「騒音」と「低周波音」の二重・三重攻撃
「建築ジャーナル」は、「エコキュート」問題を、「騒音トラブル」ではなく、「低周波音被害」としている。ここから話がややこしくなる。実は、エアコンからも、エコキュートからも、エネファームからも、騒音に加えて低周波音も発生する。
まず、低周波音について、最も分かりやすい『家庭医学館』の解説を紹介する。
「低周波音と健康障害── 周波数が100ヘルツ以下の音を低周波音といいます。人間には、ほとんど聞こえない音ですが、連続して耳に入ると、健康被害が生じるとして問題になっています」
「低周波音を発するのは、自動車、電車、飛行機、業務用のエアコンや、冷凍庫などで、耳に入っていても気づかずにいることが多いのですが、長期間、低周波音にさらされていると、頭痛、イライラ、不眠、肩こり、動悸、耳鳴り、しびれ、だるさ、微熱、食欲不振などの不定愁訴がおこるといわれます」
「いろいろ検査をしても、原因となる異常は見つからず、低周波音のない環境に行くと、うそのように症状が消えるといわれています」
エアコンを例にとろう。三菱重工冷熱事業本部は、「三菱重工ルームエアコンの騒音特性」を公開している。そのうち機種「SRK22SI-W」(商品名、ビーバーエアコン)のデータを引用する。
掲載された図を見ると、室内ユニット(室内機)および室外ユニット(室外機)が、周波数100Hz(ヘルツ)以下の低周波音を発生している様子を、知ることができる。
エアコンからは、運転音に伴う低周波音だけではなく、さらに別の低周波音が発生する場合もある。
これに関しては、環境省の「低周波音の測定方法に関するマニュアル」のうち、「2.1 低周波音の発生源と発生機構」の解説を引用する。
同マニュアルによると、低周波音は次のようにして発生する。
(1) 平板の振動によるもの ─ 板や膜の振動を伴うものなど。
例えば大型の振動ふるい、道路橋、溢水ダムの水流等。
(2) 気流の脈動によるもの ─ 気体の容積変動を伴うものなど。
例えば空気圧縮機、真空ポンプ等の圧縮膨張による容積変動。
(3) 気体の非定常励振によるもの。
例えば送風機の翼の旋回失速、システムのサージング、振動燃焼等。
(4) 空気の急激な圧縮、開放によるもの。
例えば発破、鉄道トンネルの高速での列車突入等。
エアコンの場合には、室内機や室外機がきちんと固定されていないことに伴う振動、吹き出した空気の変動流れに伴う振動、故障・損傷・緩み・フィルターの目詰まりなどに伴う振動などが、低周波音を発生させる原因になる。
要するに、エアコンは騒音と低周波を発し、条件次第ではさらに追加の低周波も発生するのである。これを、「騒音と低周波音の二重・三重攻撃」、と名付けることにする。