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第二話
鎌田勘九朗は白井病院のベットで目覚めた。
自分の霊力中枢が麻痺しているのを感じ、どうにもならないことを自覚して力を抜いた。
回復すれば、そう思い、そして力を蓄えて・・・・
「・・・蓄えて、どうすればいいのかしら。」
すでに上司には見限られているだろう。
仲間内の大半は切り捨てられているだろうし、前途はあまりにも暗い。
「もう、寝返っちゃおうかしら?」
「俺もそっちがお勧めだな。」
気配も感じなかった壁に、人影が浮く。
いた、視覚にも入っていたのにも関わらず感じさせないほどの穏行を知り、背筋が凍った。
しかし、それを見せるわけにはいかない。
「・・・一応、魔族に関わった人間よ? 正義の味方が許せるはんしかしら?」
「さぁ? 情報次第だろ? 地獄の沙汰すら金次第。生きるにみあう情報なら、なおのことながら、だろ?」
「言質はとらせない?」
「その責任がねーんだよ。あと権限かな?」
「あら、あなたならその責任も権限もなくても何とかしてくれると思うけど?」
「そりゃ、過分な評価だよ」
肩をすくめる男、横島忠夫。
「まぁ、ダボラ話ついでに聞きてーんだけど・・・。」
「なに? スリーサイズは秘密よ?」
「いや、なにな? なんでおまえの魔装術って、鬼なんだ?」
「は?」
「ほら、魔装術ってのはさ、いわば魔力を精神力で制御した形だろ?」
「・・・え、ええ。」
「それってのはさ、いわば、自分が思う心の形ってわけで・・・」
「・・・そ、そうね。」
「なんでおまえ、女にならねーんだ?」
「・・・・・はぁっ!!!!」
今私は天恵を得た。
そう、モヤモヤとした疑問や不満や鬱積がすべて晴れた。
私は気づいた、いま、すべてはそろっている、と。
「おほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!!!!」
狂ったように笑った勘九朗だったが、その瞳は正気だった。
やっぱり、姿形へ制約が白蛇から掛けられたのだろう。
そのせいで、本来姿形を変えるにあたって目指すはずの方向が失われていたのだ。
そう、こいつなら絶対女になると思ってたのに。
いや、女じゃなくて、目指す方向は・・・
「母、なんだろうなぁ・・・・。」
「そう、そうなのよ、何でわかったのかしら、いえ、なんでわからなかったのかしらぁ!!!!!!」
狂ったチャクラのままできる部分だけで魔を受け入れると、右腕がたおやかな女性のものになった。
「できるわ、できるじゃない、ああああああああああ!!!」
女性の腕で涙を拭い、そして俺に向き直った。
「私は対価を得たわ。何でも聞いてちょうだい。」
その瞳はプロのそれではなく、ほしいプレゼントをもらった子供のそれだった。
鎌田勘九朗の尋問は、翌日に行われたそうだ。
ただ見た目が全く変わってたため、大きな混乱が起きたが、同席した小竜姫様によって本人と認定されたため、尋問は正常に行われたという。
後で聞いた話だけど、魔装術はああいう使い方はできないはずなのだそうだ。
ただ、思うままの姿になれると思いこんで成功したが故に、それが霊能になったのだろうと小竜姫様の話だった。
とはいえ、勘九朗は得られないものを得た。
雪之丞は得られたはずの縁を失った。
これがどう動くかは誰も知らない。
俺も知らない。
知ったこっちゃない。
ただ、どっかで絡んでくるんだろうなーという予感はあるけど、めんどくさくなったら勘九朗に絡ませようと心底思った。
GS見習いとなって変わったのは、一番に収入だろう。
何しろ美神さん、出費が減ったのは横島君のおかげと公言したぐらいご機嫌だったから。
時給も250円から5000円に上昇し、一人で受ける事ができる依頼は、なんと一件当たり半分くれるのだ。
信じられなくて呆然としていたところで、素人時分でも年俸二千万といってくれたエミさんがいただろう、と心眼の忠告。
でも、まぁ、あの美神さんの給料と考えると、本格的にうれしくて調子に乗ってしまいそうだった。
本日も三件をこなし、総額二百万円。
もちろん、一件あたりの金額が安いので、道具使いの美神さんでは赤字になる物件なんだけど、霊具を必要としない俺が吸引符をトドメに使うだけなら黒字も黒字大黒字といったところだった。
大金も大好きだけど、塗れ手に泡も大好すきな美神さんはここ最近機嫌がよく、こちらも仕事がしやすくてうれしい。
そんなご機嫌状態が続かないのが俺クオリティー。
『主、えびぞり!』
「おう!」
心眼のいうことに間違いなし、というレベルまで信頼している俺は、住宅地の満々中でエビぞった。
で、視界の端にある刃物に気づく。
その刃物は、光の線になって、今まで体のあった場所をないだ。
長さでみれば剣、反りでみれば刀。
持つ男は、浪人崩れ。
だから、避けつつあいつの頭を蹴る。
「サイキック、オーバーヘッドキック!」
直撃は避けたが、つま先が顎をこすった。
だから、浪人は倒れた。
刀を手から落として。
「サイキックグラップ、ハルバート!!」
何重にもサイキックシールドを張り巡らせて、刀に接触した瞬間、同時爆発させる。
もちろん、自分の足を守る最後の一枚は守ったままに。
その衝撃は「護」の文殊を破る。
ゆえに、それがなにであろうとも叩き伏せる。
バキン、という金属音と共にそれはおれた。
「(あ、あれ、もしかして、八房?)」
『(ふむ、つまり、人狼犬飼ポチだな。)』
目の前で折れた刀の柄を見つめ、呆然としている浪人風の男。
前の時間では、狼王にまでなった男は、涙を流して柄と折れた剣をあわせて、くっつかなくて、泣いてを繰り返していた。
「お、お、おれた? 八房が、おれのやつふさが・・・・。」
滂沱の涙を流すバカはおいておいて、その場を離れる俺に何かが飛びついてきた。
とりあえず、霊波刀を出してきた小さいのはそのまま投げ飛ばして、もう一つは突っ込んできただけなので、受け止めて頭の上に載せた。
何となく据わりがいい感触と「きゅー」という声がかわいい。
「・・お見事でござる!!」
投げ飛ばされた姿勢から空を切って体をひねり、そのままこちらに飛んできた非常識物体は、俺の前で土下座をした。
銀髪で赤毛メッシュ・・・・。
もしかして、「犬」か?
「拙者、人狼の犬飼シロと申すものです。」
俺が倒したのは犬飼ポチ、父親だという。
人狼の里の至宝を持ち出して、世界征服だとか騒いでいたところを捕縛されたが、そこから再び逃げ出して辻切りを繰り返していたという。
さすがに自分の親とはいえかばいきれないということで、、子供が倒しにきたそうだ。
・・・シロって「犬塚」じゃなかったか?
もしかすると俺が「こっちの」時に来た影響か?
で、俺の頭の上にいるのは途中で知り合った子ぎつね。
ぷらーんと引きはがしてみると、見事なまでなナインテール。
タマモ、じゃん。
思わず頭痛を感じる。
「先生の、見事な手腕のおかげで、バカおやじを再起不能にできたでござる。どんな感謝の言葉も足りないでござる」
「あー、感謝、りょうかい。バカおやじを連れて、早く里にかえれー。」
「いいえいいえ、このままでは帰れませぬ!! 是非とも恩返しを!!」
取り合えず、今だ力を蓄えていない犬飼なら、里に追い返してもいいだろうし。
「で、拾ってきた、と。」
じとめの美神さんから視線を逸らしつつ、未だ「やつふさ・・・」と呆然としたまま呪術ロープに縛られてるポチをみた。
一応、一般人も切りつけてるので、このまま警察に引き渡されることになる。
で、俺の足下で土下座してるのが子犬と子ぎつね。
俺に、ひいては美神さんに恩返しをさせてほしいといってきていた。
まぁ、タマモはしらんがシロは里の外にでたい一心なんだということは昨晩わかった。
そんなことを事務所式ブロックサイン。
美神さんもブロックサイン。
「・・・わかったわ。一応恩返しは受けてあげるけど、里から許可を得なさい」
「・・・なぁっ、このまま戻っては、二度と外に出してもらえないでござるよ」
「その程度、男の子なら乗り越えなさい」
「・・・美神さん、シロ、女ですよ?」
「・・・尚更だめじゃない」
そういえば人狼の女性は少なく、貴重だとか。
子供のうちならまだしも、成人したら絶対に里からでられないと聞いたことを思い出した。
「じゃ、今のうちに世間を味わいたいっつううわけか?」「ひとぎぎが悪いでござるよ、先生」
自分も認める理由というわけだ。
「あのねぇ、シロ。あなたをこのまま泊めおくと、私たちが誘拐犯になるのよ? それって恩を仇で返すことにならない?」
さすがの子供犬もその理屈は解ったようで、渋々、本当に渋々に認めた。
「ですが、先生。この娘は面倒見てくださいませぬか?」
人狼の里では面倒見てやれないが、姉妹の契りを結んだ間柄。このまま放り出せない、というのだ。
どうもこのコンビ、早々に出会ってウマがあったらしい。
姉妹の契りで、こう言ってるってことは、姉シロ妹タマモなんだろうなぁ・・・・。
「・・・どうするつもり、横島君?」
「どこまでOKですかね?」
「最高でどこまでするつもり?」
「・・・親に頼んで養女にでもしてもらって、妹として育てようかなーと」
「横島君、解ってると思うけど・・・・」
「ええ、十分解ってますが、いまさらでしょ?」
俺と美神さんの視線は、ふりふりしているナインテールを見つめてる。
「・・・覚悟はあるのね?」
「子育てってそういうものですよ」
わかったわ、とため息一つ。
「一週間、私で預かるわ。その間に身の回りをきれいにしなさい。さすがにあの部屋で妹と二人はきついでしょ?」
「はい!」
むー、美神さん優しいなぁー。
メロメロに惚れそう。
『(主、一応解ってると思うが・・・・。)』
「(だから美神さんは一週間って言ってくれたんだよ)」
『(ふむ、嫉妬にかられる主従関係だな)』
「(だろ?)」
そんなわけで、事務所の吸引された悪霊だの雑霊だのを集めて、那須の某所で石に放り込んだり、自分オアパートを整理したり、学校で試験を受けたりしているうちに一週間が過ぎ去った。
事務所に迎えに行くと、10歳ほどのタマモが飛びついてきた。
「にーちゃー!!」
かわいい盛りのタマモを片手に抱き、美神さんに頭を下げる。
「ありがとうございました、美神さん」
「いいのよ、こっちもかわいい女の子で着せかえ遊びしてたようなものよ」
ふふふっと笑う美神さんは、なんだか母親の優しさを感じた。
「いつでも遊びにいらっしゃい、タマモちゃん。」
「いつでも遊びに来てくださいね、タマモちゃん」
小さく手を振るタマモとともに事務所をでたところで俺とタマモはため息をついた。
「・・・ヨコシマー、もう猫かぶんなくていいでしょー?」
「まだだ。今日、おれの両親が空港に着く。二人が帰るまで猫かぶっとけ。」
「・・・屈辱てきぃ・・・・」
まぁ、なんつっうか、性格は前のままだが、人間に好意的なのはシロのおかげらしい。
転生後すぐにシロと合流したタマモは、人情厚い生活にもまれてきたらしく、それなりに浮き世の流れを知っていた。
俺が妹として引き取るリスクとそれ見合う得がないことで随分と不信感を持っていたらしいが、そのへんはもう解消されたらしい。
電車を乗り継いで空港まで行くと、ナルニアからの直行便が遅れているとアナウンスが流れた。
「どうする、ヨコシマ?」
「んー、まぁ飯でも食うか。」
「狐うどんね。」
「あげはやるよ」
「やった〜」
小躍りするタマモを抱き上げて、近くのうどん屋にはいると、なぜか両親がうどんをすすっった。
「な、なんでいるんだよ。」
「・・・そりゃ、飛行機で来たからよ」
「いや、ほら、直行便が遅くなるって・・・」
「・・・ん?ああ。パリ経由便の方が一時間早くなるって言うから乗り継いできたんだ。」
「・・・いくら金かけたんだよ」
「はっはっは、かわいい娘を一目見るためだ。やすいやすい」
「そうねぇ、こんなにかわいい娘だもの。大したことないわ」
わっはっはっはっは、と笑う両親を前にして、タマモはお澄ましモードにはいった。
「あ、あの、初めまして。タマモです。」
小さく挨拶するタマモに手を伸ばしなでる親父。
「堅くならなくていい。さっき、店の前ではしゃいでいた、スのままの娘でいてくれればいい。」
みられていたことに赤くなるタマモの頬をなでるお袋。
「いいのよ。おてんばでも何でも。幸せになれればいいの。」
言われてたまもの瞳に涙が浮かぶ。
「うんうん、ありがとう、おとうさん、おかあさん。」
小さな手で二人の手をつかみ直すと、二人も一気に抱きしめた。
「あああああ、なんてかわいいんだ、かわいすぎる、ナルニアに持ち帰りたい!!」
「ええ、そうよ、そうだわ!! かわいい娘ですもの、一から育てたいわ、ええ、育てるわよ!!」
「そうだ、おまえ、学校の準備だ、部屋も作ろう、フェミニンでフワフワでキラキラな!!」
「そうだわ、ええそうねあなた。ドレスでフリルでリリカルよ!!」
真っ赤になって照れるタマモだったが、一応反論。
「あ、あの、お父さん、お母さん、わたしは、ヨコシマと、おにいちゃんと、その、暮らしたい。」
瞬時に殺人的な視線を送る両親。
もちろん俺はホールドアップ。
両手には白旗装備済み。
「・・・タマモちゃん、いいえ、娘なんだからタマモでいいわよね?」
「うん。」
「タマモは、助けてくれたからお兄ちゃんといたいの?」
「違うよ、お母さん。私は、お兄ちゃんと暮らしたいから、お母さんの娘になったんだよ」
苦笑いのお袋と親父。
「それだったらお嫁さんでもいいんじゃないのか?」
「・・・私は、生まれて一年もたってない子供だもの。ロリじゃないって嫌がられちゃう」
「「ぶっ・・・・・」」
両親同時に吹きやがった。
「わかったわかった、忠夫と住むのはいいけど、学校はいくべきだな」
「そうね、一応、いろいろとできるんでしょ、タマモ?」
コクリと頷いて針ほどの狐火を見せるタマモ。
「そう、だったらこっちのコネで学校へ押し込むから、忠夫は勉強を見てあげなさい」
「了解。」
一通りの近況をうどんを食べつつ話終えると、お袋はタマモを連れて飛び出した。
「さぁ、かわいい服を買いに行くわよ!」
「えええ〜〜〜〜、また〜〜〜〜!?」
さんざん美神さんたちにおもちゃにされたことを思い出したタマモは顔をしかめたが、お袋は知らんぷりでダッシュした。
見送った親父と俺は、そのまま展望デッキまできた。
何か話がある気配だったのでついてゆくと、すごく真剣な顔でこちらをみていた。
「忠夫、なにがあった?」
どきっとして言葉がでなかった。
「ヘタレで逃げ腰で女好きで度胸がなくて、それでも俺の息子だ。 何かあったのは解る。」
やべー、親父かっこよすぎる。
「はなせないことなら聞かん。だが、話さなくちゃならないことがあるならはなせ。」
深呼吸する。
ここが分かれ目だ。
今まで通りの人生と決まった未来を目指すなら、ここで話せることはない。
しかし、何かを成すためには避けてと折れない存在が、俺の両親だ。
味方にすればこれ以上の存在はない。
『(主、話すべきだ。すでに賽は振られている)』
「(そうだな、そうだった。)」
すでに引く道はない。
ならば行く道を最後まで行くしかないじゃないか。
俺は再び深呼吸して親父に向き直った。
急に男の顔をするようになった忠夫の話は、まさに驚愕以上のなにものでもないモノだった。
今の忠夫は、未来の忠夫自身であり、精神や経験が逆行してきた存在だというのだ。
実際何年後かについての記憶はないので細かいことは解らないそうだが、ここ二年ほどの事件は次系列に沿わない形で予言できるという。
なぜ時系列に沿わないのかと言えば、すでに色々と変えてしまっているので、誰かが強い思いで進めていること以外はブレてしまうそうだ。
そういう意味ではタマモの覚醒は二年ほど早いそうだ。
九尾の狐とされる妖狐タマモは忠夫の記憶では転生を察知された時点で政府に追われ、人間不信になっていたそうだ。
そこを助けた縁で、結構仲良くなったと言うが、根底にある人間不信を払拭できなかったと後悔していたそうだ。
事件か事故か、様々な事が考えられるが、実際に歴史の逆行に入ってしまった時点で、未来に帰ることはできないと言う。
ならば、自分お周りだけでも幸せに満たしたい、そう思って行動しているそうだ。
「そうか、がんばってるな。」
私が肩をたたくと、ぼろぼろと涙を流し始める忠夫。
「おかんにもタマモにもないしょや、男が泣いたらあかんのや、まもるもんに涙見せたらあかんのや。おやじだまっててくれ、な?」
一応頷くが、すまん、息子。
俺のカフスに付いてるマイクで、全部聞かれてるわ。
あー、うー、こんどなんかかってやるからな?
ボロアパートで家族四人がきついので、ホテルをとった。
息子は気を使ってタマモと三人で楽しんでくれ、と去っていったが、先ほどの話を知っているので、夫と顔を合わせているのが恥ずかしいのだと理解できる。
しかし、息子を急成長させてくれた未来のファクターとは何だろうか?
あれほどの成長だ、生半可な事ではないだろう。
男親には解らないだろうが、あの子の心はひび割れて、今にも崩れそうになっているのを無理矢理支えているような状態に感じる。
タマモも同じように感じていて、何とか守らなくては、と思っているらしいことについてコンセンサスがとれた。
「ヨコシマは、お兄ちゃんは、守りたいっていつもいってるの。・・・だから、傷の原因は『守れなかった』だと思う。」
なるほど、それはきわめて論理的で正しい話だ。
では、なにを守れなかったのか?
近くの人間だろうか?
近親者だろうか?
同僚だろうか?
恋人だろうか?
直接聞きたい思いがあふれたが、ぐっとかみしめる。
さすがに盗聴して聞いていたから詳しく聞きたくなった、教えろとはいえない。
そんなやりとりの中で、タマモは、表情を変えた。
ちょっと小生意気な少女の顔から、あどけない少女の顔へ。
「お父さん、お母さん、これから話すことを冷静に受け止めて、冷静に処理してください。」
タマモが語った内容は、息子の話を詳細にしたモノだった。
そんな話をタマモにしたのかと聞いたところ、幼い、判断力の薄い子ぎつねの状態で、意識せずに読んでしまったそうだ。
そんな彼女が語る内容は、寒気のするモノだった。
後に魔神戦争と言われるであろう、魔界の王による三界征服計画、それに巻き込まれ人類の敵として標榜された息子、捕虜としてスパイとして強要される活動の中で、敵集団ごと殺されかけ、そして敵と深まる関係、蛍魔との恋。 魔神をも倒すと決意し、そして成し遂げた息子。
その代償は恋人、蛍魔の命と自らの恋心。
成し遂げた事の大きさに比べ報われぬ息子。
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2012/04/04 OTR移転版 + 小修正
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