とも苦いながら笑顔。


「学ぶことは苦しいことでござるよ」
「苦しいことこそ学ぶことおおき、だよね。」


 くそ、何もいえない。


「訴訟があってもかまわない、六道を訴えてくれてもいい。でも、お願い、二人をこのまま引き込ませて囲い込まないでほしいの」

 
 真剣な目を見た。
 たぶん色々と打算はあると思う。
 でも、俺は、信じてみることにした。


「タマモ、シロ。おまえ達は、最高の生徒だと思うぞ」
「「うん。」」

 

 

 

 心配性のお兄ちゃんが符を一晩中書いてわたしとシロねえに持たせてくれた。
 あんなバカは一人しかいないと言っても信じてくれず、念には念を入れるとかなんだとか。
 お兄ちゃん銘々「ジャージ」は即日懲戒解雇になり、警察に引っ張られていった。
 朗々と語った内容は催眠術のせいだ、俺は何もしていないと言い張ったそうだが、ジャージが警察に引っ張られたと聞いたとたん、我も我もと被害届けが集まり、余罪は語った内容を越えているらしい。
 で、私たちはというと、一転して時の人。
 暴力にあったという事で同情され、親族が一歩も引かずに対決した姿で感動されて。


「横島さん、お話よろしくて?」
「犬飼さん、おはなししませんこと?」


 もう大人気。
 そんな中でもお兄ちゃんの話は盛り上がってしまう。
 たとえば、お兄ちゃんの治療符はかなり珍しいらしい。
 すでに制作方法すら失伝している古来の呪符らしいのだけれども・・・・


「お兄ちゃん、一晩で作ってたよ?」
「・・・え?」


 呪符を作るのってそう言うものではないらしい。
 もっと時間をかけて、時期を選んで、力を込めて、とかなんとか。


「あの言霊も素晴らしかったですわ。」


 言霊というよりも「暗示」だってお兄ちゃんは言ってたっけ。
 お酒のませて煽てていい気分にさせて、秘密をゲロさせたようなものとか言ってた。


「・・・へぇ・・・・。」


 ずいぶんと周りの反応がいい感じになってる。
 うんうん、これが正しいお兄ちゃんへの反応だよね。


「でもさ、横島さんのお兄さんって、金的だけで勝ち残ったって噂だけど?」


 あ、それ私も聞いたけど、美神さんの話だともっとえげつないらしいよ?


「えげつないって?」
「金的をねらっても、実際は霊的な攻撃をしてる、これわかるよね?」


 うんうんと頷く周囲。


「で、蹴ってるところって、実は金的以上のまずいところがあるのしってる?」


 えーっと首を傾げる周囲の中で、シロだけが真っ白になった。
 いや、二人ほど思い当たったらしい。


「横島さん、それってまさか・・・」
「うそ、それって反則じゃないの?」


 え、なになに、と声を合わせる周囲に私は言う。


「チャクラ」


 まぁいろいろと説明しなくてもこれだけで全員解るのは助かる。
 賛否両論あるけれど、見た目で理解されていた以上に霊的な攻撃と恐ろしいまでの戦略があったことに気づいた周囲はざわついていた。


「つ、つまり、チャクラに霊力を意図的に流して、相手の行動を奪う?」
「そう。お兄ちゃん曰く、殺さないで動けなくする一番楽な方法、っていってたわ。」


 言うほど簡単ではないし、瞬間的にそんなことが出来るようになるまでどれだけの修練が必要なのか、と喧々囂々。
 符術やほかにも霊能があるのに、なんで試験では使わなかったのか、と誰かが聞く。


「そんなの、当たり前でござるよ?」
「・・・なんでよ?」
「自分の手の内を、これからライバルになる相手にすべて晒すわけがないのでござる」
「・・・・」


 誰もが絶句する。
 そして彼女たちが知るお兄ちゃんは、彼女たちが知る以上の力を未だ隠していると言うことなのだから。
 瞬間感じた感覚は何だろう?
 疑心暗鬼?
 いいや、ちがう。
 納得だった。

 

「「「「「やっぱり、美神事務所にいる人ですものねぇ。」」」」」

 

 やっぱり、こういう評価になるんだなぁ、と笑ってしまった。


「そういえば、犬飼さんも美神事務所に・・・・」
「美神殿のお世話になっているでござるよ」


 最近では折刀の「八房」を元にした霊刀「房姫」を使って除霊助手をしている。
 いわゆる前衛のさらに助手だ。
 お兄ちゃんの剣として敵を切りさき、一撃を受けて次につなげる。
 私やシロが前に出ることをひどく嫌うお兄ちゃんだけど、美神さんの言うことも解るので、積極的な反対もしない。
 そんな細々とした話の中で、違う気配が現れたことに気づいた。


「ねぇ〜、その治療符見せてくれない〜?」
「いいですけど、返してくださいね? 六道夫人」


「「「「はぁ?」」」」


 気づけば女子中学生に埋もれるようにいる六道夫人。
 周囲が驚いた。

 

 

 

「・・・ほんとうに〜、すごい出来ね〜。」

 

 

 横島君が六道との縁を切るなんて言い出せば、冥子だって黙っていない。
 令子ちゃんも離れていくだろうし、閥としての格がだだ下がりになってしまう。
 たかがGS見習いだなんていう声もあるけど、それだけの価値を私はあの少年に感じていた。
 ただのGS助手ではすまない価値が、彼にはある。
 この治療符一つにとってもそうだ。
 たぶんこれは、すでに陰陽寮でも形しか残っていないタイプのものだろう。
 これが現役で活動していた時代など、千年の昔どころでは無い筈だ。
 が、彼は一晩のウチに書き上げた。
 どこからそんな知識が・・・。
 そういえば、彼は令子ちゃんと共に妙神山へ上っていたはず。
 もしや・・・・


「六道夫人、一応、これが見つかったらお兄ちゃんから言われている伝言を伝えることになってるんですが。」


 ・・・まずいかしら?


「『製法を教えてもいいですが、絶対に量産できませんよ』とのことです。」


 くやしいわ、バレバレなのね。 
 そんな私にそっとささやくタマモちゃん。


「お兄ちゃんは、霊能開花で前世の知識が一部つながったそうです。平安京の陰陽師、魔物と通じて処刑された高嶋、これで通じるなら情報交換しましょう、とのことですよ。」


 思わずため息をついてしまった。
 六道が陰陽寮の下部組織から独立し、いまでは傘下扱いしているせいで反りが悪いことを知っていての言葉なんでしょうね。


「タマモちゃ〜ん、わたし〜横島君に嫌われてるのかしら〜?」
「意地悪じゃないと思いますよ? またとない関係修復の機会でしょ、それ?」
「・・・いいのかしら〜?」
「私はかまいませんよ。」


 はぁ、冥子の件といい、この前の件といい、令子ちゃんの所への負債が大きくなるいっぽうだわぁ。
 紹介してもらった、雪ちゃんと久美ちゃんは優秀だし、成績も回復しまくりだし、事務所の経理までそろそろ黒字転換しそうだし。
 このうえ、陰陽寮との関係改善の材料までもらっちゃうなんて、どうすれば返せるのかしら。
 ああ、頭が痛いわ〜。

 

 

 

 事務所に行くと、なぜかオメカシした美神さん。
 おキヌちゃんもそわそわしてる。
 なんかあるのかな? と聞いてみると、なんとタレントがGSの除霊現場を取材にくるという話らしい。


『(主、それは・・・)』
「(ああ、あれだな)」


 もうちょっと未来の話だと思ってたけど、この時間ではこんな前倒しでくるんだなぁ、と感慨深い。
 そんなこんなで現れたのは、ご存じ堂本銀一、芸名近畿剛一くんであった。
 わりとミーハーな美神さんとおキヌちゃんがひとしきり騒いだ後で、俺は苦笑いで銀チャンをみてた。


「あ、あのぉ、自分になにか・・・?」
「なんだよ、つめてぇな。俺らのペガサスは無事か? 銀チャン」
「・・・・・・・!! よこっち、よこっちかぁ!!」
「おいおい、俺は一発でわかったぞ?」
「やかましーわぁ! こんだけ変わってりゃ、わかるもんかぁ!!」


 軽く殴りあう俺たちに、美神さんたちは呆然。
 軽く大阪で同級生だったことを明かす。


「せやけど、びっくりや。よこっちがGSだなんて!」
「こっちもびっくりや、銀チャンが役者でGS役やて?」
「事務所がな、一流の現場みて一流の演技にせなあかん、って無茶いうんや。」
「へたくそに習うと下手になるちゅうやん? その点うちの美神所長は超一流や! 直接除霊でいえば、世界有数やで。」


 ほー、といたく感心する銀チャン。


「その『直接』ちゅうと?」
「間接、ちゅうのが、いわば呪いとか式神やな。」
「ほうほう、せやったら美神所長はんは?」
「直接悪霊をばしっと倒すんや。ゴーストスイーパーの真骨頂、除霊の花道や」


 ほほーと感心したふうに美神さんをみる銀チャン。
 かなり照れてるらしく、顔が真っ赤だ。


「超美人で超一流、おいしいなぁ、よこっちは」
「まぁ、その分命が紙風船やな」
「ははは、芸能界やてそんなもんや。」
「お互い、泥臭い業界やなぁ。」


 久しぶりの親友との再会に、思わず盛り上がってしまったけど、これから短い時間でGS業を実感してもらわんといかん。
 そんなわけで、A〜Eの現場をいろいろとみてもらう話になってるらしい。


「さぁ、横島君、おキヌちゃん。しっかりやるわよ!!」
「「はい!!」」

 

 


 近畿君が関西圏の出身だとは聞いていたけど、まさか横島君の幼なじみだとは思わなかった。
 さらにさりげない宣伝のおかげで、業界関係の依頼も増えそうな予感。


 やるわね、横島君!


 とっかかりのこの仕事は六道関係だったけど、ここから先は横島君の人脈をフルに使わせてもらうから〜♪

 

 てな計算はそこそこに。

 

 依頼人の許可が取れた現場では撮影しているけれど、どうにも迫力がないと言うことを言っていた。
 さすがにカメラに写るほどの怪異を除霊する現場につれていけないし、と首をひねったところで横島君が再びナイスアシスト。
 最近買ったという携帯電話で呼び出したのはタイガー虎吉だった。
 タイガーの精神波を使って、視覚的な強化を行い、撮影できるようにしよう、というのだ。
 さすが我が弟子!
 まぁ、エミのところにもコネができるのは悔しいけど、このアイデアはこれから使えるネタだ。覚えておこう。

 

 C級の除霊で迫力有る映像となったおかげか、とんとん拍子で仕事が進み、予定よりずいぶん早く仕事を終了した。
 最後に除霊担当の私が近畿君にインタビューを受けるというカットが入る。

 

「GSゆうたら、命がけ仕事やと思うんですが、なんで所長さんみたいなか弱い女性が最前線にいるんですか?」

 

 打ち合わせ通りの質問に、私はにっこりほほえんだ。

 

「GSの命は短くはかないものです。一番延びのある、一番力強い時間をすべて使っても届かない高みに有るともいえます。私はそんな高みに届きたい、そう思っています。」

 

 すっと視線を動かして近畿君をみる。

 

「あなたも、そうですよね?」
「はい!」

 

 特番としてくまれた番組の締めとしては最高だったと思う。
 ただ、この後に流れた近畿君の新番組「踊るGS」の番組宣伝の方が印象に残ったのが悔しい。

 

「なーなー、よこっち。ドラマのとり、どうやった?」
「せやなぁ、GSの考証もええかんじやし女優もきれいやし、ええかんじやん」
「演技みろや、演技!」
「ああ、せやせや、長さんかっこええなぁ、演技と練習の鬼や。霊能と芸能、おなじ「能」の職分としちゃぁ、みならわんといかんなぁ。」
「ちゃうちゃう、俺や俺の演技みろや!」
「あー、せやかで、近畿君は私生活でも演技してるやろ? ドラマゆうたかて特別にはなぁ?」
「あほいうな! アイドルゆうんはイメージ勝負やど、私生活演技とか言われたらあがったりや!」
「ならきくなや! おまえのアイドル演技にげっぷうでとるんや!!」
「いうたな、このヘタレGS!」
「なんやと、いかれアイドル!!」

 

 そのままボコボコと殴りあう二人からパンしたカメラの外で俳優 碇 長雅さんが渋い顔で番組宣伝をして終わる。
 一部近畿ファンには絶大な不評を受けた宣伝だったけど、アイドルドラマには異例の広範囲視聴年齢層を獲得したとして、局長賞を得た番組宣伝になったとか。
 このままスカウトとかされるかもしれないわね、横島君。

 

 

 

 最近、学校に登校すると、女子から三つの対応をされる。
 一つは悪意有る嫌がらせ。近畿ファンだ。
 一つはサインなどをねだられる。ミーハーだ。
 最後は、除霊現場への興味。まぁ、みーはーその2。
 机妖怪の愛子はどれでもない。
 事務所経営への興味、だった。
 その点、あのドラマは結構リアルで、書類をまとめるシーンとか協会と折衝するシーンが結構ある。
 さすが綿密に取材しているだけのことはある。


「でも、関西の子って、みんなあんな即興漫才みたいなことができるの?」
「大概、だな。おじいもおばあも皆ノリがいいぜ。」


 試しに、カメラ取材でアナウンサーが、大阪市民に向かって「ばさー」ってやってみせれば9割が「うわー」とか「やられたー」って演技する。これマジ。


「すごい土地ね。」
「まぁ、テレビもラジオもそういう環境だってだけやな」


 けたけたと笑う俺たちだったが、愛子の表情がちょっとだけゆがむ。


「で、さ。近畿君と幼なじみってほんと?」


 たぶん、愛子は誰かに聞いてほしいと願われたんだろう。
 まぁ、愛子を選んだのは正解だ。
 少なくとも、見知らぬ女子に聞かれても答える気はなかったし。


「ああ、大阪で小学校の頃ずっと一緒だった。」
「へ〜。」


 あれやこれや、芸能人として問題ない範囲でバクロすると、周囲の女子が聞き耳を立てているのが解る。
 えげつない手段やなぁ、とはおもうけど、愛子のことを考えると、意地悪もできない。
 俺と銀チャンが組んで成し遂げた、タミヤカップ三連覇の話の時点で男子が乱入、大いに盛り上がる。


「じゃぁ、おまえが浪速のペガサス!?」
「すげぇ!! 近畿ってあのペガサスの孔明ってあの!?」
「やっべ、見る目変わるわ!!」
「おおおおおお、燃えてきた! おめーらヒーローじゃねぇか!!」


 同じ時代に生きてれば、それなりに名前が通ってたけど、あの時代の俺たちは確かに男子のヒーローだった。


「ダテ・ザ・キラーとも未だつきあいあるぜ?」
「「「東京代表!!」」」「「「プテラノドンX!」」」


 大いに盛り上がる男子を、冷ややかな目で見る女子だった。


「なんだか可愛いわね、男の子って」
「まぁ、いつまでもガキ、が売り文句だよ。」


 でもまぁ、そのへんを許容してくれる女に男は弱いんだけどねぇ。
 やっぱ、雪乃丞じゃないけど、男って基本的にマザコンなんだろうなぁ。


「横島さん、おはようございます。」
「横島さん、臨時収入、ありがたかった、肉うまかったんじゃぁ・・・・。」
「あら、二人とも遅かったわね。横島君より遅いなんて珍しい」
「いえいえ、最近の横島さんの勤勉さをみれば、珍しくないですよ。」
「横島さん、やっぱり横島さんは親友ジャァ〜。」


 最近、心霊特集やら霊感もので、霊を撮影可能にできるタイガーは引っ張りだこで、GS協会でも特別免許の発行を検討しているとか。
 加えて、銀チャンに「間接GS」の綺麗所を紹介してほしいと言われたので、エミさんを紹介したところ、「横島よくやったワケ!」と大絶賛され、こちらからも感謝・タイガー業界進出許可を得て、三方一両得じょうたいだったりする。


「横島さんが言った売り文句が、かなり気に入ってるらしくて、エミさんもご機嫌だったのジャ」
「おべんちゃら抜きで真実だろ?」
「ねぇ、どんな風に言ったの?」
「ああ、ええっと、『エミさんはランクこそAだけど、呪術に対する正しい評価基準さえあれば「SS」ランクなんて評価をされてもおかしくないぐらいの人』だったかな?」
「・・・うわ、べた褒めですね。」
「そんなにスゴいんだ、エミさん」

 

 

 

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やっぱ、コ○コ○とかで写真つきで乗ったら、時の英雄だよね?>よこっち


作中の人物にモデルはいませんが、イメージしている実在の人物はいます。発言も行動も本人を意識できない感じですが、私がそう感じていると言う流れです。


2012/04/04 OTR移転版 + 小修正

 

文字数は7,685文字